ウッカリンス

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。隈川でございます。

この間、氷川が日誌にて紅茶に『おいしくなあれ』というおまじないをかけると認めておりました。実はあれ、私も紅茶係のときに同じことをやっております。氷川とは気が合うのかもしれません。

お話は変わりますが、先日私がティーサロンでの給仕を終えてお風呂に入っていたときのことでございます。

少し前に髪を短くしてから、頭を洗う際にはシャンプーだけで済ませていたのですが、また少しずつ髪が伸びてきた為、久々にリンスを使うことに致しました。

いつだったか百合野から『リンスはしばらく髪に馴染ませた方が良い』とアドバイスを伺ったので、いつもよりも時間をかけてみます。その間に洗顔したり、少し湯船に浸かったり。

びばのんのん。

たまにはこうしてゆったりとしたバスタイムも良うございますね。

いい気分でお風呂から上がり、前日に作って冷やしておきました水出しのヌワラエリヤをごくごくと頂き、爽快な気分に浸ります。

あれ、そういえばドライヤーをかけるのを忘れていました。

ドライヤーのコンセントを繋ぎ、スイッチを入れます。

ブォォォォォ

これを忘れてしまうと次の日の寝癖が凄いことになってしまいます、危ない危な

ベタァ…

ん?

ベタベタァ…

んん?

ドライヤーをかけながら髪に触れた手に違和感が。

そう。
リンスを流すのを忘れていたのです。

ドライヤーで熱されて、よりベトベト感の増したリンス。
テカテカ光る髪。
鏡に映る、絶望的な表情を隠しきれない自分。

爽快な気分は一瞬で砕け散ったのでした。

お嬢様、リンスの流し忘れにはどうぞご用心くださいませ。

今回はこの辺りで失礼致します。

隈川