秋のかたち

目に映るもの、肌で感じるもの、至る所に秋の深まりを見出せますが、足元の装いにも秋らしさが出てくるころではございませんか?

長らくブーツに光が当たらない時代が続いていましたが、ここ数年また眼にする機会が増えてきているように感じられます。
私も靴棚を眺めながらいろいろ考えた結果、数年ぶりにブーツを増やすことに致しました。

今回選んだものはTricker’s という銘柄。
ロイヤルワラントを掲げる英国の老舗シューメーカーです。
武骨なカントリーブーツが有名で、キレイに履くよりも履きこんでくたびれたころに強い魅力を放ちます。
アメリカ画家ですがロックウェルの描く人物が履いてそうな靴をイメージすると近いかもしれません。
(私はライエンデッカーのほうが好きですが)

ただ、とはいえ、靴が好きな人間としては諸手を挙げて名靴だと絶賛することはできないところもございまして。
日本で作られている同程度の靴と比べると明らかに作りが粗い部分が多いです。
(日本の靴のレベルが高いとも言えます)

一方で。靴好きを魅了して止まないのがその武骨さなのが面白いところでもございます。

個体差はありますし、決して履きやすくもない。
しかしなぜか強い愛着を感じてしまう。
不思議なものです。

お世話になっている靴職人との話題にも上がるのですが「色気」と申しましょうか。
やはり欧州の靴にはそれが備わっております。
今回はカントリーブーツではなくドレス寄りのものを選びましたので特段にそう感じます。

Tricker’s は女性用のメリージェーンやルームシューズのラインナップもとても魅力的です。
気になるようでしたら是非現地で木型からオーダーいたしましょう。
出かける際は私もお供いたしますので!