お嬢様への手紙 ~ 6通目

我が敬愛せしお嬢様、真夏の日々が続くこの頃でございますが、ご健勝であられますか?
お久しゅうございます。きっぱり太陽を天敵と見做しました時任でございます。

陽に当たらぬ日々が永過ぎたせいでございましょうか。
先日、昼日中に街へと買い物に出かけました折、あまりの眩しさと、身体を灼く陽光に辟易といたしまして。
このような真夏日の陽射しなど、お嬢様の肌を焼く不埒者、一生仲直りするものかと決意いたしまして。
時任は、お屋敷の地下の地下。最下層の地下室を住処とさせて頂く事に致しました。

さて、そんな日々でございますが、お嬢様はもうティーサロンの『ジュレセット』はお試し頂けましたでしょうか?
お出掛け先や別宅でお楽しみ頂けますよう、コンパクトにまとめました紅茶・マンゴー・グレープフルーツのジュレでございます。
また、時任が更にお勧めいたしますのは、ジュレと一緒にご用意させて頂きました、水風船でございます。
掌で弾ませてお遊び頂きますと、涼やかな音を立てて、風船の中で涼水が踊る逸品でございます。
実は一つ一つ、時任やフットマンたちがせっせと膨らませた、心を込めたハンドメイドでございます。
夏の思い出に御供させて頂ければ幸いでございます。

それではお嬢様。花火や夏祭りなど華やかな楽しみも多い季節、ぜひお楽しみ頂きとうございます。
ですが、夜遊びを過ごしたり、夏風邪を召されたりなさって、爺やたちに心配をかけぬようお願い申し上げます。

さて、それでは堅苦しいのはここまでと致しましょう。
お手紙二枚目はいつものように、時任めの戯言を記させていただきます。
寝付けぬ夜の寝物語なぞに代えて頂けたら幸いでございますが、だからといって寝不足にはならぬよう、お気をつけ下さいませ。

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