桜の下には

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

テキサスのヒューストンへとお勤めに参りまして、帰国までの一週間。
その一週間で桜色の花びらは見る影もなく新緑に染まっておりました。

昔から桜の木の下には〜…なんていうお話がございますが、そうでなくても私は桜の下には近づけません。

もうじき、私の天敵たちがうねうねと陽気なダンスを踊り出す頃でしょう。

うーー考えただけで鳥肌が。

お嬢様もこの時期は木陰での読書より快適な室内のハンモックにしましょう!そうしましょう!ね!

隈川

ハルノオトズレ

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈が…あ。

…失礼いたしました。
ご機嫌麗しゅうございます、姫様。
隈川でございます。

先月はティーサロンにて自身の考案した紅茶のババロアを用意する機会を賜りましたこと、改めてお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
お気に召して頂けていたら幸いです。

気がつくと春の気候も近づき、次第に日差しも暖かくなりました。

この頃になりますと、ファーストフットマン水瀬とともに何かしら特別な物をご用意するのが毎年の恒例になりつつございます。

今年は久々のエクストラティーをティーサロンにて振る舞う予定です。

春の訪れとともに、テンポの異なる二つの音が重なって不思議と心地良いズレが生まれる。
そんなイメージで命名致しました
「ハルノオトズレ」

同期の使用人2人による3月3日限定の特別な紅茶、心ゆくまでご堪能下さいませ、姫様。

当日はパティシエ特製のひなまつりパフェもご用意するようです。個人的にはこちらも大変楽しみでございます。

隈川

揚げニンニクはシュトロイゼルではありません

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

私は今、給仕や執務を終えた環、百合野、伊織と一緒に、夜の外食に来ております。

つまるところ、お夜食会でございます。

環「この時間の食事は体に良くありません、ですが」

百合野「それでも、たまに食べたくなってしまうんですよね」

二人の言葉に深く頷きながら、ふとテーブルに並ぶ調味料に目が行きます。

隈川「…シュトロイゼルみたいなのがある」

伊織「それはフライドガーリックだよ」

諭すように穏やかな口調で教えてくれました。

意味があるような、ないような会話。
お夜食時にはこれくらいが丁度いいのです。

お嬢様がお休みになられた後の、使用人だけでのささやかな贅沢です。

明日も朝は早いのですが、話題も尽きないので、もう少しだけ。

隈川

ミーシュカ

昨年は大変お世話になりました、お嬢様。隈川でございます。
本年も宜しくお願い致します。

新しい年を迎えて、数日が経ちました。ことお嬢様におかれましてはこれからまた忙しくなるであろう社会勉強、学業など、これから先の目標に向けて張り切っていらっしゃることかと存じます。

そんな風に頑張っていらっしゃるお嬢様の傍で、フットマンとして私も何かお役にたつことができないものかと日々考えておりました。

そこで、お疲れの出ているときや体調の優れないときにも安心して召し上がることの出来るノンカフェインティーのブレンドを新しく作りました。
名前を「ミーシュカ」と申します。

桃の香りを添えて飲み易く仕上げた「ピーチルイボスティー」をベースに、健康や美容、疲労回復などのそれぞれに優秀な効能が期待できる「隈笹」とむくみや冷えを解消する「スイートクローバー」を加えた飲み物でございます。

ノンカフェインとは思えない飲み易さ、和菓子のように甘く優しい香りはストレートティーとしても、お砂糖を加えたミルクティーにしても美味しくお楽しみ頂けるはずです。

お嬢様がどのような状況に置かれてもゆとりある心を思い出せるよう、心を込めてミキシング致しました。

お疲れの時には無理せずお休みなさっても良いのです。焦らず慌てずご自身のペースで頑張りましょうね、お嬢様。

さて、折角の年の始めですから私もゆとりを大切にお餅でも焼いて頂くことにいたしましょう。
忙しいときこそ心にゆとり「をもち」ましょうね。もちもちもぐもぐ。
もちもちもぐもぐ。

隈川

クリスマスティー

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

遅ればせながら、先月は私が考案しましたオルソのキャンブリックミルクティーアイスクリームをサロンにて振る舞う機会を賜りましたこと、この場を借りてお礼申し上げます。

お嬢様の食後の癒しに少しでも貢献できたならば幸いです。

気がつくともう12月。
街全体がクリスマスムードに賑わい、ティーサロンで流れる音楽もこの時期はクリスマスソング。

寒がりな私は冬があまり得意ではありませんが、日本のクリスマス特有のパァッと明るい雰囲気は性分に合っているのか、無性に浮かれた気持ちになります。

給仕の後、自室に戻りシャワーを浴びたら、鼻歌交じりに少し濃いめの『ユールミステリエ』を淹れて、もこもこした格好でくつろぐのがこのところのマイブームでございます。

今年のクリスマスもお嬢様にとりまして、素敵な思い出になりますように。

そういえば、クリスマスティーとアガサクリスティーって響きが似ておりますね。

隈川

部屋と後輩と私

ご機嫌麗しゅうございます。
隈川でございます。

…はぁ。
あ、失礼致しました。
溜息なんて。

いえ、秋の雰囲気に当てられたわけではないのです。
少し考え事を。

私がこの屋敷に身を置くようになってから、先月で4年が経ちました。
その間に後輩も沢山増えました。

中でも1年と少し前から給仕を共にしている杉村などは後輩ながら非常にしっかりしていて見ているとこちらが感心してしまいます。

実は考え事というのは、その杉村についてでして。

最近使用人仲間たちと会話をしているとしょっちゅう耳にするのが「この間、杉村さんと食事に行ったときに~」「杉村さんと遊びにいったとき~」「杉村さんが~」「杉村が」「杉村さんの~」「杉村さんと~」…etc

…ちょっと杉村さん。

私、誘われてませんけど!!!!?

わかりやすく申します。
私も!!!
誘って!!!
ください!!!
お願いします!!!
なんでもしますから!!!
好き嫌いもありませんから!!!

はぁ…とりあえずこの切なさを黒崎あたりに聞いてもらうことに致しましょう。どうせ黒崎なんかも誘われずに寂しく部屋でひとりご飯を食べているでしょうからね。

…おや。黒崎の部屋から笑い声が…。

黒崎『ハハハ、本当杉村は面白いな』
杉村『ハハハ、黒崎さんこそ!いやぁ、お鍋美味しいね!』

う、う、う…裏切り者ーーーーーー!!!!!

続く(?)

隈川

フットマンアイスレポート

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

ティーサロンには毎月使用人たちが、それぞれに趣向を凝らして考案する「フットマンアイス」というサイドデザートがございます。

そんなアイスを試食している場面にさり気なく居合わせて、しれっと味見をさせて頂くことが私の毎月の楽しみなのです。

“フットマンアイスレポート” の続きを読む