花吹雪

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?
前回の日誌で、梅の花が開いたことに触れましたが、当家の庭園では早くも桜が咲き始めました。
いよいよ本格的な春の訪れでございます。

“桜”と聞きますと、もちろんお花見でございますね。
巷では、早くも宴が繰り広げられているようでございます。
喧騒を好まぬ私でございますが、お花見の賑わいともなりますと、話は別でございまして・・・。
昨年はお暇もございませんでしたが、今年は酒肴の準備も万端に、使用人一同で桜の名所にでも出かけてみようかと存じております。

以前にも書いたことでございますが、“花吹雪”とは最も美しい日本語である、とどこかの文筆家が記しております。
花の盛りは数日なれど、いさぎよく春風に舞う花びらは、豪奢で、どこか潔く、そして一抹の物悲しさも漂わせております。
そのわずかな哀感を忘れようと、人々は盛大に宴を楽しむのかもしれません。

おや、柄にもないことを書いてしまいました。
お嬢さま方、庭園での優雅な観桜の宴も、もちろんたいへんによろしいことでございますが、たまにはお忍びで庶民の方々とともに、一瞬で過ぎてしまう花の盛りを大いに楽しまれてはいかがでしょうか?

さて、夕闇も迫ってまいりました。
今宵は春風の到来を祝し、山菜の天ぷらでも肴にして、酒杯を傾けることにいたしましょうか。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。