ヨシムラ手曲げ

お嬢様、お坊ちゃま、ご機嫌いかがでしょう、金澤でございます。
冬真只中、寒さ厳しい日が続いております、はやり病が猛威を振るうこの時期
いつも藤堂に言われております 『うがい手洗いはちゃんとしなさいよ』 と!
お嬢様方も十分お気をつけ下さいませ、じいやが心配しますから…

お正月を迎えたと思っていましたらもう一月も末、
こうしてあっという間に2013年も過ぎて行くことでしょう…

いや、いけません!
ちゃんと目標をもって充実した一年にしなければなりませんね!
時間だけはみんな平等でございます。

四季のある日本、お屋敷の勤めの中でそれを一番感じるのはやはりドアマンでしょうか
この冬は特に寒さ厳しいような気がいたします…

ドアマンは一年中同じいでたち!
だからこそ余計に、四季を敏感に感じ取ることができます!
春の暖かさ、夏の暑さ、秋の爽やかさ、冬の寒さ!
四季を感じる!これはある意味すばらしい事なのではないでしょうか!

ところがどうでしょう、最近の若いドアマン達は…
あのぬくぬくと暖かい『まふりゃー』とやらをドアマンコートに合わせコーディネイトしてるではありませんか!
なんと軟弱な!!!そんな子に育てた覚えはないとたぶん藤原さんあたりが思っているに違いない
まったくもう!ブツブツ…

ふと小学校の頃の出来事を思い出す…
友達のひとりにとても凄い奴がいた!
なんとそいつは一年中ランニングシャツに半ズボン姿で過ごしていた!
どんなに寒い日でも雪のチラつく日でもランニングに半ズボン
ちょいと街では有名人!とっても元気な男の子がいると!
学校では先生に元気な子だと褒められ、周りの子たちには凄い凄いと言われ、
挙句には地元のタウン誌にとっても元気な子がいるととり上げられ表彰までされていた!
とにかく周りからは凄いねとか元気ねとかえらいねとか褒められていた

年月は流れ、久しぶりの再開、当時の仲間を交えた酒の席
長年くすぶっていた疑問を初めてぶつけてみた
「あのさ~小学校のころずっとランニングで寒くなかったの?」
返ってきた言葉は、
『すげ~寒かったよ、冬が辛くて仕方なかったよ』
『いや~最初さ、涼しくなってもランニングのままでいたら大人たちが褒めてくれたもんでさ
気分良かったんだよ』
『でもさすがにだんだん寒くなってきたんでトレーナーとか着たいと思っても周りが褒めてくれるもんだから我慢しちゃったんだよ』
『そしたら元気な子とか勝手に記事にとり上げられ引っ込みつかなくなっちゃってさ』
『もうそれからは修行してるみたいに耐え忍ぶ世界よ!あははは・・』

「・・・・・」

奴が中学生になりブレザーの制服を涙しながら喜んでいた意味が深く深く分かったような気がした…

奴がえらいのはそんな中無欠席で卒業したこと
ある意味、本当に修行を成し遂げていたのかもしれない…

でもその頑張りが本当に必要な事だったのかと思うと些か疑問である
ただ周りの人達の『ネタ』に過ぎなかったのではないかと…

しかし、わたしはここで高らかに言おう!
こうして私ごときの駄文ではあるが、お嬢様方にそんな奴が居たのだと知らせる事ができた!
おまえの頑張りはそう!こうしてお嬢様方に 『へ~寒そう~』 と思って頂けるだけでよいのだ!
よかったな…今はどこにいるか分からないけど再会できたらビールを奢ってやろう!

失礼いたしました
話が私が打つドライバーショットばりにスライスしてしまいましたが、
とにかくもし金澤がドアマンの時、『まふりゃー』をしていたら、
なにも聞かずにそっと頷いて頂けれ幸いです。

私は小学生ではありません、

オトナですから・・・

お屋敷のエントランス
階段から空を見上げると北風のおかげか空気が澄んで青空がきれいに見えます
「東京の空」♪を口ずさみながら…