鳥の尾

あけましておめでとうございます。
本年もお嬢様のお役に立てることを願っております。

さて。

新年早々、ティーサロンにてカクテルをご用意する栄誉をたまわりました。


今回は冬らしくリンゴを使用したお酒カルバドスのカクテルを4種類ご用意いたします。


熟成したスピリッツの風味とフルーティーな洋梨やリンゴの風味のコントラストをお楽しみください。




今回使うカルバドスというお酒について簡単にご紹介いたします。


ぶどうの果汁を発酵させて作るお酒がいわゆるブランデー。
一方。
リンゴの果汁を発酵させて作るお酒がカルバドスです。


今回はその中でもしっかり熟成させ深みをました「シャー ド ブルイユ」という銘柄を選びました。


また「ポモー ド ノルマンディ」
というリンゴで作るポートワインも併せて使います。



昨年、時任がご用意したカクテルがどれも高い水準のものばかりでしたのでハードルの高さも感じるのですが、ご満足いただけるように努めますのでご期待ください。
Filed under: 大河内 — 22:00

製本

今年は比較的時間に余裕がある時期が長かったこともあり、よく映画を観た1年でございました。


「家族の肖像」はまごうことなく名画でしたし
人の薦めで観た「リリーのすべて」「サンセット大通り」などにも心を打たれました。


そのような中。
鑑賞後最近になってじわじわと良さを噛みしめている作品が


「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」



恥ずかしい話なのですが、現代の映画産業をとりまく社会的潮流やキャスティングから、
勝手な先入観で、女性の為に作られた作品だと思い込んでおりました。


しかしいざ見てみますと、実際には現代社会を生きる多くの人に向けて作られた作品でした。


説教臭いわけでもなく、道を示すようなメッセージを強制するわけでもない。
激しく強く心を揺さぶるような作品ではありません。

ただ寄り添い、観客に「そのままの自分でいいんだよ」と赦しを与えてくれるような優しさがございました。


100%すべての人間に絶賛されることは当然ながらありませんが、私はこちらの作品を観て救われたと感じられる部分がいくつもございました。

お気に入りの詩集などと同じで、観る度に、そのときの心情や成長段階に応じた発見もありそうな気がいたします。


珍しく様式よりも内容にひかれた作品でございました。



では失礼いたします。
よき12月をお過ごしください。
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ドレス

長い間手元に置きたいと思っていた靴をやっと手にすることができました。

オペラパンプス です。





女性の靴に見えますか?


いえいえ、これはれっきとした男性用のパンプスです
オペラ鑑賞用のドレスシューズなのでオペラパンプス。



男性の服飾は女性のそれに比べ、シーンに合わせた専用のアイテムが細かに定められています。
(そこが面倒でもあり、愛おしい部分でもあります)

オペラパンプスは最上級の礼装が求められるシーンで使用される靴で、
燕尾の為に生まれた靴といっても過言ではありません。

当然、必要となる場面はオペラ鑑賞や晩餐会、動くといっても舞踏会程度。
屋外を歩くために作られた靴ではありません。
ですので靴底も薄く華奢なつくりをしております。


エナメルで作られることも多いのですが、個人的にエナメルはあまり好みではないのでカーフの物を選びました。
ギリギリまで削られたコバと足のくびれに寄り添うウェストの美しさ。
この一足をつまみにお酒が飲めますね。


とはいえやはり、我々使用人が普段はくには到底過ぎた靴でございましょう。
この靴はキレイに磨き観賞用として、
肉体労働者は肉体労働者らしく頑強な靴をはくことにいたしましょう。


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蜘蛛



スパイダーリリーというそうですね。
言い得て妙。

四方八方に伸びた花弁はまさに蜘蛛を思わせます。
改めてじっくりと眺めますと奇妙であり、怖さも感じますね。


しかし、彼岸花の魅力は群生するところでしょう。
1輪で咲いていることはあまりございません。



あの形、あの色の花が、埋め尽くすように群生している様は
どこか不穏で禍々しさえ感じさせます。
非現実的な不安定さですが目が離せない、そういった美しさもいいものですね。

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モノポリー

2007 Puligny Montrachet 1re Cru Clos de La Mouchere
Domaine Henri Boillot

2007 ピュリニー・モンラッシェ クロ・ド・ラ・ムーシェール アンリ・ボワイヨ



クロドラムーシェール。
ドメーヌ・アンリボワイヨがピュリニーモンラッシェの1級畑ペリエール内に単独所有する区画です。


コルクから一瞬シェリーのような香りがしたので若干心配しましたが、健全でした。

輝きのある深みを増したイエロー、リムに立体感を感じる液体に期待が高まります。


開けた瞬間、まるでゲランの香水のように、華やかに洋酒とバニラの香りが広がります。その後しだいに落ち着き樽の香りはフルーツのになかに溶け込んでいきます。
白い花、レモン、リンゴ、洋ナシ、ブリオッシュ、バニラ、ミネラル。
フルーツはもう少し糖度が高いかと思ったのですが、酸を感じるフルーツの香りがメインに。ミネラルも豊かに感じます。
抽象的な表現になってしまうのですが、熟成した上質なブランデーなどにも共通する密度の高いエキスのような香り立ちが素晴らしく、品質の高さがうかがえます。

口に含むと重さと輪郭を感じるコクのある液体。
リリース当初堅固であったであろう凝縮した果実味がほどけて、角が取れた酸とミネラルがしっかり輪郭を作っています。
2007らしく酸はかなり豊かで。一般的なピュリニーの酸ではありません。
かといって、シャブリやシャサーニュとも違うヴィンテージの個性を感じさせます。


優良とは言えない年ですが、生産者の技量と努力、ブドウと向き合った中で生まれた液体なのでしょう。
酸もただ酸っぱいわけではなく厚みがあります、糖度が上がらなかったであろう果実味もしっかり凝縮感があります。補糖や補酸だけではこうはならないでしょう。
96年などは特に顕著なのですが、酸が美しい年のワインには心を打たれます。


赤でしたら2000や2005あたりでしょうか。
多くの要因がありますが、古典的と言える作品にはもうそうそう出会えないのかなとも感じ寂しさを覚えます。


しかし何事もそうなのですが、懐古的になるのはあまりよくありません。今を楽しむべきでしょう。
懐古的な感傷に浸れるのも、「10年前の今」を全力で楽しんだからです。
10年後のためにも、今を楽しむのが正しい生き方でしょう。

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海月

8月。私の好みを反映したジュレをご用意できることになりました。


最初にひと言お伝えしたいのですが。


「と っ て も お い し い で す !!」


誰が作ったのか、どんな想いや物語が込められているのか、そんな要素は些細であり、意味を持たない。
言葉は必要ありません。
お嬢様の洗練された感性であれば、すべておわかりいただけるはずです。



ただ、あえて付け加えるのなら。
(ここからが本題で長いのですが)



もしお手にとっていただけたなら。


口に含む前に、まずはお顔を近づけてその香りをお楽しみください。
誠に艶やかな、部屋中を満たしたいと思えるようなしっとりとした香りをお楽しみいただけるはずです。


そして、食感も重層的で心地よいリズムを感じさせます。
まず、舌の上で溶けるジュレ、それとともに広がるヴェルモットとハーブの香り。
グレープフルーツは大きな房を崩さず入れておりますので、肉厚で瑞々しい食感を楽しめます。
そして、散りばめたピンクペッパー。
噛み砕くと口いっぱいに広がる、スパイシーで華やかな香り。


私の技量では筆舌に尽くし難く、
至福という言葉以外はみつかりません。




海を思わせるお酒ヴェルモット、そして地中海のハーブ。
弾ける柑橘とピンクペッパーの味わい。

そこにあるのは潮風、熱、瑞々しさだけではなく、晩夏の夕暮れ、気怠い夕辺。
海を望む庭園、ハーブが生茂る中で、虫の音を聞きながらグラスを傾ける時間です。


旅行もままならない日々ですが、お心だけでも地中海へ馳せてください。





ちなみに本来は
有名な絵画から名前をとり


「庭園での語らい」


という名前のデザートにしたかったのですが、的場に却下されてこのような名前になりました。


「大河内はん。そんなけったいな名前じゃあ、なーーーんも伝わらへんやで、冗談はヒゲだけにしたってぇ!ほなさいなら」


こんなことを言われた気がします。




最後になりましたが、私の我儘を形にしてくれた当家のパティシエにも感謝の言葉を。
いつもありがとうございます。
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月の猫

数か月前に皆既月食があったのを覚えておいででしょうか。
その時の写真ができましたので、思い出しながらご覧いただければ幸いです。

当日は雲も厚くあきらめて自室ですごしていたのですが、お酒を片手にベランダへでるとキレイにかけた月を見ることができました。






ピークはのがしたものの、薄曇りだったことが幸いして幻想的な一枚が残せました。

古い映画のワンシーン、前後に物語を思わせる。明暗でカラーバランスに齟齬がある、作り物のような色づくりにいたしました。


やはり写真は面白いですね。
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きりとり

先の告知にありました通り、当ティーサロン15周年に合わせたフォトブックに私の写真も掲載していただけることとなりました。

当家のカメラマンの技術や感性に比べれば児戯にも等しい出来で、恥ずかしい限りなのですが。お楽しみいただければ幸いです。

実際に、私が撮影する意味も希薄で、ただ私のわがままを形にするために多くの人間が協力してくれました。
決して胸を張れるようなことではございません。
それでも、ファインダーをのぞきシャッターを切る瞬間の昂揚、PCの前で写真を眺め編集する時間の楽しさ。なによりも素人の身では、写真が簡易的にであっても製本されること自体が夢のようです。
最後に改めて、ティーサロンを大切にしてくださるお嬢様、編集に協力してくれた大旦那様付のカメラマンとエディターに感謝を。



先日。
製本された実物を拝見したのですが、今までお屋敷でご用意した本の中でも屈指の完成度でした。
是非お手に取っていただければ幸いです。

(そしてもし写真をご覧になって、私の写真がお気に召していただけたようでしたら、是非、的場か桐島あたりに伝えてください。
もしかしたら、次につながるかもしれません。そうすれば私のティーサロンでの楽しみがふえます)

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ロースト丘陵

ギガル コートロティ Chダンピュイ 2010

2010 Cote Rotie Chateau d'Ampuis E.Guigal


エッジは若干色が落ちております。
カシスやブラックベリーの黒い果実、チョコレート、少しのペッパーにシナモンリコリスの甘いスパイス、レザー。
力強い凝縮した果実味が酸と共にほぐれてきたのがわかる、しなやかでなめらかな口当たり。
余韻もとにかく長く、アルコールの高さもあり強いフィニッシュでした。

2日目もすさまじい様相で。
完全に開き、熟成した要素がグラスからあふれております。
湿った印象、枯葉、ドライフラワー、なめし革。
味わいには集中力があり、重厚ながらも、厚みのある酸が溶け、なめらかで、ミネラルと共にキレイに輪郭をかたどっております。後半にはきめ細かく豊かなタンニンと鉄。余韻もすばらしい。


ローヌは全く集めていなかったので、ダンピュイはストック最後の1本。
当然開けるの早かったのですが、飲みたいときに飲むのが一番でしょう。
いや。さすがに素晴らしい味わいで、紛うことなくグランヴァンといえましょう。

コートロティ、エルミタージュ、コルナスあたりは孤高のワインという印象で、タニックで力強くしなやかで引き締まった味わい。それがほぐれる瞬間がたまりません。


ワインから離れたと思っていても、いいワインをいただくと心震えるものですね。
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肝心の辛いの忘れた

ここ数年、毎年贈られてくる唐辛子でございます。

天日干しにしておくのですが、

緑から黄色を通り深い赤まで、

きれいなグラデーションでしたので思わず並べてしまいました。




父が田舎の庭で育てているのですが、正確には「育てる」必要などなく

虫も寄り付かいので、水をやるだけでものすごい量が収穫できるそうです。


かといって味に遜色があるわけではありません。
辛さでいうならむしろ市販のものよりもしっかりございます。

普段のレシピの半分の量で済んでしまうほどです。



柚子も毎年のように送られてくるので、来年はどちらも青いうちに収穫してもらって、

柚子胡椒を作ってみるのもいいかもしれませんね。

上手くできたらご披露いたしますね。

Filed under: 大河内 — 22:00