All’s well that ends well

お嬢様、お坊ちゃまご機嫌麗しゅうございます。
冴島でございます。

3月になり暖かい日も増えて少しずつ春を感じることも増えて参りますとどこかに出かけたいような活発な気持ちにもなって参りますが私含め花粉症の方にはやや辛い時期ではございますね。

それはそうと今回はお嬢様、お坊ちゃまによろしければ聞いて頂きたい話がございます。
大した話ではございませんがお時間ございましたらぜひ最後までお読みくださいませ。

今回の日誌は少々長くなりますがお付き合いくださいませ。そして読み終わりましたらぜひティーサロンにて感想お聞かせくださいませ。

では、はじまりはじまり〜でございます。

 

先月、2月のとある日に休日を利用して日帰りで少し遠出をしようと思いたちお屋敷から電車で3時間程かかるとある神社に行って参りました。

と申しますのも大したことではございませんが2月は個人的についてないことが多々ございまして少しでも流れが変わればいいと気分転換に出掛けた次第にございます。

普段遠出をする際にはもっぱら車で向かうのですがなぜがその日は行く前から電車で行ってみようと考えておりました。
きっと普段時間をかけて様々な交通機関でご帰宅頂くお嬢様、お坊ちゃまのお話を聞いてたまには私も普段と違う手段で向かいたくなったのでしょうね。

そして公共の交通機関を使う際の一番の問題は出発の時刻でございます。車で向かう場合出発も帰宅も全て自分のペースで決められますが公共交通機関だとそうもいかないものでございます。
特にお屋敷から遠く離れた地ともなりますと専用の路線で1〜2時間に一本しかないこともざらでございます

なのでしっかり行きと帰りの時刻とルートを調べ、午前11時頃に部屋を出て午後14時半頃には着く予定でございました。
出発ギリギリまでゆっくり過ごしすぎたせいでお昼を食べ損ないましたが、調べたところによると神社に向かう途中の参道には茶屋やお食事処などもあり、どうせなら美味しいものを食べようとなにも食べずに出発致しました。

初めて乗る路線、そして初めて訪れる駅を新鮮に感じながらも旅は続き、今回の道のりは4回程電車の乗り換えがございますので乗り過ごさぬよう車窓の景色を眺めながら順調に旅は進んでいきました。

そして4回目、最後の乗り継ぎ。

あってはならないことが起きたのです…

さようでございます。

乗り過ごしたのです。

奥に進むと景色も単調で一駅の間隔も長いこともあり油断致しました。

“あっ!”と気づいたのと同時に扉は閉まりました。

その時、とある思考が私の脳裏によぎりました。

「あれ?そういえば朝に時刻を調べた時、この電車を乗り過ごしたら時間が間に合わなくなるから気をつけないとな。と思ったような…」

さようでございます。
冒頭に書いた通り。

“お屋敷から遠く離れた地ともなりますと専用の路線で1〜2時間に一本しかないこともざらでございます”

先に結論から申しますとこの時一駅乗り過ごしたことにより、まず一駅戻るのに25分、戻ってから次の電車がくるまで75分、計100分待つことになってしまいました。

目的地は乗り過ごした駅から電車で20分もかからぬ所。
ですが地図によると30km程あり歩くとなると4時間かかり、僻地ゆえバスもございません。
住宅地のなかにポツンとある無人駅ゆえタクシーも走ってはおりません。

間に合うはずだったのです。

間に合うはずだったのです。

お食事も授与所も。

「ちゃんと乗り過ごさぬよう確認してれば…」
「こんなことなら初めから車で来れば…」
「お腹がすいた…途中でなにか食べ物を買っておけば…」

そんな栓無きことを考えつつ、一瞬ヒッチハイクをしてみようかと本気で考えましたが、車通りも少なく自動車でも30分近くかかることを知り、無駄な足掻きは辞め、まだ肌寒い無人の駅で1人叫び出したい気持ちを抑え大人しく次の電車を待つことにいたしました。

結局14時38分につくはずだった予定が気付けば到着予定時刻は16時19分に。
十分に時間の余裕を持って部屋を出たはずが日も沈みかけでございました。

たった一つの失敗で全ての予定が狂ってしまう。
人生では度々あることでございます。

たがこれも神の思し召し。
神社に参拝に行く途中の出来事なら尚更でございます。
そして時に人生では苦難を受け入れて前に進むことも大切でございます。

人生は思った通りに上手くいかぬもの。
ですがきっとこの失敗から学べることもあるはずでございます。
この失敗を乗り越えてひとつ強くなれた気が致します。

お嬢様、お坊ちゃまも不運なことがあった時、この日誌を思い出して笑ってくださいませ。

ですがここで諦める冴島ではございません。
少しでも希望があるかぎり足掻いてみせるのが冴島流でございます。

授与所は16時30分に閉まるとの事。
つまり駅に着いてから御守りなどを頂ける授与所が閉まるまで10分程猶予がございます。
きっと1分前でも間に合えば対応して頂けるはずと信じて。
これは駅から全力疾走確定でございます。

駅に電車が着く前に覚悟を決め、扉が開いた瞬間全力で走り出しました。
しかし、改札を越え駅を飛び出た私の目の前に最後の試練が立ちはだかったのです。
なんと駅前から参道まで上り坂が続いていたのです。
ですが今更この程度で挫ける冴島ではございません。
授与所まで750m、残された時間は10分。
いけるところまでいく所存でございます。
どんなに汗をかこうと息が上がろうと足が縺れようと最後まで走り続けます。

日が沈みかける空の下一心不乱に駆け抜けると鳥居が見えて参りました。
ここまでくればあと少しと最後の力を振り絞り授与所に駆け込むと16時26分。

“まだ大丈夫ですか”と尋ねると巫女の方から”はいまだ大丈夫です”との返事。

なんとあの絶望的な状況から間に合ったのでございます。
御守りとおみくじを授かり、いざお参りでございます。
時間も時間でございましたので境内は人も疎らでございましたが無事お参りを済ますことも叶いました。

 

 

 

 

 

 

残念ながら奥宮は閉まっておりましたが次回に繰り越すことと致しましょう。

その後奥宮のさらに先にある唯一開いていた茶屋で湧き水で入れたコーヒーとわらび餅を頂き、人気のない暗くなった厳かな雰囲気の境内を引き返し帰路につきました。

 

 

 

 

 

 

ちなみにコーヒーを頂きながら先程引いたおみくじを開きましたらなんと大吉でございました。

“雨降って地固まる”、”終わり良ければ全て良し”とはこの事でございます。

そして神社を後にする頃にはすっかり月が出て境内も参道も夜になっておりました。

 

 

 

 

 

帰りは電車の発車時刻まで1時間ほど時間がございましたので少々歩きその地域の特産品などを使ったお食事を頂こうと思ったのですが、なんと調べたお店がことごとく休業日でございました。

これも最後の不運かと思いつつ、せめて帰りの長旅に備えコンビニで何か食べ物を買おうと向かう途中で唯一開いている蕎麦屋を発見し、蕎麦と特産の季節のタコを使った天丼を食べることができました。

食べられただけで御の字でございます。

近頃控えていたお酒も解禁してご機嫌でございました。
これは電車で行った甲斐があったというものでございます。
ただし次からは絶対に車で向かおうと心に誓ったのでした。

そして先程までの不運はすっかり忘れ帰りは無事に予定通り帰れましたのでご安心下さいませ。

ちなみにこの日誌の神社の最寄り駅に着くまでの部分は乗り過ごして電車を待っている無人の駅で書きました。
感情は鮮度が大切でございます。
この気持ちが消えぬうちに書き留めようと思った次第でございます。

待ち時間は100分ございましたので。

ある意味で非常に記憶に残る一日となりました。
非常に濃厚な1日でございましたが貴重な経験ができたとポジティブに捉えることに致しましょう。

ということでまだまだ日誌に書ききれぬこの日の話も沢山ございますので私がお仕えする際にお話をお聞きくださいましたら嬉しゅうございます。

そして当家のお嬢様、お坊ちゃまにはこのようなことがなきようお出掛けの際には使用人がしっかりと馬車をご用意致しますのでご安心くださいませ。

随分長い日誌となってしまいましたがここまでお読み頂きありがとうございました。

さて、気を取り直しまして暖かい日が増えたとは言えまだ肌寒い日も多くございますのでお身体を冷やさぬようお気をつけくださいませ。

今月は当家のアニバーサリー期間もございます。
去年に引き続き今年も一緒にお祝いできること非常に嬉しく思っております。
アニバーサリーを記念した特別なお品もございますのでぜひご帰宅くださいませ。

では今月もティーサロンにて温かい紅茶を用意してお嬢様、お坊ちゃまのご帰宅をお待ちしております。

冴島