お暑うございますね。

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

―うりうりがうりうりにきて、うりうりのこし、うりうりかえる、うりうりのこえ。

いきなり読みにくい文章で、失礼いたしました。

―瓜売りが瓜売りに来て 瓜売り残し 売り売り帰る 瓜売りの声。

きちんと直せば、こうなります。
早口言葉というよりも、役者の方が、発声や滑舌の稽古で使われることが多い文章でございますね。

さて、今年は梅雨明けが殊の外早く、すでに夏本番に突入いたしました。
水筒や日傘、冷たいタオルや日焼け止めなど、お出かけの支度はくれぐれも万全にと、大旦那様よりも仰せつかっております。
また、とかく食欲不振になるものでございますが、健康を保つには、冷たいお飲み物ばかりではなく、しっかりとしたお食事も必須でございますね。

自然というものはよくしたもので、夏にとれる野菜、とくにキュウリやスイカや冬瓜などの、ウリ科の食物は体の熱を冷ます効果があるということです。
司馬のお勧めは、冬瓜のスープでございます。
熱々をお召し上がりになれば、最初は大量の汗をおかきになりますが、やがて、すーっとした涼味を感じてくることでございましょう。

夏の盛りに、熱々のスープというのは、お気に召しませんか?

それでは、井戸水で冷やしたトマトやキュウリを、そのまま丸かじりというのはいかがでございましょう?
「となりのトトロ」での印象的なシーンを思い出しますね。
これも、また夏の風物にふさわしく感じられます。
礼儀作法には少しばかり外れますが、夏の日差しの中では、それもまた一興というもの。

というわけで、この暑さもしばらくは続くことでございましょう。
無理なご辛抱は禁物でございます。
お体が慣れていないうちは、一休みをしながら、夏の楽しさだけをご堪能下さいませ。

入梅

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

六月になりますと、しとしと雨が降り続くようになり、少しばかり気が滅入る日々も続くようになります。

―梅雨。
私の苦手とする言葉でございます。

先日、わずかな晴れ間を縫って、庭園の枝ぶりの成長を眺めておりましたところ、鮮やかに咲く紫陽花の陰に、カタツムリが止まっているのを目にしました。

“揚雲雀(あげひばり)なのりいで、蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。”

上田敏の訳詩集『海潮音』(1905年)で愛誦される、英国詩人・ブラウニングの「春の朝」の一節でも、こんな時に口ずさめれば、わずかでも教養を披露しつつ、お嬢様方からお褒めの言葉もいただけるのでしょう。
しかし、こんな時に、つい司馬が連想してしまいましたのは、フランス・ブルゴーニュ地方の郷土料理“エスカルゴ”でございました。

 

その存在を知ったのは、まだ少年のころ。
いまでこそ珍しいものではございませんが、当時、おいそれとメニューに載っているような品ではございません。
いろいろと想像をたくましくし、たまらずに唾が湧いてくるような、はしたない有様でございました。

長じて、はじめて口にしたときは・・・。
刻んだガーリックやパセリを練りこんだバター(エスカルゴバター)と共に貝殻に詰めて、オーブンで焼かれたその歯ごたえと濃厚な風味は、さながら西洋風のサザエのつぼ焼きといった趣で、たちまち虜となりました。
以来、機会があれば、前菜に頼むようにしております。

貝のような肉質でありながら、磯の香りが皆無なため、赤ワインとも相性がよく、本場のブルゴーニュではピノ・ノワールとガメイの品種がブレンドされた「コトー・ブルギニョン」という、フレッシュなタイプの、カジュアルなワインが好まれているようでございます。
やはり、本来は高級料理ではなく、気軽に楽しむ郷土料理のようでございますね。

―健啖。
私の好きな言葉でございます。

まだまだ、ジメジメとしたお天気も続き、その先にはうだるような暑さも控えております。
ただ、食事を軽んじるのは論外。
さすがに、エスカルゴは珍味も行きすぎ、二の足を踏まれるお嬢様もいらっしゃるかと存じますが、ムール貝のアヒージョや、同じようにエスカルゴバターを使って調理したサザエのオーブン焼きなど、代わりのお品はいくらでも用意が叶います。

どうぞ、おいしいお食事とお酒、もちろんスイーツや紅茶も存分に楽しまれて、夏本番に向けて体力の増強をお心がけくださいませ。

初夏の味

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

五月となりまして、いよいよ夏の始まりでございます。
とろとろとした暖かさから、汗ばむような陽気を迎えることも多くなりました。
そよぐ風までが、夏草の香りを運んでくるようでございますね。
とはいえ、さすがに辟易するほどの猛暑というわけでもなく、からりとした心地よさを、まだまだお楽しみいただけるかと存じます。

 

ところで、先月末よりギフトショップにてご用意しております、司馬プロデュースのチェリー・ババロア。
“シバロア・リターンズ”は、お試しいただけましたでしょうか?

 

以前、ティーサロンにてフットマンケーキとしてご提供いたしましたのはイチゴ味。
今回は、初夏に似合うお品がよろしいかと思いまして、サクランボ味での復活篇でございます。
甘さ控えめ、酸味と洋酒の香りを効かせた大人のお菓子、ということでご提案させていただきました。
幸いにも、多くのお嬢様方からご好評をいただき、とても感激しております。

 

いささかの自賛でございますが、ほどよい暑さの昼下がりなどに、この爽やかな涼味は格別かと存じます。
五月中はご用意がございますので、まだお試しではないお嬢様、お気が向かれたら、ぜひぜひご賞味くださいませ。

 

ーシバのババロアー略してシバロアという、実に魅力的な愛称を提案してくれた八幡に、心からの感謝を贈ります。

長い長い映画の話

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

4月は休館も多く、ご無沙汰をし、失礼をしております。
お話をする機会も少のうございますので、ごあいさつと近況報告代わりに、司馬の個人的な趣味に関する日誌を綴りたいと存じます。
お目汚しでございますが、おつきあいくださいませ。

 

お屋敷の日常業務は変わりませんが、休館日が増えれば、ありがたいことに自由時間も増えてまいります。
当家のホームシアターを使わせていただくお許しを得ましたので、まとまった時間を利用し、司馬は好きな映画鑑賞を満喫しております。
あまり意外性もない話題で、申し訳ございません。

さて、世の中にはずいぶんと上映時間の長い作品というものが存在しております。とりあえず、司馬が鑑賞したことのある作品だけでも、思いつくまま挙げて参りますと・・・。

『風と共に去りぬ』(1939年/222分)
『七人の侍』(1954年/207分)
『アラビアのロレンス』(1962年/207分)
『ゴッドファーザー PART II』(1974年/200分)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年/251分)
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003年/201分)

映画史に残る堂々たる作品ばかりでございます。
いずれも200分を超えておりますね。
しかし、まるで冗長さはなく、時代を超越した面白みがあるのが、やはり名作の名作たるゆえんでございましょうか。

 

こうして思い返すと、鑑賞当時にだいぶ長い(決して退屈を感じたのではございません)な、と感じられた、

『タイタニック』(1997年/194分)
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年/181分)

など、妙な話でございますが、短くも思えてしまいます。

お嬢様方におかれましても、余暇をご利用して、たまには長い長い映画をご鑑賞なさってみてはいかがでしょう?

 

ちなみに、司馬の鑑賞しました最も上映時間の長い作品は、
『1900年』(1976年)
でございます。

・・・なんと、5時間17分!

春ですね。

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでいらっしゃいますか?

4月となりまして、春らしい陽気も続いております。
なにか、気持ちも浮き立って参ります。

春といえば、新たなるスタート。
そして、その景色には桜がつきもの。
と思っておりました。

おぼろな記憶をたどってみますと、司馬がいまだ少年の頃、4月のカレンダーの画像に用いられていたのは、満開の桜でございました。
入学式の記念写真も、花盛りの桜を背景に撮影をしていたような気がいたします。

昨今、環境も変わってまいりまして、桜の開花はどんどん早まり、いつしか三月の末となりまして、花吹雪は新生活の始まりを彩るものではなく、年度の締めくくりを象徴するようになってきたようでございます。
なにか、複雑な思いがいたしますね。

とはいえ、華やかな桜の景色を欠いたとしても、やはり春は春。
皆様方の中には、いろいろと新たな始まりを迎える方も多いことかと存じます。不慣れな環境に戸惑われておいでではないかと案じておりますが、新たなる生活に幸いが訪れんこと、切にお祈り申し上げます。

まあ、あまり肩に力を入れすぎずに、万が一、お疲れになった時は、どうぞ息抜きにスワロウテイルに足をお運びくださいませ。

のどかな春の陽気とともに、司馬はいつでもお待ち申し上げております。

今年も。

司馬でございます。

皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

 

 

ようやく、春本番の温かさを感じられるようになってまいりました。

“春眠暁を覚えず”という言葉のように、午睡の誘惑に敗北してしまいそうですが、お嬢様方と同様、私も日々の紅茶で目を覚ましていきたいと存じます。

とはいえ、冬の寒さが不意に戻ってくることもございますので、まだまだご油断なく冬の名残に立ち向かってくださいませ。

 

 

 

3月、といえば今年もスワロウテイルの開館記念日が訪れてきます。

ここ数年、いろいろと困難な時勢が続いておりますが、また無事に記念日を迎えることができ、ただただうれしく、感激を言葉にすることも難しゅうございます。

 

 

 

お嬢様やお坊ちゃま、そして奥様と旦那様。

心より感謝の想いをお伝えいたします。

ありきたりな言葉ではございますが、いつもありがとうございます。

皆様方がサロンにて憩いの時間を過ごされていらっしゃるのを、司馬はいつも見守ってまいりました。

いつも絶えることなく笑顔を浮かべていらっしゃる、お優しい主にお仕えできる幸いは、とても得難いものなのだと、しみじみと思い返しております。

 

 

 

良き香りと深い味わいの紅茶、おいしいお食事、そして楽しい語らい。

そんな日々をこれからも積み重ね、また輝かしい記念日につなげていきたいと存じておりますので、どうぞこれからも末永くスワロウテイルをよろしくお願いいたします。

 

 

 

では、アニバーサリーのお食事と趣向を、どうぞ本年もご期待くださいませ。

 

冬も、まだまだ楽しめます。

司馬でございます。

皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

二月となりまして、梅の花が咲くのも待ち遠しくなってまいりました。

とはいえ、しばらく冬の盛りは続くようでございます。

寒い時期には、やはり鍋料理がよろしゅうございますね。

“二番煎じ”という落語がございます。

家事の多い江戸の冬。

夜回りをすることになった町の旦那衆でございますが、やはり厳しい寒さには辟易して、寄り合い所で人目を忍びつつ、猪鍋を囲んで一杯やりながら暖をとります。

名人の手により、その様子が見事に描写されますと、ついつい私も食欲を刺激されて、親しい仲間たちと、ざく切りの葱をたっぷり入れた味噌仕立てのボタン鍋に箸を伸ばしてみたくなります。

江戸の情緒が巧みに織り込まれた傑作の一つではないかと存じます。

とはいえ、この時節では、大人数で鍋を囲む楽しみも、おあずけでございますね。

では、時代劇小説の大家である池波正太郎氏の作品や随筆でよく登場する“小鍋立て”という趣向はいかがでしょうか?

一人から二人用の小さな鍋に、入れる具はあまり多くせず、せいぜい三つか、四つ。

煮えるそばから口に運ぶというもので、有名なところでは、大根の千切りとアサリのむき身を合わせたお品がございます。

アサリの風味が移った熱々の大根に、山椒をふりかけ、ふうふうと吹きながら食しますと、冬の寒さもなかなか良いものだと思わされます。

私見ではございますが、冬の寒さは、食材を美味しくさせる効果があるような気がいたします。

では、皆様方。

春の訪れまでもう少し。

お体を冷やさないようご自愛しつつ、まだまだ続く冬の楽しみを満喫なさってくださいませ。