浅葱のお茶会~お出掛け編~

温かくなると日向ぼっこがしたくなります。

縁側で緑茶とおせんべいを用意して、ゆっくりと過ごせるなんて、とっても贅沢なことです。自室に縁側はありませんが、ベランダに接したガラス戸を開けて、座布団を用意しました。

最近、新しく買いました急須の出番です。
ところで庶民の生活において、急須の注ぎ口に透明なカバーを付けっぱなしにしている方が多くいらっしゃるのですが、あれは梱包する際に注ぎ口が折れないようにする為の緩衝材らしいです。むしろ付けっぱなしにすると、そこに雑菌が繁殖してよろしくないとか。

閑話休題。

そうそう、お茶請けのおせんべいは……今日はえびせんにしましょう。丁度桜えびを使ったものをこの間頂いたのです。

ぱりぱりぱり、ぐびぐび。

はぁ、なんて幸せなんでしょう。
大きなあくびをひとつして、浅葱はぼんやりと庭を眺めておりました。


『睡眠というのは、猫のようなものだ。試験の前など呼んでいない時にやってきて、目が覚めた時に呆然とする。待っているといつまでも来てくれなくて、いらいらと心を焦がす』恩田陸・夜のピクニック


ふと思い出した、浅葱の好きな文章です。
お休みを頂き、色々やりたいことがたくさんあるはずなのですが、そんな時に限って眠気が襲ってまいります。

どうしたものかと考えておりますと、

???「にゃーん」
浅葱「な、なんと!」

愛らしい瞳、ピンと伸びたおひげ、柔らかそうな毛並み、ゆっくりと動くしっぽ!
間違いなくあれは……

浅葱「猫ちゃんでございます!!」

一気に目が覚めました。

猫ちゃん「にゃーん?」
浅葱「おいでおいで」

手を招いて膝を空けてやりますが、猫ちゃんは首を傾げております。

浅葱「はっ! 我を忘れておりました!」

重大な問題がありました。
浅葱は、猫アレルギーでございます。
時々誘惑に負けて猫ちゃんをもふもふしたくなってしまうのですが、触れれば最後、浅葱の顔がもふもふになってしまうのでした。

浅葱「くぅ……ここは我慢するのです。浅葱は我慢出来る良い子なのです」
猫ちゃん「にゃんっ」
浅葱「にゃ、にゃんと!」

我慢すると決めた矢先、猫ちゃんが浅葱の膝下にやってまいりました。
嗚呼、もう我慢できません!

浅葱「南無三っ!」
猫ちゃん「にゃっ!」

ざくっ!
引っ掻かれました。
浅葱でございます。

(more...)
Filed under: 浅葱 — 13:00

浅葱のお茶会~オリジナル編~

最近、涙脆くなってしまいました。
原因は判っております。全部私のせい。
薬に頼ってしまうのはいけない事と知りつつ。また、手が伸びてしまいます。
嗚呼、お許しくださいませ。
意志の弱い私をお許しください、お嬢様。
悪魔が迫り来るのです。
そして私を虐める彼奴に慈悲はなく、
あるのは一方的な苛虐。
血も涙もありません。
血は出ませんが、涙は出ます。


……花粉症です。


黄色悪魔が襲来しております!
はっくしょん!! ちくしょうめ!!
浅葱でございます。

(more...)
Filed under: 浅葱 — 16:00

執事達の休日2.5

少し前の出来事です。

ここは使用人寮、杉村の自室。
休日に五人の使用人が集まって、楽しくわいわいとスコーンを作り終えた後のことです。
杉村の自室ではオコタを中心に使用人達が集まって、反省会をしておりました。
黒崎、八幡、浅葱の三人がオコタに入って歓談をしております。部屋の主である杉村は、少し離れてキッチンにおりました。トントントン、とリズミカルな音が聞こえたり、グツグツと煮える音が聞こえてきて、部屋にはなんだか良い香りが漂っております。

浅葱「それにしても酷い目に遭いました。まあ、楽しかったですけど」
黒崎「八幡と杉村は許さない」
八幡「何かしましたっけ?」
黒崎「忘れないからな!」
浅葱「まあまあ、美味しいスコーンも出来ましたから前回より良かったんじゃないですか。それに口直しとして杉村さんが美味しい料理を振舞ってくれるじゃないですか。……ねぇ杉村さーん」
杉村「そろそろ出来るよー。浅葱、運ぶの手伝って!」
浅葱「はーい!」
トタトタ、と浅葱は駆けていきます。
八幡「たこ焼きに続いてスコーンと作ってきましたけど、次回は何を作りましょうか」
黒崎「八幡は全然懲りてないなあ。私はもう作りたくないよ。……ちなみに、八幡が次に作りたいものはあるの?」
八幡「たくさんありますよ。まずはお好み焼き編でしょう。後はパンケーキ編。そしてパスタ編とかもいいんじゃないですか」
黒崎「……どうせまたミンティア入れたりにんにく入れたりするんじゃないの?」
八幡「そんなことないですよ、黒崎くん」
黒崎「絶対そうじゃん!」
そんな二人の下へ料理を運んできた杉村と浅葱は、テーブルの上に次々と美味しそうなものを載せていきます。
杉村「お待たせ! 桐島さんのリクエストしてたハンバーガー、黒ちゃんのリクエストのお好み焼き。それから浅葱が駄々をこねたからナポリタンも作っておいてあげたよ。唐辛子とニンニクが大量にあったからアラビアータやペペロンチーノも作ってみたんだ。お酒のつまみとしてアヒージョも」
黒崎「す、すごい量ですね」
浅葱「ナポリタン~♪ ナポリタン~♪」
八幡「では早速頂きましょうか」
杉村「あれ? お腹が空いたって騒いでいた人がおりませんね」
黒崎「桐島さん? そういえばいないですね」
浅葱「そんなことよりナポリタンですよ!」
八幡「桐島さんには美味しかったと伝えときますから食べましょう」
杉村「そうですね、冷めちゃいますし」

四人「いっただきまー……」


バンッ! と、勢いよく扉が開く音がしました。

桐島「ちょっと待ちなさい!」
黒崎「き、桐島さん?」
桐島「違うわ! 桐島お嬢様とお呼びなさい!」
杉村「桐島、お嬢様?」
八幡「桐島さん、ついに気が触れたのですか?」
桐島「ノー!! アタクシは気づいたのです! お嬢様に気に入っていただけるような物を作るには、誰かがお嬢様役になるのが一番だってね! この五人で一番お嬢様なのはだ~れだと思う? ……アタクシだよ!!」
浅葱「た、確かに! 桐島さんから溢れ出るお嬢様のオーラ、高貴な出で立ち、ダイナミックボディ。ここにいるのは桐島さんではありません! 桐島お嬢様です!」
杉村「え、何これ……何か始まったけど」
黒崎「また訳のわからぬことを。八幡、ちょっとあの大きなお嬢様もどきを黙らせてくれませんか」
八幡「桐島さん......いえ、桐島お嬢様!それで私達は何をすれば良いのでしょう!」
杉村「八幡まで?!」
黒崎「駄目だ、この人達」

杉村「で?何をしてほしいの桐島さん」
桐島「お嬢様!(指 ポキポキ)」
杉村「っ....…お嬢、様。(まだ死にたくない)」
桐島「今回はみんなにアタクシの気にいる『キッシュ』を考えてもらうわ!題して、執事たちの休日2.5弾!キッシュパーティ~!! いぇーい!」
浅葱「いぇーい!」
八幡「キッシュですか、面白そうですね」
黒崎「そんな急に言われても……」
浅葱「はい! はいはいはい!」
桐島「はい、じゃあ最初は浅葱ね!」
浅葱「こほんっ……それでは桐島お嬢様。本日は私、浅葱が考案したキッシュをお持ち致しました」
桐島「用意がいいわね、浅葱。恐ろしい子!」
杉村「ノリノリですね……」
浅葱「こちら『浅葱』風キッシュでございます」
桐島「自分の名前を付けたのね。それで何が入ってるの?」
浅葱「文字通りアサリとネギを入れまして、そして浅葱色にする為にチョコミントをーー」
桐島「うん、却下よ!」
浅葱「そ、そんなぁ」
八幡「当たり前ですね」
桐島「次は誰かしら!」
杉村「では私、杉村が桐島お嬢様にキッシュをお持ち致しました」
黒崎「杉ちゃんも意外とノリノリだ……」
杉村「こちら『八幡』風キッシュでございます」
桐島「き、危険な予感しかしないわ」
八幡「美味しそうですね」
桐島「何が入ってるのかしら?」
杉村「黒ごまときな粉、そしてサクランボ」
桐島「ほう、和テイストでなかなか……」
杉村「そしてミンティアとニンニクでございます」
桐島「とんでもなかったわ! ダメよ、ダメダメ! 次は黒崎! 真面目な貴方なら美味しいキッシュを作れるでしょう」
黒崎「まあ真面目ではありますけど、なんか釈然としないのはなぜでしょう。まあいいです……こちら『日本』風キッシュでございます」
桐島「日本風? 和風なのかしら」
黒崎「左様でございます。日本人の魂でございますお米を使ったキッシュでございまして、炊きたてのご飯をギッシリとキッシュに詰め込んで焼き上げたものでございます」
桐島「んー確かに今までにない発想だけど」
八幡「味付けは?」
桐島「そうね味付けは大事」
黒崎「勿論、白米の美味しさを味わう為に……塩のみを使います!」
杉村「塩、だけ?」
黒崎「塩と米! それこそが究極であり、至高でございます!! 充分ではございませんかっ!」
浅葱「確かに美味しそうですけれど……」
桐島「残念だけれど却下よ。桐島お嬢様が満足するキッシュとしては物足りないわ」
黒崎「くそう! 梅干しをつけていればよかったのか!」
杉村「そういうことではないと思いますが」
桐島「嗚呼、なんということかしら。この桐島お嬢様を満足させるキッシュはないということなの!」
八幡「お待ちくださいませ。そう決めるのは些か尚早でございます。この八幡がおりますでしょう」
浅葱「一番不安なんですけれど……」
桐島「そうね。八幡、貴方はどんなキッシュを持ってきたのかしら?」
八幡「それでは……こちら『お屋敷』風キッシュでございます」
桐島「お屋敷? 何が入ってるのかしら」
八幡「こちらにはハンバーグにお好み焼き、ナポリタンをバランス良くお入れして、程よい唐辛子の辛味やほのかにニンニクのエッセンスを取り入れ、私達五人をイメージした素晴らしいキッシュです」
桐島「私達五人を、イメージした?」
八幡「はい」
桐島「素晴らしい、キッシュ……?」
八幡「左様でございます」

桐島お嬢様と八幡は見つめ合います。

八幡「桐島お嬢様、お召し上がり下さいませ」
桐島「八幡……」
八幡「桐島お嬢様……」
桐島「八幡……!」
八幡「桐島お嬢様……!」


トゥンク、トゥンク、トゥンク。


浅葱「……あのう、食べませんか?」
杉村「そうですね。悪ノリが過ぎました」
黒崎「ギフトショップのアホ二人は放っておきましょう。それじゃあ、」
三人「いただきまーす!!」



桐島「やはたぁ……!」
八幡「桐島さん、気持ち悪いです」
桐島「あ、はい」


ちゃんちゃん!



浅葱でございました。
Filed under: 浅葱 — 10:00

浅葱のお茶会~BC編~

明けましておめでとうございます。
浅葱でございます。

今回はお正月に相応しい紅茶と語らっていこうと存じます。
それでは本日のゲストを呼びましょう。

浅葱「バタフライクラシックさーん!」
バタフライクラシック「はーい!」

以後は長いのでBCと呼びます。

(more...)
Filed under: 浅葱 — 07:00

浅葱のお茶会

2018年が今月で終わります。
来年からは2019年。
ここ数ヶ月、たくさんのフットマンブレンドティーが増えておりますね。その味や香り、名前を覚えるのが大変なくらいに。
杉村のシルヴィアス。
御茶ノ水のバナナキャンディ。
浅葱のミッシェル。
綾瀬の大和撫子。
佐々木のPSG。
桐島のアレキサンドライト。
才木のニルス・オーラヴ。
そして、来月には平山のシャイン。
ここ数ヶ月で8種類の紅茶が新しく仲間入りしました。大変喜ばしいことです。

ですが、今月でお別れをする子もいます。
バースデーティーと呼ばれる12の月をイメージしたフレーバードティー達です。

ゼウス、アフロディーテ、アルテミス、
ヘーパイストス、ヘルメス、ヘラ、
ポセイドン、アレス、デメテル、
アポロン、アテナ、ヘスティア。

今回はこの12種類の紅茶達とお茶会を致しましょう。



まずは1月のバースデーティー、ゼウス。
柚子フレーバーの紅茶です。
……正直、難しい気性の子です。彼と出逢うまで、浅葱は柚子の着香茶を飲んだことがございませんでした。柚子の香りが好きでしたので出逢ってすぐにお友達になろうとしましたが、彼は想像以上に強い香りと渋みを発して、なかなか仲良くなれなかったのです。けれども浅葱は諦めませんでした。出来るだけ軽やかになるようアプローチを繰り返し、何度も喧嘩をしながら徐々に仲を深め、ついに香りを爽やかにして渋さを和らげることが叶いました。彼は途端に柑橘の軽やかさを増し、柚子フィナンシェやダヴィンチの柚子パスタとマリアージュ致しました。それ以来、刺激が欲しい時に、彼と遊ぶことにしました。

次に2月のバースデーティー。アフロディーテでございます。
チョコレートフレーバーの紅茶ですね。
彼女とは忘れられない思い出がございます。それは浅葱が紅茶係を務める少し前のことでした。ティーサロンがお休みの時、綾瀬と一緒に紅茶を淹れて練習しておりまして、浅葱の未熟な紅茶を何十種類と嫌な顔もせずに飲んでくれました。そんな綾瀬が、このアフロディーテを絶賛してくれたのです。そしてお嬢様にも浅葱の淹れるアフロディーテは最高です、とオススメしてくれていました。彼女は浅葱と綾瀬の思い出の子なのです。

次は3月のアルテミス。
薔薇フレーバーの紅茶です。
浅葱がバースデーティーの中で一番飲んでいたのはきっと彼女でしょう。セイロンティーベースの着香茶でございますが、ドライフラワーもブレンドされている本格仕様でございますし、香りも華やかで上品という優秀な子でございます。特に杉村が淹れるアルテミスは香りが特に際立ち、鼻腔に広がる花の香りに癒されておりました。……熱々で舌をよくやけどしましたけれど。杉村といえば柚子のイメージがありますが、浅葱は今でも薔薇のイメージが刷り込まれているのはこのためです。

4月のヘーパイストス。
マスカット&グレープの香りです。
瑞々しい香りを感じる子です。よく上質なダージリンはマスカテルフレーバーというマスカットの香りに似たエッセンスを感じると言いますが、フットマン達がこれぞ本当のマスカテルフレーバーだ、と笑っていたことが印象的です。使用人では佐々木や桐島が彼女を好んでおりまして、時々甘々のヘーパイストスを淹れてあげておりました。アイスティーとの相性も良く、甘くした彼女は夏に飲みたくなる子でした。

5月のヘルメス。
アプリコットフレーバーの紅茶です。
彼は甘えん坊の少年、といった香りでした。アプリコットの香りはデザートとの相性が良く、ハニースコーンなどと一緒に食べても真価を発揮してくれます。午後のゆっくりとした時間、おやつと一緒に淹れたくなるような子です。

6月のヘラ。
パイナップルフレーバーです。
12の紅茶達の中で一番の新参者でございました。前のグレープフルーツフレーバーも面白い香りがしましたが、パイナップルは何もかもが初体験の味でした。彼女はなかなかパンチの効いたトロピカルな香りをしておりますので、淹れるシーンを選んでしまいますが、それでも夏といえばこの紅茶! という絶対的な安心感もあります。水瀬のエクストラティーに使っていたメロンフレーバーの子と一緒に、色々なフルーツ系フレーバードティーとブレンド致しまして「フルーツポンティー」を作った思い出が懐かしいです。この子とメロンの子が他の香りを塗りつぶしておりました。

7月のポセイドン。
レモンフレーバーの紅茶です。
お屋敷には用意していないレモンティーを香りで楽しんで頂ける紅茶です。ゼウスと共に仲良くなることが難しかった子でした。レモンの甘酸っぱい匂いをバランスよく抽出することがとても難しく、何度も失敗を繰り返して飲みやすく淹れておりました。胸に残り離れない、この苦いレモンの匂い。今でも彼はわたくしの光、でございます。

8月のアレス。
ピーチフレーバーの紅茶です。
一番思い出の深いバースデーティーでございます。浅葱のブレンドティーでございます『みっちゃん』にも使われておりますし、何を隠そう、桃が大好きなのです。一番最初に練習した紅茶でもございます。少し寂しくなりましたら、みっちゃんを飲んで彼のことを思い出してあげてくださいませ。

9月のデメテル。
金木犀の香りの子です。
とても好きです。ファンも多く、浅葱もオススメしておりました。先日、瑞沢と紅茶の話をしている時に好きだと言っていましたので、おそらく私と趣味が合うことでしょう。きっと金木犀を使っているミッシェルのことも好きでしょう。ね、瑞沢さん。

10月のアポロン。
マロングラッセフレーバーの子です。
アポロンといえば影山が好きな紅茶というイメージが昔からありました。そして昔いた使用人から受け継いだブレンドティー『アポカリプス』の材料にもなる子です。アポカリプスはアポロンとリリスを等量程度でブレンドし、砂糖とミルクを入れておくと、フットマン達の笑顔を見れる素晴らしいお味でした。よければお試しくださいませ。

11月のアテナ。
ハニーバニラの香りの子ですね。人気者です。
甘やかな香り、飲みやすい味、特にミルクとお砂糖を入れるとふわふわなお菓子のようにとろけてしまいます。浅葱が。

12月、ヘスティア。
キャラメルフレーバーの紅茶です。
この子も人気者でしたが、アテナとヘスティアは系統が似ておりますので偶にどっちのポットがヘスティアだったけなーっと紅茶係を苦しめました。いえいえ、紅茶係の嗅覚を磨いてくださったのですね。



少し長くなってしまいましたが、いなくなってしまう子達のことを浅葱は忘れません。たとえ短い期間であっても一緒にお嬢様に仕えたことは良い思い出でございます。新しい子のことも大切にしつつ、時には思い出して、お嬢様と懐かしむのも悪くはないと思う浅葱でございました。
Filed under: 浅葱 — 16:00

紅茶を美味しくするためには

浅葱でございます。


普段お嬢様が飲まれております紅茶。

ティーサロンでは特に紅茶係が淹れておりますが、紅茶係を務める使用人ごとに味が変化しているように感じることはありませんか?
例えばこの使用人は少し味が濃い目に抽出される、だとか。味は軽やかで香りが高い紅茶を淹れる使用人、だとか。

それらの違いは、紅茶係を務める使用人の紅茶の淹れ方に起因した差異ではないかと浅葱は考えております。
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Filed under: 浅葱 — 20:00

嗚呼、愛しのみっちゃん

今月から浅葱のブレンドしましたオリジナルブレンドティーをご用意致しました。

『ミッシェル』でございます。
英語で綴るとMichelle。
最初から最後まで自分自身で作ったオリジナルブレンドティーでございますので、浅葱は我が娘のようにこのミッシェルを可愛がっております。
浅葱は密かに『みっちゃん』と呼んでおります。

フランスの女性名を付けておりますが、由来はイギリスのロックバンドであるビートルズの曲名から。哀愁漂う曲調に、叶わない恋の気持ちを乗せた名曲でございます。


浅葱の好きなライチ、
そしてピーチのフレーバー、
ひとつまみの花びらをブレンド。

キンモクセイとコーンフラワー。
華やかな香りがありますが、ベースが中国紅茶を使っていますのでとってもサッパリとした味です。

ストレートはお食事に合うように。

そして砂糖を入れると途端にフルーツフレーバーが強く感じます。
デザートなどに是非お試し下さいませ。



「私がミッシェルを浅葱より上手く淹れてませましょう!」
この間、綾瀬がそんなことを言っておりました。

最近紅茶係にデビューして、メキメキと腕を磨いているようでございます。是非とも綾瀬が紅茶係を務めておりましたら、綾瀬ミッシェルをお飲み下さいませ。

感想は……まず、浅葱にお伝え頂ければ幸いでございます。


「では、来月からご用意する『大和撫子』は綾瀬よりも美味しく淹れてみせましょう!!」


そんなことを密かに決意した浅葱でございました。



……ちなみに、同時期にお出し致しました御茶ノ水の『バナナキャンディ』。ウチのみっちゃんのライバルとしてどんな味なのか飲ませて頂きました。


うーむ…。
…………。
………。



悔しいけれど、これも美味しい。

ミルクや砂糖の相性は勿論、
ただの着香されたバナナフレーバーではなく、アプリコットを少し加えたことによりバナナのフレッシュ感が何故か演出されているという化学反応が起こっています。


恐るべし紅茶マイスター。
恐るべし御茶ノ水。
今度美味しいロイヤルバナナミルクティーでも作ってもらいましょう。

浅葱
Filed under: 浅葱 — 16:00

嗚呼、愛しのペンダコよ

むかしむかしの話でございます。

小説を読むことが好きだった私は自然と文章を書くことを覚えました。初めは遊びのようなものでした。空想や妄想の類いを延々と書き連ねては破茶滅茶な展開を書き殴っておりました。キャラクターや世界観、ストーリーの設定を書き連ねるノートは何十冊にも及び、数年前に荷物を整理していましたら不意に発掘されて私を大いに苦し辱めました。いい思い出でございます。すぐに焼却致しました。

物語を綴ることが好きだった私は、原稿用紙に手書きで小説を書いておりました。20文字×20行を埋めると大体300文字から350文字になりますので、長編小説を書き上げると200枚から400枚ぐらいになりますでしょうか。幼少の頃は大旦那様から頂いたお小遣いのほとんどを原稿用紙を買うお金にあてておりました。

ジャンルはその時々で異なり、好きなことを好きなだけ書いておりました。特にその当時好きだった小説家の影響を受けることが多く、やたらと三点リーダーを使う時期もあれば、文章の接続に「~だけれど」と多用していたり、全く関係のないことをクドクドと書いていたり、と。未だに影響を残しているものもございます。

その原稿用紙が山となり、崩れる頃には大きなペンダコがぽっこりと中指に出来ておりました。指が歪になることはあまり喜ぶことではないかと存じますが、私は努力した証としてなんだか誇らしく思っていたのです。

お風呂に入りながら、その日一日酷使したペンダコを撫でて、よく頑張ったね、私はなにも君が憎くて酷使しているわけではないのだよ、言うなれば愛情、愛故にスパルタとなるのだよ、と言い聞かせてあげたものです。

一日中文章を書いていた時の熱も少し冷め、それでもペンダコはずっと私のもとにおりました。筆を握っている限り、ペンダコが私のもとからいなくなるなど考えられませんでした。強く握り締めれば、翌日いつも以上に膨らみますし、そのポッコリは手の中で特別に硬くなって存在を主張しておりますから。

私はもう、ペンダコなしでは生きられない身体になってしまったのです。



ある日、そのペンダコが家出しました。


置き手紙が残されていて、それは私に向けて書かれたものでした。その字には確かに見覚えがあり、それは私のペンダコが書いた文字でございます。


『さようなら』


その短い一文を残し、ペンダコは姿を消しました。

その日からお風呂に入っても話しかける相手はいなくなってしまいました。かつてペンダコがいた中指を撫でて、ため息を吐くのが日課になりました。そこには真っ直ぐに伸びた中指しかなかったからです。

「なんで僕を置いていなくなってしまったんだ」

哀しみを紛らわす為にたくさんの物語を綴りました。ミステリーを、SFを、恋愛物を、ハードボイルドを、コメディを、ホラーを。

それらを読み返すと、何処かにペンダコの姿を探しているように思えました。

真犯人はかつて共に過ごした幼馴染で、宇宙的規模で増殖を続ける愛しい指のポッコリ、ふと気づくと一番大切なのは傍に居てくれた君で、バーカウンターでバーボンを傾ける君は、全力で駆け出す上に裸というアホウな姿、恐ろしい気配に振り返るとそこにいて。

支離滅裂ですが、確かにそれはペンダコでした。

そうして私はペンダコが大切な存在だったことに気づきました。

「愚かなのは僕だったよ。どうか、どうか戻ってきてはくれまいか」

涙を拭った手には、やはりペンダコはおりませんでした。


「私はここにいるよ」


声が聞こえました。
逆の手からです。

「ペンダコ! そんなところにいたのかい」

「残念だけど、私はペンダコではあるけれど、かつて君と一緒にいたペンダコとはまったく別のペンダコだ」

「そんな……」

「君が探している左の手にはペンダコが膨らむことはないよ。だって君は右利きじゃないか」

「嘘だ。僕は利き腕を変えた覚えはない」

「じゃあなんで私は右手にいるんだい?」

「それは……」

「箸を持つ手は?」

「右手」

「ボールを投げるのは?」

「……右手」

「ペンを持つ手は?」

「や、やめてくれ! そんな……いつから僕は右利きになったんだ?」

すると右手の中指にいるペンダコは不気味な笑い声でこう言いました。

「君は元々右利きなんだよ。左手の中指にペンダコが存在するはずがないんだ。君はずっと幻想を見ていたのだよ」

「嘘だ! 僕は信じない!」

楽しい思い出を一緒に過ごしたペンダコ。辛い時も哀しい時も寂しい時も。一緒にペンを握ったペンダコ。妄想を文章として一緒に綴ったペンダコ。美味しい料理も一緒に箸を握ったね。寝る前も起きた後も、君が歯を磨いてくれた。

そのペンダコが、存在しなかった。

私は何が本当であるのか判別がつかず、不敵な笑みを浮かべる右手のペンダコのことを遠ざけようと腕を伸ばすことしかできません。

「そんなことをしたって無駄だよ。君は私がいないと箸を握ることもできない。ボールを投げることも、字を書くことも、ハサミで物を切ることも、歯を磨くことも。何も出来ずに苦しむんだ」

「それでも……確かに、あのペンダコはいたんだ……。僕はペンダコと共に……」

「その全てが幻想だったのだよ!!」


私は、右利きだったのでございます。






という夢を見て以来、少しずつ左手を使うようになった浅葱でございます。

左利きの使用人が意外に多く、いつもふとした瞬間に左手を器用に使う彼らを見て憧れてしまうのです。私もいつかは左利きになりとうございます。

お嬢様、左利きの使用人が何人いるか知っておりますか?

ティーサロンで是非教えてくださいませ。
ちなみに衣笠は左利きです。
彼は彼で右手を使う練習をしておりました。




追記
夢の中では憎たらしい性格の右手中指にいるペンダコですが、本当はとってもいいやつでございます。いつも日誌を書いてくれてありがとうございます、ペンダコさん。


浅葱
Filed under: 浅葱 — 15:00

浅葱でございます!

8月は浅葱が提案するエクストラティー、アイス、そしてスペシャルカクテルをご用意させて頂きます。
この数ヶ月間、構想から準備まで駆け抜けるように用意して参りました。
浅葱の好きなものを好きなだけ。
それはもう、たくさん。
お嬢様に召し上がって頂けるようにと。
(more...)
Filed under: 浅葱 — 10:30

『ウミガメのスープを探して~浅葱のお屋敷事件簿③~』

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
お屋敷探偵を名乗る浅葱でございます。

先日、歌劇団の第13回公演を観させて頂きまして伊織の着るホームズの衣装が欲しくて堪らない浅葱でございます。
お嬢様もご覧頂けたでしょうか?
素晴らしかったですね。
(more...)
Filed under: 浅葱 — 11:11