的場の夏休み。

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。

暑い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか。

夏休みはどこかお出掛けになりますか?

 

私は先日お屋敷の離れにございます、司馬が管理するシアタールームに赴きました。

司馬が手入れを欠かさない映写機が映す映像は、映画館ほどではないものの非常に画角が大きく、大変美麗でございました。

 

映画ソムリエである司馬に観たい映画を聞かれましたので、私は「男らしい映画!」とオーダーいたしました。

…現時点でお嬢様の心の扉が少し閉じた音が聞こえたような気がいたしますが、シアタールームの司馬体験にテンションが上がっておりますので続行いたします。

 

司馬が上映してくれたのは「七人の侍」でした。

お嬢様も題名は聞いたことがあるのではないでしょうか?

黑澤明監督の有名な映画でございます。

3時間半の長編映画で、恥ずかしながら私もきちんと鑑賞するのは初めての体験でございました。

司馬が好きな映画ベストテンを選ぶとしたら必ずランクインする程好きな映画だそうでございます。

 

以下に感想を記します。

ネタバレになっている箇所があるやもしれませんのでご了承くださいませ。

 

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昭和30年代の昔の映画なので音質が悪く、田舎の方言なので言葉が聞き取りづらいのです。司馬のお勧めで字幕アリで視聴いたしました。

流石の司馬の選択で、これは正解でございました!日本映画ですが日本語字幕でご覧になるのがお勧めでございます。

 

映像は昔の白黒なのですが、司馬コレクションはリマスターされているので、そこは現代技術の力で特にストレスなく拝見できました。

 

毛筆斜め書きのスタッフロールから始まるオープニングがもう既に渋い!

管楽器と太鼓が合わさった昭和オーケストラが更に渋い!

 

序盤に貧しい農民が野武士に蹂躙されるのですが、これが悲惨過ぎます。昔の映画らしく画面に登場する人数も多いので、何十人もの農民がおいおい泣くのです。凄く残虐な表現があるわけではないのですが、悲壮感が画面から伝わってまいります。

 

そこから野武士を倒すため、農民がなけなしの米食べ放題を条件に侍を集めるのですが、だんだん個性的な仲間が集まっていってワイワイしてくるのが魅力でございます。賃金も出世も見込めないのに集まってくれるのですから、とても気のいい方々でございますね!長編なのでしっかりと人物の描写も行き渡っており、それぞれの背景が見えるのも魅力でございます。

 

このあたりで大きな毛筆で「休憩」と書かれ休憩に入ります。スクリーンに大きく「休憩!」と書かれる経験がないので私が「え?え?」と戸惑っていると司馬が教えてくれました。当時の映画としても異例の長編だったため、劇場側の配慮があったそうです。こういった知識が聞けるのも司馬シアターの魅力!

 

果たして侍たちが集まり、村に移動するのですが、農民たちは野武士も侍も怖いので最初心を開きません。そんな中で侍たちが野武士討伐の作戦を立てたり、農業を手伝ったりする中で絆を深め、共に笑い合う仲になってゆく様は感動的でございます。

 

最後は野武士との戦いが描かれてゆくのですが、ここの迫力が凄い!大勢の演者が走る走る!昭和の映画ってとにかく走るんですよね!ここも長尺で数日間戦うのですが、フィジカルだけでなく戦術も見えて、それが成功したり上手くいかなかったりする様も現実的なのです。合戦に至るまでの物語が丁寧に描かれているだけに感情も入ります。ワンテイクでは撮れないだろうと思われる場面もたくさんあり、大勢の方の息が合っており、全員が高い熱量で臨んでいることが画面全体から伝わってまいりました!

 

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馬がたくさん出てくるシーンは黑澤明が西部劇にインスパイアされた結果らしゅうございます。

その七人の侍に更にインスパイアされたアメリカが「荒野の七人」という西部劇版を作ったそうでございます。逆輸入でございますね!という事で荒野の七人も鑑賞いたしました。

更に荒野の七人にインスパイアされた「サボテンブラザーズ」というコメディー映画も紹介されて観ました。

 

気が付けば10時間ほどシアタールームに居座ってしまいました。何と贅沢な時間!夏休みらしい過ごし方ができました。

 

図らずも読書感想文ならぬ映画感想文みたいになってしまいましたね。夏休みの宿題のように堅苦しくなっておりましたら申し訳ございません。

 

お嬢様もお勧めの映画がございましたら是非教えてくださいませ。

それでは本日はこれにて。

 

 

おまけ

司馬のお勧めで「シス 不死身の男」という映画も視聴しましたが、これは男の子過ぎるので、感想は割愛いたします。しかし的場としては最高の映画でした。

はじめ題名を聞いた時に私が無知ゆえに「死す?不死身なのに?」と思ったことは内緒でございます。

 

終わり。

活字戻り。

 

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。

的場でございます。

 

突然ですが、私の2025年の抱負は「活字を読む」でございます。

 

遡ること2024年12月。

ティーサロンでは朗読会が催され、私も参加メンバーに入っておりました。

才木演出の元、香川と山岡と4名で出演させていただきました。

 

その稽古の中でのこと。

才木が香川に「◯◯みたいな、こういう感じで読んでほしいです」という旨の演出を出しました。

私は理解が及ばず「よくわからないこと言ってるなぁ」と思っていたのですが、香川は「あぁ、そういう感じですね」と腑に落としており、むしろ「教え方がわかりやすい」という空気さえ漂わせておりました。

二人に共通していることは芝居に精通しているという事。

言葉や作品に多く触れていることで、造詣が深い者同士のみが理解し合える会話があるのか!

と私は衝撃を受けると共に、活字離れしており無力な己を恥じました。

 

…このままではいかん!

 

私は2025年早々に、才木にお願いを致しました。

「才木お勧めの本を貸してほしい。活字離れして長いので、まずは1~2冊でお願いします」

とお願いしたのですが、才木は次の日に何と10冊ぐらいの本を持ってきたのです…!

(と思ったのですが、後日よくよく数えたら8冊でした。お話を盛ってしまいまして大変申し訳ございませんでした。)

紙の本を大量に持つのも久々なのでとても重たい!

山小屋まで運んだら、その日は疲れて一読もしませんでした。

 

その後も無精な私はなかなか借りた本を読むことができませんでした。

活字は読み始めるまでが大変でございます。

「読み始めたらどれだけ時間がかかるのだろう」

「時間がないんだよなぁ」

「本を読むには部屋が散らかっているかな」

と、傍から見れば言い訳でしかない気持ちが、本人としては切実に生まれてまいります。

 

読み始めたら始めたで、

「この言い回しが引っ掛かるなあ」

「これってどういう設定なの?」

となかなかエンジンがかかりません。

 

そんなこんなで、私は300ページ弱の短編集を読み終えるのに半月以上かかりました。

それでも嬉しかったのを覚えております。

 

「自分はまだ本が一冊読めるんだ…!」

 

大変お恥ずかしい話ですが私は執務ばかりにかまけて活字などもう何年も触れてまいりませんでした。

集中力がもたず挫折して2026年を迎える未来も想像しておりましたので、読了できた!という事実に達成感を感じました。

 

その後は第16回公演に出させていただきましたので、そちらに集中いたしました。

と言えば聞こえはいいのですが、私のキャパシティーでは台本と才木に借りた本を同時進行することは不可能だったのです。

事実、伊織は同じ環境でも活字や映画に触れておりました。

それほど読書は私にとって体力のいる作業でございました。

 

公演も終わり5月。また私は読書を始めました。

才木は私から本の感想を聞くのを楽しみにしてくれておりました。

読書を再開したのは、そこへ向かっての義務感もあったかもしれません。

才木に本を借りて本当に良かった。

また半月に1冊。私は徐々に読み進めてまいります。

 

アフターイベントが終わった6月。

あれ、本を開くのが苦にならなくなってきたぞ。

自分のペースが掴めてきた手応えがある…。

1週間に一冊。

だんだんペースが早くなってまいりました。

それは最早義務感ではなく、楽しいからハイペースになっているという感覚でございました。

 

そして7月1日。

才木に借りた本を全て読み終えました!

8冊読むのに半年以上かかってしまいました。

振り返ると怠惰だったなぁと存じますが、私にとっては大事な時間だったことは間違いございません。

 

先日才木と借りた本の感想戦を行ってまいりました。

同じ本を読んだ者同士でも、

「そこは感じ方が違うのか!」

「そうそう、それは私も思った!」

「インタビュー記事も合わせて読むと印象が変わるのか」

など、フィルターが違えば景色が違うのも、フィルターが違うのに合致するのも非常に楽しい時間でございました。

 

…近頃は逆の悩みが生じておりまして、活字離れの反動で活字中毒になりそうな事でございます。

眠たくなってもやめどころがわからないので睡眠が短くなってしまいました。

 

また、小説原作の映画があるとそちらも押さえたくなってしまい余計に時間をかけてしまうこと。読みたい本が既に20冊を超えたこと。

何かを得れば何かを失うもので、なかなか難しい問題でございます。

 

お嬢様はティーサロンでいかがお過ごしでしょうか?

本は作者のメッセージを感じるのが楽しみのひとつですが、更にそれを受け取った読み手の感想を受け取るのも楽しいものでございます。

お勧めの本がございましたら、また中毒に効く治療法がございましたらこっそり教えてくださいませ。

 

それでは本日はこれにて。

わたしのかんがえたカクテル。

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。

的場でございます。

 

来る7月8日に能見とカクテルデーを開催する運びとなりました!

能見とはエクストラティーでご一緒することはあれどカクテルは初めてでございます。

非常に楽しみでございますね!

 

毎年レシピカードを書いたり当日お嬢様とお話させていただいたりするのですが、全然語り尽くせないのでこちらに今回のカクテルのことを記します。

 

この度は執事歌劇団第16回公演「0/Oゼロイチ 〜見上げる空は ハルカうららか〜」で能見と共演したことを受け、私が演じた蛙阿院三休(あかわいん さんきゅう)が好んだバーボンを使ったカクテルを作ろう!というのが始まりでございました。

 

私がお作りいたしますのは「カリフォルニアレモネード」と呼ばれるカクテルでございます。

以下カリフォルニアレモネードの内訳でございます。

 

バーボン

レモンジュース

ライムジュース

グレナデンシロップ

シュガーシロップ

炭酸

 

バーボンが強く香るレモネードでございますが、レモン・ライムの清涼感があり、グレナデン(ざくろ)シロップでほんのりピンクのかかった可愛らしい色のカクテルでございます。

一昨年に能見と行ったエクストラティーではティーシロップを使用したレモネードをお出ししました。

レモネードの流れを組んでいるところもエモーショナルなのかな?という思いもございます。

 

あれ?でも折角だから三休らしさをもっと出した方が特別な一日になるのではないか?

と思い立ち、私はレシピを変えることにいたしました。

レモンやライムは洋風だし、三休だから和風にしたいな。

みかん?ゆず?すだちは冬らしいかな。

そうすると夏だから夏みかん?はっさくか?

 

 

…などと様々お調べしていくうちに、何と「仏の柑橘」なる物があるとの噂。

まず一つめに「じゃばら」という柑橘がございます。こちらは過去にお屋敷でもコンフィチュールとしてお出ししていた柑橘でございまして、「邪を払う」から「じゃばら」というのでございます。これはお坊さんらしい柑橘でございますね!

 

また「ぶしゅかん」という柑橘もございまして、こちらは漢字で「仏手柑」と書きます。

我々が普段イメージする柑橘類の実の部分がなく、綿のようになっているのですが、不思議と柑橘のお味をしっかりと感じられるフルーツでございます。

しかも「仏の手」だなんて、今回のテーマにピッタリではないか!!

見た目もバナナみたいだし今回は「ぶしゅかん」でいこう!夏っぽいし!

ということで今回は仏手柑を使うことにいたしました。

 

バーボンにも様々種類がございまして、どれを選んだら良いのか?

自身で飲み比べてもよいのですが、大変種類(酒類?)が多うございますので、良いものが決まるまでに酔い潰れてしまいそうです。

私は時任に良いバーボンのお勧めを伺うことにいたしました。

 

「『エライジャグレイグ』というバーボンがございますよ。エライジャクレイグというのは、アメリカが新大陸として発展している頃にいたお坊さん(牧師)で、バーボンウィスキーの最初に作った生みの親と言われている人です。お坊さんの逸話もあるので良いかと思われます。」

 

さすが時任!

何てお酒に詳しい使用人なのだ!

 

「『アーリータイムズ』もポピュラーなバーボンです。直接の関係はないですが、上記僧侶のエライジャグレイグが初めてバーボンを作ったケンタッキーの開拓村にて作られたバーボンなので、正当な後継酒と言えなくもありません。」

 

なるほど!

結局正当な後継酒なのかどうかは定かではないですが、どちらがお勧めなのでしょうか?

 

「アーリータイムズは日本語で『在りし日々』という意味なので、昔をしのぶような感じが今回のお坊さんのテーマに沿っているのではないでしょうか?」

 

??

言葉の意味はよくわかりませんが、とにかく凄い自信でございます。

 

…まあでもブッダ(お釈迦様)も現世に「在りし日々」はゴーダマ・シッダールタっていう別の存在だったわけで、天界から「在りし日々」をしのんだりすることもあるか?

そう考えると『アーリータイムズ』は「仏のウイスキー」と言えないこともないのか?

じゃあアーリータイムズにするか!

 

これだけ仏や和の雰囲気を醸しているのですから「カリフォルニアレモネード」ではなく16回公演にちなんで「カラタチレモネード」と名付けましょう!

 

カクテルには花言葉のように「カクテル言葉」というものが存在するそうでございます。

カリフォルニアレモネードのカクテル言葉は「永遠の感謝」ということでございました。

では我々がお作りする「カラタチレモネード」は「永遠の三休(Thank you)」といったところでしょうか?

 

さて、肝心のお味ですが、本場カリフォルニアのレモネードはバーボンをたくさん使うのでお酒の香りが強めでございます。

少し柑橘を多めに使用してアルコール感はマイルドになるように仕上げております。

 

ノンアルコールのバージョンもございます。

こちらは紅茶シロップを使い甘く仕上げたレモネードでございます。

ノンアルコールバージョンには古谷ブレンドのゴシックを使用いたします。

ゴシックはお酒の感じがする「アイリッシュウイスキークリーム」のフレーバーなのでございます。

今回のカクテルのコンセプトにぴったりでございます。

「優李君、バーボンちょうだい」という劇中の台詞を彷彿とさせる関係性が見えてきて最高でございますね!

 

おっと、ついつい長話になってしまいました。

我々とお嬢様は本番でしかお会いできませんが、事前準備から心を込めて仕込んでおります!

当日を楽しみにお待ちくださいませ。

 

 

…あ、「広がる花吹雪」がテーマということなので、ストローはピンクにいたしましょうか。

 

それでは本日はこれにて。

ゲームプレイを終えて。

 

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。

先日アフターイベントが終わりました。

 

舞台や動画でお話した内容もございますが、ここで一区切りでございます。

私は普段ティーサロンには立ちませんので、近くて遠いところにいる仲間たちと。

共に過ごした旅行記をつれづれなるままに記しておこうと思います。

 

はじめ初稿が上がった時の印象は

…「あかわいんさんきゅう?え?」でございました。

 

いやいや、赤ワインって!

冗談でしょう。

あれ?他のメンバーは真面目で、現実にありそうな名前だぞ!?

という戸惑いがございました。

 

私が伊織に誘っていただいて脚本を書いていただくにあたって、僭越ながら出した希望は2つでした。

1つは的場本人役でないこと。

もう1つは衣装がいつもと違うこと

(13回公演では私はいつもの格好の関西色が強い的場役でございました。)

 

…オーダーが通ってはいるけど!

 

設定資料集でも書かれていた通り、初めは私、超重要人物でした。

ちょっとだけ内容をお話ししますと、ゲームの世界にいながらにして現実の世界も見通せるスーパー破戒僧だったのでした。

 

初回の写真撮影があった日のこと。

頑張って澄まし顔で「何でもお見通しだぜ?」という顔で撮影を行っている私のところに作家先生…あ、作家先生役の隈川ではなく脚本家先生の伊織がやってきました。

「的場さんの設定が結構変わります」

え!じゃあ今日はどういうキャラクター設定で撮られればいいんだい!?先生!

伊織先生は第二稿と格闘中でしたので、少し悲しそうに笑って立ち去るのでした。

 

第二稿が上がってからは悩み三休と向き合い…の連続でございました。

的場と近しいところもあり、違う人物でもあり。

「普段と違うカッコよさを演じてくれ」というオーダーも難しかったですし、逆に普段真面目な?私に「もっとふざけてくれ」という注文にもまた「こんなにふざけてていいのか!?」と戸惑う時もございました。

 

何よりダンスが本格的!

13回公演の時よりも自然に歌劇団にダンスが息づいていて、格段にレベルが上がっておりました。

最初は何をやっているのかすらわからず、桐島と絶望感に打ちひしがれたのを覚えております。

 

稽古期間は3ヶ月ほどでございましたが、半分くらい過ぎた時に三休との対話も一段落してまいりました。

まだ全容を語ることができない本番前に、執務中に三休が出てこないように注意したりするのも大変でした(これは漏れ出てしまった場面もあったかもしれません)。

普段お嬢様にお仕えする中でも活きてくるような感じがして、三休に学んだことも多くございました。

「悩みがあったら何でも聞くぜ?」のスタンスは使用人として大事な部分であるなぁと考える次第でございます。

 

また、何回も申し上げるようですが初の自身の楽曲を隈川が作ってくれました!

これは何にも代えがたい喜びでございました。

デモ楽曲から文句の付けどころがない!

能見的場のアホみたいな…ゴホンゴホン。

少年部分を大舞台で演じることができることはこの上ない喜びでございました。

これば本人にも百回以上伝えてはおりますが、感謝してもしきれないことでございます。

 

能見とのシーンもたくさんございましたね。

日替わりの漫才も楽しく作ることができました。

般若湯(作中でも度々出てくるお酒の仏教語)を酌み交わしながら出てきたアイデアは10を越えました。

楽しんでいただけたでしょうか?

 

お化粧やメイクは百合野と隈川が親身になって教えてくれました。

普段から舞台に立つ使用人として、今まで苦心して正解を見つけてきたのだろうな、と感じます。

歌もそうですが二人とも本当に教え方が優しい!

バンドゥールの責任者として見習わなければ!

という学びがたくさんございました。

 

これは度々他のメンバーからも出てくる話ではございますが、古谷、影山の素振りの数は凄い!

私も単純作業や地道な鍛錬が得意な方かな、と思っておりましたが二人のストイックレッスンを見ていると自身が凡人なのだな…と思い知らされました。

稽古が終わってもとにかく自主練習!4時間でも5時間でも!

そりゃあコンサートも盛り上がるわけだ!と私は毎度舌を巻くのでした。

 

本番前には実寸稽古があったり、数日前には小屋入りがございました。

寝泊まりしたわけではございませんが、ほとんどみんなで一緒に過ごしておりましたので、何だか合宿のような、小旅行のような気分でございました。

本番が近づくにつれて緊張感が高まったかと言われれば、もちろんゼロではないにせよ、ほとんど緊張よりは「楽しい!」が勝っておりました。

一人で作っているのだとしたら不安で一杯だったかと存じますが、実力申し分のない心強い仲間が作った作品でございます。

「本番が怖い!」というよりも「早くご覧いただきたい!」が強い気持ちでございました。

 

小屋入りをしてからは舞台・大道具が完成しており、映像をテストで流しているのを拝見しているとまるで本当のゲームのようでございました。

もうここまで来ると衣装着用の機会が格段に増えてまいりますので、稽古の映像を見返すと本当にゲーム画面みたい!ゲームからキャラクターが飛び出してきたみたい!と、ただの「スイートオンユー」のファンのようになってしまいました。

いかんいかん!これからプロのキャラクターとして振る舞わなければ!

 

…いよいよ本番を迎えることとなりました。

ここからは怒涛のように時間が過ぎてゆきました。細かい内容はDVDが出た際にご覧いただくとして、心の動きのみお伝えいたします。

さすがに本番ともなると鼓動が早鳴りいたします。

…ではこれは不安や緊張なのだろうか?もちろんそれもございます。

反対に武者震いであったり楽しみであったり高揚感であったり…。

様々な感情が私のからだ中を駆け巡りました。

本番期間は外界との接触を断たれ、反応は舞台上でしか感じることができないので、何が正解かわからずに迷いながら演じた回もございました。

「桐島がアドリブを入れているから私も変化球を増やしていった方がいいか?」

「もっと変な顔した方がウケるのかなあ」

心に迷いがあると余計なことを考えてしまいがちでございます。

もう舞台が始まった時点で色々な方々が完成させた三休があるわけですから、本来本番で内容を変えるべきではございません。

台本の枠から飛び出したい気持ちを抑えるのが大変な作業でございました。

あとは歌いながら踊るシーンは息が切れました。

平気なフリをするのに神経を使いましたが、疲れが見えないよう、上手にできていたでしょうか?

 

アフターイベントも本番とは違った苦労があって大変でございました。

伊織先生が書き下ろしてくれた三休エンディングの台本を見て私は驚愕いたしました。

…何と愛の言葉を囁く日がやってくるだなんて!

(詳しくは台本にも記載がございますのでちょっと恥かしいのですがそちらをご覧くださいませ。)

私が語るのもおこがましうございますが、こういった芝居はこちら側が照れてしまうと台無しになってしまうのではないか?

と最初に考えました。

初めは台詞を覚えるために山小屋近くの公園で繰り返し唱えるのですが、これには歯が浮いてしまって仕方がございませんでした。

毎日台詞を唱えることによって自分の中で台詞が自然に腑に落ちるよう努めました。

おかげで本番は三休として自然に?演じることができたのではないか?と存じます。

実際どうであったかはお嬢様のご判断にお任せいたします。

 

長くなってしまいましたが、この半年間の私の歌劇団経験の記録を記してまいりました。

私が演じてどうだったのかはお嬢様がご覧になっていただいた通りでございますので、主に心の動きをお伝えいたしました。

秋にはカフェがございますが、一旦私は着物を置いて普通の使用人に戻るといたしましょう。

 

様々な学びを与えてくれた三休にThank youを!

また会う日まで。

それでは本日はこれにて。

 

孤独の登山。

 

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。

あっという間に1月が終わってしまいましたね。

過ぎゆく時間をゆっくりと進ませるには思い出作りが必要なのです。

 

ということで先日はお暇をいただきまして、高尾山に行ってまいりました!

比較的難易度の低い登山コースで、お屋敷のある豊島区からも比較的近うございます。

去年は富士山も登っておりませんし、舞台も控えておりますのでトレーニングにトレッキングはもってこいでございますね!

 

山小屋を降りてから街へ出て鉄の馬車に乗り「高尾山口」という駅までやってまいりました。

 

綺麗な駅でございますね。

登るのは私一人でございますが、一緒におりますのはアクリル能見でございます。

私は未だ自身のアクリルスタンドがございませんので相方に出演していただきました。

ただ、お嬢様には景色をお見せしたいので、今回手元は全部ボケております。

能見さん、ごめんなさい。

 

駅を出ると小さな商店街に出ました。

小規模ながらも整った街並みでございます。

登山シーズンであればもっと活気づく街並みなのでしょうが、現在はちらほらと観光客が訪れるのみでございました。

少し進んでゆきますとケーブルカー乗り場があり、いよいよ高尾山の入り口にさしかかってまいります。

山頂までは徒歩だけでなくケーブルカーでも行けるのですね!便利な世の中でございます。

だが!私は文明の利器に頼りはしない…っ!

身体を鍛えるのが目的のひとつでもございますし、富士山も登頂しておりますので!

そういうわけで登り始めてまいります。

天気は快晴。時刻は10時過ぎでございます。

5分もすると、すぐに息が切れてまいります。

今回も余裕で登れる、というわけにはいかなさそうでございます。

こうした人工の施しがなされているのは誠に有難いことでございます。

日々尽力していらっしゃる地元の方々に感謝でございますね!

 

そうこうしているうちに「稲荷山展望台」に到着いたしました。

開始から30分強でしょうか。

展望台からは既に見晴らしの良い景色が広がっております。

……ヘビなんか出るのか…

そこからずんずんと登ってゆきます。

地面をよく見ると霜なのか昨日降った雪なのかわかりませんが、少し凍っておりました。

1時間ほど経った頃でしょうか。

登山客とはぽつりぽつりとすれ違うぐらいだったのが、にわかに賑わってまいりました。

開けた場所に辿り着くと人が多い!

   

高尾山登頂成功です!

遠くには雪をかぶった富士山も望むことができる眺望でございます。

いやぁ低難度とは聞いてはおりましたが、こんなにも短時間で登頂できるとは思いませんでした。

いい運動になったなあ。

 

………

 

……

 

…ん?

…ほう。奥高尾というものがあるのか。うーむ、陣馬山とやらまで5時間半か。

自分は歩くペースが速いから、日の入りまでには間に合うだろう。

時間もまだ12時を回っておりません。余裕だな。

私は奥高尾へ向かって歩を進めました。

高尾山から少し下って、次の山へ向かって登ってまいります。

先ほどより整備されていない山道になってまいりました。

少しだけ見え隠れしていた霜の割合も増えてきた感じがいたします。

決して多くなかった人通りも更に減ってまいりました。

 

しばらく歩くと再び開けた場所に出てまいりました。

「小仏城山」の山頂でございます。時刻は13時頃。

「こぼとけしろやま」と読むのか…。

写真ではわかりづろうございますが、先ほどより標高が高く気温が低いです。

山頂に天狗様がいらっしゃいました。

背景には夏場は栄えているであろう休憩所がございます。

現在は閑散としており、廃墟さながらでございました。

一通り山頂の様子と絶景を眺めた後、先を進んでまいります。

ここから更に荒れた道でございました。

だんだん歩きづらくなり、進行スピードも落ちてまいります。

少しの距離で体力を削られる行程となってまいりました。

日が当たらない場所は地面が完全に凍っている…!

前人に踏み固められ、所々で足を滑らせてしまいます。

こんな所で転んだらケガしてしまう!あと誰も見ていないけど格好悪い!

少しずつ慎重に登坂してまいります。

 

景信山という山の山頂に達しました!時刻は14時過ぎでございます。

いくつもの峠を越えて、もう何個めの山頂でしょうか。

高尾山からは標高も大分上がり、高尾山から200mほど高い位置におります。

あまり休憩らしい休憩を取っていないのでそろそろ疲れているような気がいたしますが、ひと休みするにも気温が低い!先に進むといたしましょう。

ここまで来ると人影もほとんどございません。

また少し下ってから登っていきます。

 

…先に申し上げておきますと、ここから写真はほとんどございません。

体力が尽きてしまいました。

まだいけると思っていたのですが、急に足が上がらなくなってしまったのです。

自分でも信じられないぐらいに急激に。

下山しようにも周りには人もおらず、静かな木々だけ…。

気が付けば耳が痛くなるような静寂の中にひとりぼっちでございます。

助けを呼ぶこともできません。

さっきの景信山で下山できたのに降りておけばよかった…。

と後悔いたしますが、途中まで来てしまったので戻るも地獄でございます。

標高も高く、気温が低いですし、地面は凍てつき、ぬかるんで足を取られます。

もはや進むしかない…!

私は歩を進めましたが時速1kmほどのスピードしか出ませんでした。

しばらくすると切り株がたくさんある開けた場所に出ました。

ご覧の通り、雪が解けないほどの気温ではございますが、本日は幸い快晴でしたので日光を浴びることはできる!

私はたまらず切り株に座りこんでしまいました。

 

数十分へたり込んでからでしょうか。

図らずも体力が微塵ながら回復したような感じがいたしました。

時刻は16時前。日の入りまでに下山しないと死んでしまうかも…。

何を調子に乗っていたのか…。恥ずかしいやら情けないやらでございます。

足を引きずりながら、少しずつ進んでまいりました。

16時を回った頃。下山道を発見いたしました!

後で知ったのですが、ここは「明王峠」というポイントだったそうでございます。

これも写真だとわかりにくいのですが、人が通る道とは思えないほど急勾配なのです。

もうすぐ日が暮れてしまう!

体力の限界を感じつつも、真っ暗になると余計に危ないので慎重に急ぎます。

元の標高が高いので麓までが長い…。

気が遠くなりそうでしたが1時間ほど降りたところ

人の住処が見えてまいりました!本当によかった!

遭難するかと思ったのでひと安心でございます。

この時点で17時前。日が暮れていたら危なかった…!

 

富士山には登りましたが、5合目から登頂したに過ぎません。

調子に乗ってはいけませんね!

ここからは1時間に1本のバスに乗り、温泉に入ってから山小屋へ帰りました。

 

ゴールの陣馬山に到達するには、あと2時間頑張らないといけないそうです。

私は大変悔しい!いつかはリベンジを果たしとう存じます。

長文の私事になってしまいましたが、久々の遠出でしたのでご容赦くださいませ。

それでは本日はこれにて。

遅まきながら。

 

お嬢様、明けましておめでとうございます。

2025年がやってきて少し経ちましたが如何お過ごしでしょうか。

 

遂に今年の4月には16回公演でございますね!

伊織からお知らせがあった通り遂に初稿が上がったとのことでございます。

いよいよ本番、お祭りが近づいてきたという雰囲気で盛り上がってまいりますね!

 

前回は13回公演の「サスペクテッド バトラーズ」に出演させていただきました。

また、毎年カウントダウンでは能見と漫才をお披露目させていただいております。

井戸端会議では能見・八幡とゆるいトークに興じさせていただいております。

ギフトショップでご感想を賜ることもございまして、私が様々な芸事に精通しているように仰ってくださる方もおられるのですが…。

 

私は生まれて初めての舞台が13回公演であり、今回が2度目の舞台でございます。

しかも前回の舞台は「関西弁の的場役」で出演させていただきましたので、「役を演じる」と言って良いのやら…。

 

昨年12月に行われた朗読会では手練れの使用人たちが様々な個性を見せてくれました。

技術で役の輪郭を作り上げてゆく者、生まれ持ったポテンシャルで魅力的なキャラクター像を演出する者…付き合いが長くなるほど、お屋敷の仲間たちの底の知れなさを痛感する催しでございました。

 

また、その前には「教えて!歌劇団先生」では伊織、能見、隈川が歌、ダンスそして姿勢に関して詳しく教えてくれました。その時にもよくよく思いました。

歌劇団の面々はこんなに色々なことを考えながら日々稽古に臨んでいるのか…!

その道のプロフェッショナルなので当たり前のことではございますが、しかしなかなか当たり前にできることではございませんよね。

 

実力がはっきりと見えてくると、己の小ささもまた、鮮明に感じられるものでございます。

このままでは駄目だ!頑張らなければ!

しかし完全な原稿が上がっていないので出来ることが「ランニングで体作りする」しかない!

 

あ、何やら愚痴っぽくなってしまっているような気がしてまいりましたが、要するに「できることは少ないけど頑張りたい!」ということでございます。

まだまだ存じ上げないことがたくさんあるかと思いますので、もし過去に芸事を嗜んだご経験があるようでしたら、お嬢様からも様々ご教示いただきとう存じます。的場が泣いて喜びますよ!

 

それでは本日はこれにて。

ただいま師走につき。

 

お嬢様!大変でございます!

もう2024年が終わってしまうそうでございます!

あっという間の一年間でございますね。

 

毎年同じような事を申し上げている気がいたしますが…。

我々バンドゥールは8月の夏のお祭りから12月のカウントダウンまで下半期が忙しく、上半期は丁寧に過ごそうと心掛けているのですが、毎年後半が特に光陰矢の如しでございます。

 

その中にバンドゥールと執事歌劇団のメンバーによるDVD「教えて!歌劇団先生」がございましたね。

お嬢様はご覧になっていただけましたでしょうか?

中に歌を習う場面があるのですが、私は光栄な事に第16回公演にゲスト出演する機会を頂戴しておりますので、これが非常に参考になりました!

教わった内容を試したくて、その後コッソリ音楽堂にて夜な夜な一人で自身の頭部の空洞に音を響かせる訓練を行ってしまう程でございます。

まだご覧になっていらっしゃらないお嬢様へ、詳しい内容のお話は控えておきますが、他の課題でも各々気付きがございました。

全て心に響く内容で、目下自主練習を進めているところでございます。

16回公演の前にも井戸端会議や朗読会、カウントダウンなど成果を確認するチャンスを賜る事ができるのは、大旦那様の器の大きさに感謝でございます。

また頼りになる仲間たちに囲まれて、来年もいい予感しかございませんね!

 

2025年も新しい事にチャレンジして、お嬢様がどうお感じになられたかをたくさんお伺いできればと存じます。

 

…あ、前回のブログで明石の名前がなかった事を指摘される機会が度々ございましたが、明石はいつも頑張っております!はい。

 

それではお嬢様、良いお年をお迎えくださいませ。

本日はこれにて。

11月に11周年。

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
本日でスワロウテイルギフトショップは11周年を迎えました。

この一年間は新しいことに色々チャレンジできたのではないかと存じます。
クリスマスはパティシエ姿でクリスマスケーキを作ろう!ということで「Making X’mas」というテーマで写真撮影を行いました。
ささやかながら座談会もやりましたね。

アニバーサリーはダンスホールまでお出かけして「仮面舞踏会」を題材として撮影しました。
オーガンジーという布を使ってダンスの動きを表現したことは印象的で、まるで昨日のことのように思い出されます。
火野が一生懸命動画を撮影・編集してくれました。
ギフトショップでその映像を流したりもいたしましたね。

夏には浴衣、シャツ姿に加え、オリジナルのTシャツを作って撮影することに挑戦いたしました。
桐島がデザインしたTシャツは、蝶と燕を合わせた「Swallowtail」の文字を刺繍したもので、筋肉だけでなく「0から1を作る」アーティストとしての厚みを見せてくれました。

またハロウィンは新選組。
すっかり恒例となった才木ワールドでございます。
フォトブックの文章も、才木が執筆し始めた頃は一緒に原稿チェックを行い、修正点も多かったのですが、今回はほぼ一人で世界観を作り上げたと言っても過言ではございません。
お屋敷でのイベントも、今年初めて行った「ゲーミングサロン」と同じ形式で行い、上手に新選組のイベントとしてお嬢様に楽しんでいただける形になったのではないかと存じます。

去年の記念日には的場・桐島・才木・明石で「走れメロス」の朗読を行いました。
拙い技術ではあったかもしれませんが、それが発展して6月にはお屋敷で約10年ぶりに「朗読サロン」を行うことになりました。
才木が本を選んだり書いたりしてくれて、その才能を遺憾なく発揮してくれました。

色々あって記念日には間に合いませんでしたが、今年はギフトショップメンバーが執事歌劇団のメンバーに様々なことを教えてもらうDVDをお出しすることになりました。
お嬢様にとっても普段のご生活で使える知識で、日々を彩る内容でございます。
さすがは執事歌劇団でございますね!

さて、イベントを中心に振り返ってまいりました。
井戸端会議が定期的に配信できる安定した環境を作れたり、バレンタインでショート動画をお届けしたりと思い出を挙げれば枚挙に暇がございません。
その度お嬢様からお声を頂戴いたしましたね。
また皆で新しいものを作っていきとう存じますので、温かい目で見守っていただければと存じます。

それでは12年目も何卒よろしくお願いいたします。

ファーストカクテル。

 

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
先日、お屋敷のティーサロンにてお仕えさせていただき、カクテルをご提供させていただきました。
使用人にも「的場がフロアにいるのが新鮮」と言ってもらえるのですが、私も年に何回かのフロアでのお仕えでございますので、私もまた新鮮な気持ちでお給仕できました。

山岡とは音楽やお酒を嗜む仲で、肩を並べてと言うよりは色々教えていただいているような関係でございます。
お嬢様の見える所で一緒に執務を行う機会も少ないので、あまり関係性が見えなかったかもしれませんね。

山岡はこだわりの強い使用人でございまして、今回のカクテルの内容やレシピ、材料の調達など何でもすぐにこなしてしまいます。
能力が高いのは素晴らしいことなのですが、この「山岡的場のカクテルデー」のプロジェクトが動き出した時、私の中で一つの懸念がございました。

「このままではただの山岡カクテルデーになってしまうのではないか…!」

本人は私がやりやすいようにお膳立てを頑張ってくれていて、気持ちは嬉しいのですがこのままでは一体感が感じられない!

そこで今回は無理を言って時間を合わせてもらい、仕込みからできるだけ参加をさせていただきました。
私は今回のカクテルデーが初めてのカクテル。
手際が悪く、効率的に仕事を進めたい山岡にはかなり譲歩してもらって足並みを揃えていただいたと思います。
しかし山岡がお酒にこだわりがあるように、「せっかくだから一緒にカクテルデーを作っていきたい!」という一点のみが私のこだわりでございました。

生生姜をおろしたり、お酒を調合したり、ガーミラ・アダラクのシロップを作ったり。
仕込みは力がいる作業も多く大変でしたが、共に何かを作り上げてゆく作業は非常に楽しいものでございました。

また、シェイクやステアなどカクテルの作り方を教えてもらい、知識が増えてゆくのも稀な経験で、とても貴重な体験をさせていただきました。

私はカクテルに関して、使用人の中では素人の域を出ませんが、お嬢様にお出しするのに失敗作をお出しする訳にはまいりません。
付け焼き刃ではございますが、毎日シェイカーを振って練習を重ねました。

そして迎えた当日。
不安はございましたが、しっかりと山岡が準備を整えてくれた事もあり、比較的冷静に仕事を運ぶことができたかと存じます。
それでも視野が狭かった部分もあったかと思いますが、お嬢様がティータイムやカクテルタイムをお楽しみいただく様子はしっかりと拝見する事ができました。

最後までカクテルをお出しした後「もう終わってしまうのか…」という寂しさがございました。
本日お出ししたカクテルは一日限りなのですよね。
この一日だけの為に準備をしてまいりました。
エクストラティーやカクテルデーを担当する使用人は、毎回たった一日の為に一球入魂しているのですね。
私は今回山岡に師事したのみでございますが、当家の使用人たちの心意気は素晴らしいと感じました。
特別な日にご帰宅なさった時は是非使用人たちのスペシャルメニューをご用命いただければと存じます。

そんな使用人たちとまた、ティーサロンでの楽しい時間を演出することができたら、と存じます。
またティーサロンでお会いすることがあれば美味しいものをご提供できるように努力いたしますので、是非お召し上がりになっていただいてご感想を賜ることができればと存じます。

それではまたギフトショップのバンドゥールに戻るといたしましょう。
また今回のカクテルで感じた事を色々教えてくださいませ。

それでは本日はこれにて。

19年目に向けて

 

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。

今月でお屋敷のティーサロンが18歳の誕生日を迎えます。

人間で言えば高校生ほど。選挙権が与えられる年齢となります。

いちティーサロンがここまでの歴史を刻むことがあるのでしょうか?

日本国内の歴史を鑑みてもここまでの通例はなかなか見受けられないのではないでしょうか。

 

歴史あるティーサロンの一端としてギフトショップも10年歩んでまいりました。

今月ギフトショップでは18年目のアニバーサリを記念してお祭りを催しております。

舞踏会をテーマとして舞い踊り演奏する使用人たちの姿をご覧いただけます。

これまでも様々な方々にアイデアを頂戴し、完成してからもご感想を頂戴いたしました。

お嬢様にもたくさんご意見、ご感想を頂戴いたしましたね。

我々ギフトショップのバンドゥールたちが今の位置にあるのは大旦那様、周囲の使用人たちのおかげ。

そしてもちろん、一番はお嬢様のおかげでございます。

 

私もギフトショップに赴任して7年半が経ちました。

…ん?もう7年半も経ってしまったのか?

しばしば我に返った時に「今、西暦何年だ?」と思ってしまうほどに時の流れはあっと言う間でございますね。

 

時の流れを止めることは叶いませんが、せめて少しでもゆっくりと流すために!

今年に入ってから私は日記をつけるようになりました。

一日一日を大切に過ごすことによって、思い出がハッキリと形になってまいります。

思い出がたくさん認識できると「今月は充実していた!」という気持ちになります。

三日坊主になると恥ずかしいので、2カ月続いた今だからこそ申し上げました。

 

一日たくさん書く必要はございません。一行、二行でも構わないのです。

本当に特に何もない日は何も書かなくてもよいのです。

(余談ですが、私は学生時代に日記と向き合い過ぎるがあまり一日のうち2~3時間を日記に費やしてしまった過去がございます。

これは個人的には時間の無駄だったな、と思いますのでお勧めいたしません。)

毎日続けることが肝要でございます。

 

日記に今日あった内容を記しておくと、後日読み返した時、記した内容の周りの記憶も蘇ってまいります。

また、日記をつける前よりも記憶力が上がった感じがいたします。

「今日一日を忘れたくない!」という強い気持ちがニューロンとシナプスを刺激しているのかもしれません。

まさに執事歌劇団の「File name ~X~ 」で言うところの「よみがえる微かなシナプス」でございます。

 

今までお世話になってきた身として「お嬢様に何かお返しできることはないだろうか?」と考えまして、結論から申し上げますと受けた御恩が大き過ぎて返せはしないのですが、お嬢様のお声が現在の私と我々とギフトショップの品々を形作っているのです。

そんなお嬢様との日々の会話を忘れてしまわないように日記をつけているという側面もございます。

お嬢様との思い出やお嬢様がうれしかったこと、考えさせられたことも使用人として今まで以上にしっかりと心にしまっておきたいと考えております。

そしてそれを糧として19年目もお嬢様がお喜びいただけるようなお品物を発明できるよう、ギフトショップのバンドゥール一同精進してまいります。

 

あ、日記はもちろん他人には見せない秘密の内容でございますので、私と会話する際に身構えないでくださいますよう心よりお願い申し上げます!

 

それでは本日はこれにて。