冬も、まだまだ楽しめます。

司馬でございます。

皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

二月となりまして、梅の花が咲くのも待ち遠しくなってまいりました。

とはいえ、しばらく冬の盛りは続くようでございます。

寒い時期には、やはり鍋料理がよろしゅうございますね。

“二番煎じ”という落語がございます。

家事の多い江戸の冬。

夜回りをすることになった町の旦那衆でございますが、やはり厳しい寒さには辟易して、寄り合い所で人目を忍びつつ、猪鍋を囲んで一杯やりながら暖をとります。

名人の手により、その様子が見事に描写されますと、ついつい私も食欲を刺激されて、親しい仲間たちと、ざく切りの葱をたっぷり入れた味噌仕立てのボタン鍋に箸を伸ばしてみたくなります。

江戸の情緒が巧みに織り込まれた傑作の一つではないかと存じます。

とはいえ、この時節では、大人数で鍋を囲む楽しみも、おあずけでございますね。

では、時代劇小説の大家である池波正太郎氏の作品や随筆でよく登場する“小鍋立て”という趣向はいかがでしょうか?

一人から二人用の小さな鍋に、入れる具はあまり多くせず、せいぜい三つか、四つ。

煮えるそばから口に運ぶというもので、有名なところでは、大根の千切りとアサリのむき身を合わせたお品がございます。

アサリの風味が移った熱々の大根に、山椒をふりかけ、ふうふうと吹きながら食しますと、冬の寒さもなかなか良いものだと思わされます。

私見ではございますが、冬の寒さは、食材を美味しくさせる効果があるような気がいたします。

では、皆様方。

春の訪れまでもう少し。

お体を冷やさないようご自愛しつつ、まだまだ続く冬の楽しみを満喫なさってくださいませ。

トラにまつわる四方山話

司馬でございます。

明けましておめでとうございます。

謹んで、迎春の慶びを申し上げます。

今年は寅年。

トラといえば、強靭で勇猛、かつ、しなやかな体躯が魅力的な動物でございますね。

司馬の好きな映画の世界でも、その印象を生かしたキャラクターが多く登場いたします。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』では、“リチャード・パーカー”というトラが重要な役どころでございました。

その他、思いつくままに挙げてみますと、『007は二度死ぬ』に登場するスパイ組織のトップは“タイガー田中”。

黒澤明監督作の『用心棒』の敵役の一人は“新田の丑寅”と名づけられております。

往年の冒険映画では、たいてい、ヒーローが猛虎と格闘する場面があったものです。

おや、気がつけば、アクション映画のご紹介コーナーのようになってしまいました。

反面、トラにはネコ科特有の優美さや、愛嬌もございます。

『くまのプーさん』には、“ティガー”という元気なお調子者が登場します。

ぬいぐるみではございますが、おそらく、世界で一番人々に知られている一頭でございましょう。

・・・ちなみに、司馬が一番愛するトラは、『男はつらいよ』シリーズの“フーテンの寅”こと車寅次郎氏でございます。

では、皆様方。

これから寒さもますます厳しくなってまいります。

おめでたい新年ではございますが、お体をご自愛の上、トラブルなき日々をお過ごしくださいませ。

本年も何卒、よろしくお願い致します。

振り返れば。

司馬でございます。皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

早いもので、もう十二月となりました。今年も様々なことがございましたが、私は愉快な仲間と、お嬢様方を始めとするお優しい方々に囲まれて、笑顔の絶えない良い一年でございました。まずは喜ばしいことでございまして、司馬は果報者にございます。

皆様方は、いかがでございましたか?良い一年だった、とお思いでしたら、それは私にとりましても、とてもうれしいことでございます。
もしも、いま一つ、と感じられたのでございましたら、お仕えする身として、力不足を嘆くばかり。
少しでも気晴らしになればよろしゅうございますが、ここは、“年忘れ”という便利な言葉を改めてお送りしたいと存じます。過ぎ去ったことなどきれいさっぱりとお忘れになりまして、希望に満ちた新たな一年に想いを馳せてくださいませ。
残り少ない日々でございますが、この先にも、クリスマスや、カウントダウンなど、賑やかなイベントも控えております。振り返れば、良い一年であったとお思いいただけますよう、使用人たちも尽力いたします。
今年最後の一カ月、まだまだ、どうかよろしくお願いいたします。

日常を楽しく

司馬でございます。皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

秋風を楽しむ暇もなく、すでに冬を思わせる気配が忍び寄ってまいりました。そろそろ自室に炬燵でも出そうかと考えております。お嬢様方の冬のお召し物も、ご用意をしなければなりませんね。

ようやくお酒も提供再開の運びとなり、ディナーなどもお楽しみいただけるようになりました。作り手が腕によりをかけたカクテルや厳選されたワインなど、満足げな笑顔で酒杯を手にするお嬢様方の姿を久々に拝見して、司馬も涙が出るほどうれしい気持ちでございます。アルコール解禁のお祝いの場として、スワロウテイルをお選びいただけたことを、本当に感謝いたします。

油断は禁物とは痛いほど存じておりますが、やはり耐え忍び続けるだけでは、心も疲れてしまいます。このまま、以前のような日常が戻ってくればいいと、心から願わずにはいられません。

一点の曇りのなき笑顔で、お食事を楽しまれる場所であり続けること。あらためて、口に出すのも気恥ずかしく、あまりに当然すぎることでございますが、それも使用人の理想の一つでございます。そのためにはお仕えする私達も笑顔を絶やしてはいけません。マスクの下の笑顔が伝わるよう、司馬も前向きで明るい気持ちを忘れずにいたいと考えております。

まだまだご辛抱いただくことも多いかとは存じますが、お嬢様方、どうぞ笑顔で楽しい日常をお過ごしくださいませ。スワロウテイルでの御滞在がその一助となれば、これほど光栄なことはございません。

黄昏の国

司馬でございます。皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

十月となりました。夕闇が訪れる時刻も早まり、秋も深まっていくばかりでございますね。日暮れの影が伸びていく時、どこか哀愁じみた趣を感じるようになってまいりました。朝夕、肌寒さを感じる日々でございますが、どうぞお風邪をお召しになりませぬよう、ご自愛くださいませ。

―「10月は黄昏の国」。

どこかでそんな言葉を聞いたことがございまして、脳裏に鮮烈に焼きついておりました。なんとも詩情に溢れ、秋の空気感を端的に表現した言葉に感じられます。

あらためて調べてみると、アメリカの作家、レイ・ブラッドベリの短編集の題名でございました。原題は「The October Country」というものですので、それを“黄昏の国”としたのは、実に名訳ではございませんか。

作品で取り上げられるテーマから、SF小説家として紹介されることの多いブラッドベリでございます。どちらかというとハードで最先端のトピックをあつかったSFというより、幻想小説に近い作風に思われ、高名といえども食わず嫌いの小説家でございましたが、俄然、興味がわいてまいりました。

申し上げるまでもなく、秋は読書の季節。丹念に編まれた短編集は、もとより大好物でございますので、早速、一冊を取り寄せて秋の夜長の楽しみにしたいと存じます。

どうぞ、お嬢様方も、静謐で知的な興奮に満ちた読書の時間をお楽しみくださいませ。

この季節にふさわしく、パンプキンパイとアップルタイザーを読書机にそっと置いておきます。文字を追うのにお疲れになったら、軽くおつまみになるのもよろしゅうございましょう。

・・・もちろん、食欲の秋でもございますので。

秋の気配

司馬でございます。皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

いまだ汗ばむ陽気も続いておりますが、庭園から聞こえる蝉の声に、ツクツクボウシの鳴き声が交じるようになりました。この声が聞こえますと、秋本番が迫っていることをしみじみと感じさせられます。

心なしか、朝夕の風も涼しげに思えて参りましたが、そろそろ夏の疲れが出てくる頃でございます。季節の変わり目は、特にご油断なさらずに、体調を崩さぬよう、ご自愛くださいませ。

さて、延期となっておりましたハリウッド映画の大作が、このところ、ようやく続々公開の運びとなっております。娯楽映画好きの司馬といたしましては、うれしい限りでございます。公開が伸びたため、ゆとりをもって編集の手直しができたのか、なかなか良作に恵まれているような気がいたします。

首を長くして上映を待っておりました、「フリー・ガイ」というコメディを先日鑑賞いたしましたが、これは非常に傑作でございました。今年拝見した映画の中では、ベスト1でございます。機会がございましたら、お嬢様方もぜひご覧くださいませ。

また、ほぼ2年近く公開延期となっておりました007の最新作・「ノー・タイム・トゥ・ダイ」も来月に公開となります。映画館に足を運ぶのが、ますます楽しみとなってまいりました。

これから、夜はますます深くなってまいりますが、当家のホームシアターにも夜長の退屈をお慰めする傑作が勢ぞろいしております。どうぞ、ご安心なさって、実り多き芸術の季節をお迎えくださいませ。

猛暑ですね

司馬でございます。皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

庭園に蝉の声が激しく飛び交い、強烈な日差しも降り注いでおります。暦の上で8月はもう秋に入りますが、例年のことを考えますと、まだまだ暑さは続いていくことでしょう。

賢明なるお嬢様方におかれましては、暑さ対策も万全にお過ごしのことと存じます。ですが、まだまだご用心を怠りなく、また、冷たいものをお望みでございましたら、すぐに御持ちいたしますので、ご遠慮なくお申しつけ下さいませ。

司馬は暑さに強い方でありますが、ここ数年、夏の盛りには飲み物に手を伸ばしてばかり。おかげで、食欲が落ちることもございます。ついつい、そうめんや冷や奴などの淡白な和食に魅力を感じてしまいがちですが、それでは夏バテをしてしまいますね。

そうめんの薬味には、ひき肉を炒めたものを用いたり、豆腐に肉味噌を添えたりして、エネルギーを取ることに致しましょう。なにか、お勧めのおかずでもございましたら、お教え頂ければ幸いです。

どうしても食欲の落ちる季節でございます。厨房のシェフも工夫を重ねておりますので、お嬢様方、毎日の食事を大切になさってくださいませ。

では、いましばらくの猛暑を、どうかご無事に乗り切ってくださいませ。