Canary

辿り着いた場所は緑一面の広い草原
パステルカラーの青空は高く
レースのような雲がゆっくり流れている
頬に伝わるそよ風がとても心地よい…
トンビが気持ち良さそうに円を描いている

圧倒的な自然だけれどどこか優しい…
風の香りが心を落ち着かせてくれる
肩からリュックサックを下ろし両手を広げ思いっきり深呼吸をした
空気がとっても美味しい…体に染み渡っていく…
自然に包まれ風に包まれ癒されていく自分に気づく…

半分夢の中にいるような気持ち…
いつまでもこの景色を見ていたい
いつまでもこの風を感じていたい

そっと目を閉じると目尻からポロポロとこぼれた
風が目にあたっているからだろう…
手で拭いきれないほどポロポロ…ポロポロ…
リュックからハンカチを取り出した

今日ここに来てよかった…
何かに救いを求めるように電車に乗りバスに乗り辿り着いた場所…
私には今ここに来ることが必要だったに違いない…

現実と非現実の間をふわっと飛んでいる…

やって来た飛行機の音にハッと現実にもどる
どのくらいいただろう…気づくとさっきまで見ていた雲が形を変えずっと遠くに行っていた

もう帰らないと…名残惜しい…

「そうだ!」
リュックから空になっていた水筒を取り出す
蓋を開け空に手を伸ばし飛行機が残した雲に沿って走る!
今だ!と急いで蓋を閉めた

……

一時間に一本しかないバスを待っていた
ベンチに腰掛けビスケットを食べていると黄色い小鳥が現れた!
ビスケットのかけらをあげると怖がりもせず私の側へやってくる
「もしかして今日の幸せはあなたが運んできてくれたの?」

バスを待っている間、私は胸が締め付けられるような幸せを感じていた…

バスは5分早くやって来た
しばらくバス停で止まっていたがここで乗る乗客は私だけのよう
車窓から幸せの黄色い小鳥がこっちを見たり首を傾げたり

さようなら…ありがとう…
バスはゆっくり走りだした

イヤホンを取り出し音楽を聴く
アコースティックギターの音色は、
『風の詩』

車窓から優しい陽の光…
ポロポロ…ポロポロ…
風のせいかな…

手に持ったままの水筒をぎゅっと握りしめた。

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お嬢様、お坊っちゃま、ご機嫌いかがでございましょう金澤でございます。
先日よりご用意させて頂いておりますフットマンブレンドティーのカナリー、多くのお嬢様方にお試しいただきまして、本当に嬉しく感激しております。
お口に合いましたらどうぞこれからもお召し上がりになるお茶のレパートリーに加えて頂けたら嬉しゅうございます。

水筒に持ち帰ったものをお茶にしてみました。
お嬢様に少しでもお届けしたい…
そんな気持ちから出来たお茶でございます。

お茶を一口、目を閉じるとふわっと優しい風がくるでしょうか…
時にお屋敷が草原となり、お嬢様を癒し、幸せを感じていただける場所となりますように…