コロニアル

今月は私が提案したケーキ「コロニアル」をご用意できる運びとなりました。

 

以前何度か認めましたが、真夏ほど忌々しい季節もございません。

(ただ一方でその強烈で過酷な日差しと空気を五感全てでもって刻み込めること、そしてその全てがゆっくりと去っていく晩夏には強い美しさも感じます)

そのような夏に、多少なりとも楽しみを見つけられるすれば、コロニアルスタイルではないでしょうか。

ポアロの「ナイル殺人事件」などがわかりやすいでしょうか。
服飾、建築、インテリアなどにみられる様式ですが、時代がかった夏の美しさを発見できるはずです。

ポアロ自身もデザートを愛してやまない人物だったと思いますが、今回はそんなコロニアルスタイルテーマにデザートを用意でございます。

 

しっとりとした食感のダックワーズにマンゴーとパイナップル、ココナツのを組み合わせております。
しかし夏らしく味わいは軽やかに。

ご用命いただければ幸いです。

 

最後になりましたが、私の我儘を素晴らしい形で実現してくれた当家のパティシエに感謝いたします。

日誌

藤。春の青い空のもと、風に揺られながら視界一面を覆う様は、まるでシャンデリアのようです。
またその風に運ばれる香りのなんと美しいこと。
この花の前ではどんな香水であろうと無粋でございましょう。

この枝ぶりをご覧ください。伏龍という単語がございますが、まさに龍が水の中で横たわっているかのような姿。圧倒されます。
こちらの藤は樹齢200年を超えるそうです。
あまり実感もわきませんね。日本でしたら江戸時代。ヨーロッパでしたらフランス革命の後、ナポレオンの活躍も終わろうとする時期です。
それだけ長く生きた藤が、200前と同じように、今年もまた私の目の前で花を咲かせているという事実を前にしますと、自然と畏怖の念が芽生え、万物に魂を感じ取り、神として奉る感覚もわかるような気がいたします。

当家の庭園でも藤が美しゅうございましたね。来年は散る前にお散歩して存分にお楽しみください。

ラムパンチ

お嬢様。いかがお過ごしでございましょうか。
初夏の爽やかさから、徐々に湿気をまとった空気を感じられるようになってまいりましたね。
体調をくずしてらっしゃいませんか?

今月私が主催いたしますタイニーブルームーンでは、そのような空気を吹き飛ばしてくれるような力強いカクテルをいくらかご用意いたします。

パンペロ アニバサリオという上質なラムをベースにいたしました。

どれもスタンダードなカクテルのレシピなのですが、
私なりに意匠を凝らしなかなか面白い味に仕上がったと自負しております。

前回よりも、今私自身が飲みたいと思う味を素直にご用意するつもりです。
日取りが合うようでしたら是非お召し上がりください。

冷たい鞄

春……と申しますよりも
すでに初夏でございましょうか。

大分暖かくなってまいりましたね。
花粉もそろそろ一段落で過ごしやすい時期でございますね。

ただ、そんな心地よい気候だからこそ進言がございます。

お嬢様がお祝いの際にご用命なさる、いわゆる
「アニバーサリーケーキ」
こちらのお持ち歩きについてです。

保冷材はご用意するのですが、別途で300円の保冷バッグのご用意もございます。
せっかくのケーキ。見た目が損なわれることにもつながりますので、私としては保冷バッグをおすすめしたいところではございます。

ただ保冷バッグに関しては、

 

『お嬢様が普段お使いの物を持ち込んでいただいても結構です』

ティーサロンやギフトショップで以前お求めになったものでも結構ですし、
テーマパークで扱われているようなネズミやクマやウサギが描かれたようなものでも結構です。

玄関かケーキを披露する際に使用人にお声掛けいただければ、そちらに保冷剤と共に包みますのでお任せください。

 

これからも。ティーサロンにてお嬢様の思い出の一部を担えるのならそれに勝る幸せはございません。

コンスタンティノープル

春でございますね。

お屋敷の庭園でも花々が美を競いあい、
声高らかにコーラスでも歌っているようです。

そのような中から今回はチューリップの姿をおさめてまいりました。

チューリップと申しますとオランダの印象が強いのですが。
それより以前、オスマン帝国で愛された花でもございます。
特に名君メフメト2世は自身でも育てるほどで、
多くの装飾品にもそのモチーフがつかわれております。

お嬢様におかれましても。
この春、かような名君にならい園芸を楽しまれてもよろしいかもしれませんね。

藤堂が花には優しく、お嬢様には厳しく
指導いたしますので。

16周年

昨年に引き続き、今年も使用人の撮影に参加させていただきました。

撮影、記録を専門とする使用人も当家にはおりますので、彼らに比べますと稚拙で恥ずかしい限りなのですが、
周年という節目の記録を自らの手と感性で残せたことは大変喜ばしく感謝しております。

魅力的な使用人ばかりで、彼らのよさは直接目を合わせ言葉を交わし、瞬く間に変わる表情や声の響きを感じることでしか伝わらないと思います。

しかし形に残る写真はひとつのシンボル、象徴でもございます。
それを目にすることで、彼らの声や表情、思い出がよみがえり、多くの意味を内包するようになるはずです。

 

携わった身と致しましては、是非お手に取っていただければ幸いです。

釘の果実

この度、ギフトショップにて焼き菓子を一つ提案させていただきました。

いわゆるガレットブルトンヌ。

フランスブルターニュ地方の焼き菓子をベースにしております。

バターをたっぷり使った生地にバニラとラムでしっかり香りづけをしております、そちらにハチミツに付け込んだカシューナッツで食感にリズムを与えました。

また表面には大き目の岩塩を数粒落としております。こちらも食感を楽しむと共に、味覚を開きより甘さや風味を感じさせてくれるはずです。

そしてスパイスもひとつ加えたかったのですが、今回はクローブを選びました。
全体的にバランスよくまとまっておりますので、甘く濃厚で、ほんのりしびれるような香り。こちらがいいアクセントになっているはずです。

普段はひと癖ふた癖必要だろうと趣向を凝らすのですが、

今回は意識的に多くの方のお口に合うような、あまり好き嫌いのないようなバランスに落とし込みました。

ざくざくほろほろとほおばる度に、口の中で広がる香ばしいバター、ラム、バニラ、ハチミツ。それらの甘い香りに奥行きを与えるクローブ。

コーヒーでもいいですし強めに入れたディンブラやウヴァ、リリスやアッサムなどがよろしいでしょう。

お酒でしたら甘めのラムや、リキュール類。
ドランブイ、グランマルニエ、シャルトリューズ(ジョーヌ)、アブサンなどはよろしいかもしれません。

手前味噌ではございますが、非常に美味しい焼き菓子に仕上がりました。
お手に取って、お嬢様の日々の小さな幸福につながれば幸いです。

最後になりましたが、私の我儘を形にしてくれたパティシエにもこの場をかりて感謝を。
ありがとうございました。