弥生

桜の蕾も膨らみはじめ一雨ごとに春めいてまいりました。

お嬢様いかがお過ごしでしょうか、乾でございます。

今月は桃の節句から始まり啓蟄、そして春彼岸・春分の日といよいよ春が近づいてまいります。

桜も咲き始め、月末には満開となる事でしょう。

ただ、別れの季節でもございますので何か儚げな感じもございますので、人恋しくなる事もございますね。

もしかしたら、新しい環境に対しての不安もあるかもしれません。

でも、お嬢様は大丈夫でございます。

ご自分を信じて下さいませ。

そして何があっても我々はお嬢様の味方でございます。

ただ、お疲れになりましたらお屋敷にお戻りくださいませ。

いつでもお待ちしております。

今月は雛人形を折ってみました。

お気に召していただければ幸いでございます。

釘の果実

この度、ギフトショップにて焼き菓子を一つ提案させていただきました。

いわゆるガレットブルトンヌ。

フランスブルターニュ地方の焼き菓子をベースにしております。

バターをたっぷり使った生地にバニラとラムでしっかり香りづけをしております、そちらにハチミツに付け込んだカシューナッツで食感にリズムを与えました。

また表面には大き目の岩塩を数粒落としております。こちらも食感を楽しむと共に、味覚を開きより甘さや風味を感じさせてくれるはずです。

そしてスパイスもひとつ加えたかったのですが、今回はクローブを選びました。
全体的にバランスよくまとまっておりますので、甘く濃厚で、ほんのりしびれるような香り。こちらがいいアクセントになっているはずです。

普段はひと癖ふた癖必要だろうと趣向を凝らすのですが、

今回は意識的に多くの方のお口に合うような、あまり好き嫌いのないようなバランスに落とし込みました。

ざくざくほろほろとほおばる度に、口の中で広がる香ばしいバター、ラム、バニラ、ハチミツ。それらの甘い香りに奥行きを与えるクローブ。

コーヒーでもいいですし強めに入れたディンブラやウヴァ、リリスやアッサムなどがよろしいでしょう。

お酒でしたら甘めのラムや、リキュール類。
ドランブイ、グランマルニエ、シャルトリューズ(ジョーヌ)、アブサンなどはよろしいかもしれません。

手前味噌ではございますが、非常に美味しい焼き菓子に仕上がりました。
お手に取って、お嬢様の日々の小さな幸福につながれば幸いです。

最後になりましたが、私の我儘を形にしてくれたパティシエにもこの場をかりて感謝を。
ありがとうございました。

Unicorn

目に見える景色すべてが色めく。そのような季節が到来いたしました。

不意に聞こえる伊織のくしゃみに感動さえも覚える能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

今月はティーサロンにおける春の催しが目白押しでございますね。

まず3月の前半といたしましては「プリンセス期間」と称しまして、

日本の伝統行事「ひな祭り」をお楽しみいただく期間でございます。

いつもならば「お嬢様」「お坊ちゃま」とお呼びしてございますが、、

この期間だけは特別に「姫様」「殿下」と。

我々も最初の数日間は慣れぬことに戸惑いを隠せずにおりますが、

ようやく「姫様」という言葉が口に馴染んできたと思った矢先に、

儚くも終焉をむかえてしまうのが「プリンセス期間」。

お嬢様、その刹那性をも、どうかお楽しみくださいませ。

そして、3月の後半は当館の「アニバーサリー期間」でございます。

開館記念日の3月24日をお嬢様とお祝いする期間でございまして、

毎年当館のキュイジニエ青木が特別なお料理をご用意いたします。

私もそろそろ食事に合わせたワインのご選定をせねばなりませんね。

何とご覧の通り今年は「お重」が数年ぶりの復活を遂げました。

懐かしいと感じられるお嬢様もいらっしゃるのではないでしょうか。

シェフの愛情が籠ったお弁当箱と手の込んだ特別なメインディッシュ。

スペシャルが盛り沢山のアニバーサリー期間。お楽しみくださいませ。

今月で社会勉強が一区切りのお嬢様もいらっしゃるかと存じます。

どうか最後の最後でお疲れがでませんように、祈っております。

来月からはまた新たな世界がお嬢様の眼前に広がることでしょう。

少しでもお支えできますようお仕えいたします。

能見