変身3

「おい、とんかつ!もっと速く走れ!日が暮れちまうぞ!」
「は、はい!」

集会が終わり、僕は”ミケ捜索班”に加わることにした。

最近は食料調達ばかりで飽き飽きしていたところだったし、丑組の偵察は威嚇や牽制だけで終わらず、結局その場で争いになることが多い。僕は喧嘩が苦手だ。
そしてなによりミケさんが一体どんな猫なのか気になるのが一番の理由だ!

走り回るのもあんまり得意じゃないけど会いたい欲の方が勝っていた。
しかし目覚めし猫がこんな近くに、、、、

”目覚めし猫”僕もその言葉は聞いたことがあった。

なんでも数百、数千、いや数万匹に一匹の割合で目覚めし猫は存在するらしい。
その猫は見た目こそ僕ら普通の猫と変わらないが、発想力や知識量があまりにも異なっていた。
例えば戦いで武器というものを使ったり、二足歩行で歩いたり、人間社会に関して妙に詳しかったり、普通の猫では考えつかないことを当たり前にやってのけた。
最近では「目覚めし猫には人間の心が宿っているのでは?」と、考える猫もいるくらいだ。

「やはり会ってみたい、、、」すると不意に大きな声が耳に響いた。
「おい!とんかつ何度言わせるんだ!!!」先輩猫がこちらを振り向いていた。

「ハッ!」「すいません!」
「おめーさっきから何ぼーっとしてんだ」
「えっあっいや、目覚めし猫のことを考えていて」「まさかこんな近くにいるとは思わなかったので、、、」

「ったく」「でもまー、確かに驚くよな」
「俺も若いころはただの噂話だと思っていたよ。しかし立て続けに3匹も現れたんじゃ信じるしかないだろう」
「えっ?3匹?ミケさんだけじゃないのですか!?」

「ん?知らないのか?」「今は亡き寅組のおかみさん。つまり亡くなられた虎ノ進親分の奥さんは目覚めし猫だったんだよ」
「!?」

「今、当たり前のように人間たちに捕まらずに食料を集められるのは、虎ノ進親分に人間心理を教えたおかみさんの功績が大きい」「その他にも人間の道具の使い方なども教えてくれた。まあ俺ら普通の猫では使いこなせない物がほとんどだったけどな」

これは僕も初めて聞く話だった。
ちなみにお二方の馴れ初めは嘘か誠か、当時数十匹の野犬の群れに襲われていたおかみさんを、虎ノ進親分がたった一匹で立ち向かいボロボロになりながらも助けたのがきっかけらしい。

「先輩、じゃあもう一匹は誰なんですか?」
「ん?気づかないのか?」
「えっ?ま、まさか、、、ジャック」
「ああ。恐らくジャックも目覚めし猫で間違いないだろう」

「なんせ、おかみさんの知恵と親分の力を、実質たった一匹で阻んだのだからな」

「うっ、、、」
「だ、か、ら、早くミケさんを見つけるんだろうが!」

「それに偵察組の情報では丑組の縄張りを中心になんだかきな臭くなっているらしい」

終。

追記

変身2を掲載してからから、およそ二ヶ月、、、

「待ってた!」という数少ない妙ちくr、、、稀有なお嬢様方、大変お待たせいたしました。私の筆が中々進まないあまりこんなに時が経っていたとは、、、

次こそは出来るだけ早く書く所存でございます!(、、、恐らく)

おまけ

そろそろヨーロッパサッカーが始まります。今シーズンは日本人選手の楽しみな移籍が多く、期待で胸いっぱいでございます。

終わり。