新生Swallowtail

 さて、ひと月の改装期間を経て、新しく生まれ変わったSwallowtail。
あれからまもなく二週間が過ぎようとしておりますが、お嬢様におきましては、快適にお過ごし頂けていますでしょうか
私に取りましては今回が3度目の誕生。
なんだか時間の流れを感じずに入られません。
お気づきの点がございましたら、何なりと椎名までお申し付けくださいませ。

今回、厨房内の拡充という名目で改装期間を頂戴いたしましたが、実はその他様々な点につきましても、手を加えました。
その代表的なものが、お部屋の奥手に新たに設置されました3名がけのソファーテーブルです。ゆったりと腰を掛けお屋敷全体を一望することが出来ますので、これまでとはまた違ったお気持ちで食事をお楽しみいただけるかと存じます。
とても見晴らしが良いものでございますから、私ども執事が全体の監督用に座ってしまいたいほどでございます。
そのほかにも、フットマンが使用いたします棚や、あの部屋に通じる扉、レースカーテンなどなど・・・
これまでとの違いを見つけていただくのも楽しいかもしれませんね。

もちろんこの間、私どもも日々執務に励んでおりました。
せっかくお時間を頂いたわけでございますから、足らぬところを洗い出し、一から修行もしなおしました。
とにかく激動の日々。
そのせいなのか、お嬢様にとっては長いひと月でございましたでしょうが、私にとってはあっという間のひと月でしたので、さびしい思いをしなくてすみました。

なにはともあれ、使用人ともども生まれ変わりましたSwallowtailを今後とも愛してくださると嬉しゅうございます。

さて、変わりまして梅酒のお話を・・・
なんだか毎度の恒例のご報告になってまいりましたね。
仕込んだのが先月の13日ですので、一ヶ月が経ったことになります。
度数の高いアルコールにしっかり浸かり殺菌された梅の実をゆっくりとまわし、溶けた糖分になじませますと、あるとき比重の差か、沈んでいた梅の実がポッコリと水面に顔を覗かせます。
このまま放っておきますと、湿度の高い季節ですから空気に触れた部分にカビが生えてしまいます。そうならない様にまたゆっくりとまわしていきます。
二日おきの間隔で。
まるでわが子を寝かしつけるゆりかごの様に、ゆっくりと、ゆっくりと・・・

そのうち、丸々としていた梅の実に変化が・・・

ある日様子を伺うと、うっすらとした筋があらわれるのです。
これは、糖分となじんだ梅の実からゆっくりと梅の成分が出てきている証拠。
いよいよ「梅酒」への変化が始まったようでございます。
もし仮にふたを開けて香りをかいだならきっと、熟した梅の桃のような香りとアルコールとの初々しいマリアージュを感じることが出来ることでしょう。

さて、この子達の飲み頃はいつになるのでしょうか。
それまでは、昨年の作品を少し楽しむことにいたしましょう。