にごりえ

花屋さんの店先や、街中で紫陽花が美しく咲いています。新緑の季節
から梅雨へと、季節が変わってまいりました。雨にも負けず、お嬢様
方にはお元気でご活躍のことと存じ上げます。

お天気さえ良ければいつでも上機嫌。そんな単純な嘉島は、雨が苦手
です。この季節はお屋敷のお勤め以外はインドアに徹しようとと、手
に入れたものの未読の本や、観ていないDVDを楽しんでおります。

本日は、今回観たDVDの中でも珍しい映画がありましたので、ご紹介
したいと思います。例によって古い作品です。お許しください。昭和
28年公開の今井正監督作品『にごりえ』です。

この映画は、もうすぐ変わるそうですが、5千円札でお馴染みの明治
の女流作家、樋口一葉の短編小説「十三夜」「大つごもり」「にごり
え」をオムニバス形式で映画化された作品です。

明治期の市井の片隅に生きた女性たちの苦悩と哀しみを切々と描き、
キネマ旬報ベストテン1位、ブルーリボン賞作品賞、毎日映画コンク
ール大賞、監督賞、そして杉村春子さんが助演女優賞を受賞しました。

確かに杉村春子さんの演技は現在観ても色褪せず、色々な映画の杉村
さんを観てまいりましたが、一、二を争う名演技だと思います。貧し
さを生きるということはどういうことなのか、見事に体現しています。

そう、この映画は文学座が製作しました。淡島千景、久我美子、山村
聰のお三方以外はワンシーンの出演に到るまで、文学座の俳優が出演
しています。色々な方の若い姿を観て楽しみました。

そして先日、同じ今井正監督で昭和24年公開の大ヒット作『青い山脈』
でデビューした杉洋子さんの訃報が届きました。合掌。主題歌ととも
に一世を風靡し、昭和に次々とリメイクされた青春映画の傑作です。

当然、嘉島はオリジナルはリアルタイムでは観ていませんが、若い頃
はテレビの深夜映画で、その後にDVDで鑑賞し、面白くて感銘を受け
ました。だんだんと昭和が遠くなっていくように感じます。

Filed under: 嘉島 — 22:00

ジーンズ

青葉、若葉の美しい季節になりました。嘉島の子供の頃から比べると
東京は確実に緑が濃くなっているように感じます。実際、昔からある
公園や並木の街路樹は育って、大きくなっていると思います。

また、新たに作られた大きな建造物には、必ず緑のスペースがあり、
街の緑化に貢献しています。都会のささやかな自然から季節の変化を
感じる私たちのDNA、緑と共に大切にしていきたいですね。 

さて、ここのところ年号が変わったり、長い長いゴールデンウィーク
のお休みだったり、初めてのことが続いて世間的には賑やかでしたが、
お嬢様方にはいかがお過ごしでしたでしょうか。

先日、嘉島は久しぶりにジーンズを買いました。初夏を思わせる陽気
に誘われ、散歩している時に、ディスプレイしているものが目に入り
ました。新しいトレンドの太めのタイプのものです。

それが、試着してみたら実に楽で、おまけにスタイルもカヴァーして
くれ、意外に老人向きだということが分かりました。とても気に入り、
ウォッシュタイプと色の濃いタイプと、2本買ってしまいました。

自宅ではジーンズが多い嘉島ですが、そんなジーンズとの付き合いも
半世紀以上になります。高校生の時、初めて自分で「Gパン」を買い
に上野のアメ横にいった時のことを昨日のように覚えています。

現在のジーンズショップと違って、米軍の放出品も扱う、いいものが
多いと評判の店で、アメ横の細い通路の奥の方にありました。ワクワ
クしながら、自分の1本を選んだことを思い出します。

パンタロン、ヴァギィー、脱色、505 と様々なタイプのものを穿いて
まいりましたが、10数年前にオランダのメーカーと出会い、そこの、
ストレートやライダータイプのものを長く愛用しておりました。

今回手に入れたジーンズのコーディネートを考えると、上に着るもの
もゆったり目が良ようです。久し振りにシルエットが変わりそうです。
なんだか少し楽しくなってまいりました。

Filed under: 嘉島 — 22:00

自分の中の 鬼

新しい元号も決まり、今月末には「平成」も終わりになります。嘉島
に取りまては、アッという間の30年でした。今でも、昭和から平成に
変わった頃のことが、昨日のことのように思い浮かびます。  

本当に、時の流れが加速度を増して速くなっていくように感じます。
年齢を取った証拠ですね。お嬢様方にとりまして、新しい「令和」の
時代が幸多からんことを、心からお祈りいたします。

さて、先日TVを見ていて、懐かしいお顔をお見かけしました。歌人の
馬場あき子さんです。もう90歳は過ぎてらっしゃると思うのですが、
相変わらず素敵なお着物をしゃっきりと着こなしておりました。

短歌の他にも能の素養の深い馬場さんは、『鬼の研究』という名著が
あり、かつて嘉島も大変面白く拝読しました。番組の中でも鬼につい
て聞かれ、ご自身の中にいる鬼に例えて語っていました。

何かを成し遂げようとする時、廻りはどうでもこれだけは譲れないと
いうこだわりから生まれてくるのが、自分の中の鬼で、そういうもの
が無い世の中は詰まらないと、さらりとおっしゃいました。

現代を代表する歌人のお一人で、朝日歌壇の選者として、また、歌集
以外にも数々の著作を持つ第一人者の原点に触れたように感じ、嘉島
は飾らない平易な語り口とともに、すっかり参ってしまいました。

生きていく上で、自分の中の独自のこだわりを見つめ、そこから心の
中に素敵な鬼を見つけ、大切に飼い、育んでいけたら、第一人者でな
くても、なんて豊かな人生なんだろうと思います。

そして、画面から拝見する年齢を重ねてもお綺麗で、颯爽と活躍する
お姿からも、その発言とともに、素晴らしいメッセージを受け取り、
こういう風に素敵に歳を取りたいと、憧れた次第です。
Filed under: 嘉島 — 22:00

サクラ・サクラ

季節は確実に春に向かっているようです。先日の夜、嘉島は我が家の   
側を歩いていたら、どこからとなく良い香りが漂ってまいりました。
香りを辿っていくと、沈丁花が春を告げるように咲いていました。

もうすぐ、桜の開花の知らせも聞かれる頃ですね。お嬢様方にはいか
がお過ごしですか。まだまだ寒い日がございます。寒暖の差が大きい
時です。くれぐれも気を付けて、ご自愛ください。

嘉島の子供の頃は、桜というと入学式の風景と重なったものですが、
近頃は少し早くなっているようですね。地球温暖化の影響でしょうか。
歳時記の微妙な訂正が必要なようです。もうすぐ桜の季節です。

嘉島は、標準木の一輪、二輪の開花宣言から浮き浮きとした気分が始
まり、三分咲きから五分咲きに掛けては若さの美しさを思い、五分か
ら七分咲きになると、あまりの美しさに亡き人に見せたかったと涙し、

満開を迎えると美のはかなさに思いを馳せ、それからは風よ吹くな!
雨よ降るな!と気を揉み続けて、花吹雪の中に終わり、青葉、若葉が
出てきて、ようやく穏やかな日々に戻る。そんな日々が始まります。

どうやら嘉島には桜好きな日本人のDNAが色濃く残っているようです。
そして、身近な人間を無くしてから、桜がそれまでとは違った見え方
をしてきたことも相まって、年々歳々、桜を心待ちにしております。

また少し前から、今年も桜を見れたという喜びがあることに気が付き
ました。若くて、お元気なお嬢様方には無縁なことを書き連ねてまい
りましたが、桜にはそういう一面もあることをご理解ください。

花が咲くと、東京にはこんなにたくさん桜の木があったのかと驚かさ
れます。年に一度です。お嬢様方も桜色に染まり、思う存分桜を愛で
てくださいませ。
Filed under: 嘉島 — 11:00

合掌

立春を過ぎても、まだまだ寒い日が続きますね。マフラーが鬱陶しく、
コートを重く感じる季節の変わり目が早く来ないかなあと、待ち遠し
く思っている嘉島です。お嬢様方にはいかがお過ごしですか。

ここのところ、樹木希林さん始め、市原悦子さん、橋本治さんと10代、
20代のころから楽しませてもらったり、影響を受けた人たちの訃報が
続き、嘉島は取り残されたような寂しさを感じております。

希林さんはTVデビューの連続ドラマ『七人の孫』の時からのファンで、
若いお手伝いさん役でした。 森繁久弥さんと渡り合って演じているの
を観て、舌を巻いたことを覚えています。嘉島が中学生の頃です。

お手伝いさん役が続きますが、後年、六本木ですれ違った時のお洒落
で都会的な姿に驚いたことがあります。ショートカットで、当時流行
っていたロングコートにパンタロン。洗練されていて素敵でした。

市原さんは追悼番組で『家政婦は見た』と『日本昔話』ばかり取り上
げられますが、嘉島といたしましては、舞台女優としての素晴らしい
活躍を忘れてほしくありません。

オフェーリアの配役が発表されるとブーイングが起こり、初日の幕が
上がると大絶賛に変わった、俳優座公演の『ハムレット』から、日生
劇場を爆笑の渦に巻き込んだ『クルベット天から舞い降りる』。

蜷川演出の『近松心中物語』の初演と、数々の名舞台を観てまいりま
した。日本を代表する舞台女優のお一人だと思っています。最後に、
市原さんは脚がとっても美しかったことを、付け加えておきます。

そして、橋本治さん。東大在学中に評判を取った駒場祭のポスターの
頃から、同時代を生きる一人として影響を受けてきました。病気入院
を知らなかったで、年齢の近い橋本さんの訃報は、ショックです。

『桃尻娘』を始め、各種の評論集と我が家の本棚には彼の著作が多く
並んでいます。それぞれの本を手にした時のことが思い出されます。
あらためて、お三方のご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。
Filed under: 嘉島 — 11:40

平成最後のお正月

お天気に恵まれた平成最後のお正月。お嬢様方にはいかがお過ごしで
したでしょうか。おかげさまで、嘉島は久しぶりにゆったりとしたお
正月を過ごさせていただきました。

元日には、20代から80代まで、30人以上の友人が集まる、毎年恒例に
なっている先輩宅での新年のパーティーがあり、参加するために地方
から戻ってくる友人もいて、かけがえのないひと時を過ごしました。

嘉島の年齢になると友や先輩たちの元気な姿が、なによりも嬉しいの
です。毎年のことですが、居心地が良く、ペントハウスからの素晴ら
しい夜景も手伝って、ついつい深夜遅くまで楽しんでしまいました。

そして、二日はゆったりと我が家で過ごしました。思う存分寝坊して、
おせちとお雑煮をいただき、年末に入手した CD を聴きながら、年賀
状に目を通し、返事を書きました。お正月らしい一日でした。

ちなみに、その時のCD はマイケル・ブーブレの最新盤と、ロイヤル・
フィルハーモニー管弦楽団の演奏で新たに甦った、カーペンターズと
エルヴィス・プレスリーの3枚です。

マイケル・ブーブレの新作はラブ・ソングの決定盤としてお薦めです。
そして、カーペンターズとプレスリーの方は技術の勝利で、こんな事
ができるんだぁ!と驚き、また、懐かしくもあり、堪能しました。

三日は、もう空いてるだろうと、近くの明治神宮へ初詣に行きました。
歩いて、北参道の方から入っていったのですが、表参道からの参拝客
と合流するあたりから、混んできました。

それでも豊かな自然を感じさせる、内苑の樹々によるものか、一定の
静寂を保ち、清々しい気分のままお参りすることができました。神宮
の森は人工的に作られたというから驚きです。

嘉島のお正月の模様でした。 最後に、新年がお嬢様方に取りまして
素晴らしい一年でありますよう、お祈りいたしますとともに、本年も
どうぞよろしくお願い申し上げます。
Filed under: 嘉島 — 13:00

黄葉とイルミネーション

銀杏の黄葉と、クリスマスのイルミネーションがこんなにも重なった
12月は初めてのような気がします。両方とも大好物な嘉島はチャンス
を作っては都内の名所に出没しております。

絵画館前の銀杏並木も見てまいりました。人の多さには驚きましたが、
やはり美しく、素敵でした。若い頃、近くに通っていた鹿島は、当時
のことを思い返しながら、黄葉の中を散策しました。

桜の季節になると、こんなに桜の木があったのかと感じますが、銀杏
も同じですね。都の木に制定されているだけあって、本数も多いよう
です。黄葉は時差があるようなので、もう少し楽しめそうです。

クリスマスのイルミネーションも本当に増えました。確か90年代初め
だったと思います。今では定番中の定番の、表参道の欅並木が最初に
点灯した時の感動は、忘れられません。

偶然、近くの店へ晩ご飯を食べようと行ったところ、表参道の並木が
イルミネーションで光り輝き、延々と続いていたのです。夢のようで
した! 全く知らなかったので、本当に驚きました。

今は樹木の保護のため、電球を枝の先まで取り付けませんが、当時は
先端まで全て飾られていたため、より華やかで豪華だったと思います。
日本も豊かになったんだなぁと実感したものです。

今年は、冬の花見と銘打った目黒川のピンク色や、青の洞窟がイメー
ジの代々木公園の青い光と、バリエーションも増えましたが、鹿島の
お気に入りは昨年に続き、丸の内の中通りのイルミネーションです。

大きな並木の通りではありませんが、微かに差のある白い色と黄色の
二色の細かい電球がかもし出すシャンパンのような色合いは、とても
洗練されていて素敵です。近くに行きましたら、ぜひ!
Filed under: 嘉島 — 12:30

ラブ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ

1日 は一の酉。酉の市というと晩秋のイメージですが、実感持てない
ですね。三の酉まである年は寒くなると言われていますが、どうなり
ますか。季節感が変わってきてるようです。

ハロウィンが過ぎ、街は少しづつクリスマスの飾り付けに変わってき
ました。本来ですと嘉島は、晩秋から初冬にかけて空気が澄み、透明
感の増した、この時期の東京が美しく感じられ、好きでした。

しかし、こう暖かいと今年に関しては、嘉島の大好きな東京のベスト
シーズンは初冬ぐらいからになりそうです。しかし気温は高めですが、
それでも晴れた日の空は高くなり、徐々に澄んできているようです。

先日、そんな東京のベストシーズンに聞きたい CD に出会いました。
ジャズ・ヴォーカル界のキング&クイーン、トニー・ベネットとダイ
アナ・クラール共演の『ラブ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ』です。

このデュエット・アルバムはタイトルからも判るように、米国音楽界
の父ジョージ・ガーシュウィンの生誕120周年を祝って、現在も歌い
継がれるスタンダードの名曲が収められています。

世界同時発売で、出たばかりの CD ですが、二人による歌唱、ピアノ
・トリオの演奏ともども、現在のアメリカのエンターテインメント界
の粋が詰まった、芳醇な名盤に仕上がっていると思います。

トニー・ベネット92歳。かつてシナトラが「お金を出して聴きたいの
は、トニーだけだ」と語ったことで有名ですが、現在も第一線で活躍。
最近10年間のアルバム・セールスは1000万枚を超えています。

そして、これまで発表した8作品を全米ジャズ・チャートNo.1に輝か
せているダイアナ・クラール。二人の声は時を重ね、熟成された香り
高いお酒のように酔わせてくれました。

歳を重ねていくいうことも悪くないなあと、嘉島に勇気も与えてくれ
た CD です。ジャズ・ヴォーカルを聴く機会は中々無いと思いますが、
お勧めいたします。

Filed under: 嘉島 — 13:00

高尾山の休日

気がつくと今年も10月。年々、月日の経つのが加速度をつけて、速く
なっていくように感じられます。早い梅雨明けに猛暑、台風といった
目まぐるしい気候の変化も速度に拍車をかけているようです。

さて、秋もたけなわ、お嬢様方にはいかがお過ごしでしょうか。先日、
嘉島は若い友人たちに誘われて高尾山に行ってまいりました。小学校
の遠足以来ですので、五十数年ぶりの高尾山になります。

紅葉には早かったのですが、都心から1時間で豊かな自然を楽しめる
と、ミシュラン・ガイドで三ッ星を獲得した影響もあるのでしょうか、
外国人も含め、多くの登山者で賑わっていました。

といっても皆さん普段着で。嘉島たちも最初からケーブルカーを利用
するつもりでしたので、いつもと同じ服装で。それでもケーブルカー
を降り、薬王院から山頂まで、爽やかな空気の中を歩きました。

途中、サル園の奥にある野草園に立ち寄りました。緩やかな山の斜面
の小径の木々の下、野草が自然な状態で植えられており、其処彼処で
小さな可憐な花が人知れずに咲いていました。

そんな素敵な野草園ですが、殆ど人が居なかったので、秘密の花園を
独り占めした気分になりました。それから薬王院に参拝。大きく立派
な大天狗の像に敬意を表してから、いよいよ山頂へ向かいます。

山頂からは、左側には横浜からその先の江ノ島まで。右側の山並みの
上には富士山を望むことができます。残念ながら、江ノ島はわかりま
せんでしたが、レインボウブリッジはハッキリ見えました。

そして、山並みの向こうに富士山の輪郭をしっかり確認できました。
なにかそれだけのことなのに、得した気になるのが不思議です。嘉島
にも、富士山大好きな遺伝子があることが解った次第です。

そして帰りのケーブルカーに乗る前に、近頃の高尾山の定番、人気の
ビアマウントへ。眼下に広がる、夕景へと移ろいでいく東京の景色を
肴に、楽しかった休日の締めの乾杯をいたしました。



Filed under: 嘉島 — 18:30

女の一生

今年は台風の当たり年のようで、8月に続き9月に入っても、大きな
台風が上陸。猛暑や台風と、ここのところの気象は驚くばかりです。
お嬢様方にはくれぐれもお気を付けいただき、ご自愛くださいませ。

早く本格的な秋にならないかなあと、溜め息をついている嘉島ですが、
こんな時は部屋でゆったり過ごそうと、先日、例によってDVDを物色
しに出かけたところ、大変珍しいものを見つけました。

まず、映画のコーナーでジャン・コクトーの『オルフェ』(1949)と
ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)の新旧2本
の名作をゲット。そして同じコーナーの外れの方を見ていた時です。

なんと1961年に文学座創立25周年記念公演として上演された、女優、
杉村春子の代表作『女の一生』の舞台を録画したDVDを発見しました。
こんなものがあるとは、と大興奮。早速手に入れました。

保存されていた当時のNHKの舞台中継のビデオから、2005年に新たに
DVD化されたもので、杉村さんは50代。周りの方たちも皆若く、今と
なっては大変貴重な戦後新劇黄金時代の名舞台の記録です。

50年前ですが、嘉島は18歳の時に、今は無き渋谷の東横ホールで『女
の一生』を観ております。杉村さん60代。10代から70代までを精力的
に演じ、中でも娘時代の瑞々しさに驚いたことを覚えています。

今回観てみると、杉村さんは勿論、あらためて周りの方に魅せられま
した。特に夫を演じる宮口精二さん。存在感があり、台詞が無くても
目線ひとつで何を感じているのかが伝わってくる好演でした。

また、この舞台は日露戦争勝利の提灯行列から始まって第二次大戦の
終戦まで、その中で懸命に生きてきた一人の女性を描くことで、近代
日本の歩んで来た道筋が分かりやすく浮かんでまいります。

そして杉村さんの名演技です。その時代を知っている女性には主人公
が決して人ごとには思えなかったと思います。それは杉村さんにとっ
ても同じだったに違いありません。

その女性たちの共感が『女の一生』の舞台を大ヒットさせた要因にな
っているのだと実感しました。今回、貴重なDVDを観て、新たに感じ
た次第です。いつも大昔の話で恐縮です。
Filed under: 嘉島 — 16:00