変身9

 

11

 

猫の姿だと、同じ道でもこうも長く感じるものなのか。

 

明石太郎はトンカツと共に寅組のアジトに向かっていた。

 

「おいトンカツ、まだ着かないのか?」

 

「あと少しです!」

「それにしても太郎さんは戦うとすごいのに、体力は全然ないですね」

 

「うるさいわい!今日は朝から疲れることがいっぱいあったんじゃい!」

 

「へー!例えばどんなことです?」

 

「どんなことって。朝から大家…いや、人間に追い回され、さっきの広場にあった大きな建物に登り、そして君たちを悪い猫から救った!こんな芸当私以外には到底不可能だろうな!」

明石太郎は、昂然と胸を張りながら言った。

 

「それは確かに。でも何であんな所に登ろうとしたんですか?きっと、なんにもないですよね?」

 

「え?まあ、それは猫の憧れというかだな………」と、考えていると、明石太郎はふと何か大事なことを見落としている気がした。

 

「そういえばトンカツよ。さっき言ってたとある猫を探しているって、詳しくはどんな猫なのだ?」

 

「えっ?ミケさんのことですか?」

 

「なに!?ミケだと!!」

 

「知っているんですか?」

 

「知ってるもなにも、その猫ならさっき会ったぞ!」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ああ。白と黒とオレンジ色のまだら模様で、ひょろっとしていて、人間の食べ物を当たり前のように頬張っていた……」

 

「ままま、間違いないです!!聞いていた特徴と一致してます!」

「戻って会いに行かなきゃ!」

トンカツは慌てて踵を返そうとした。

 

「まて、トンカツ。先にアジトに向かおう」

 

「えっ!?でもミケさんが!」

 

「まずは君の先輩たちを運ばないと」

明石太郎はリヤカーを見ながら言った。

「それに見つけたとしても無駄足になるかもしれない」

 

「なんでですか?」

 

「いや、ミケと話した限りでは、あまり戦いたくない雰囲気だった」

 

「そんな………」

 

「まあ、がっかりするな。丑組だろうがジャックだろうが、私が何とかしてやるから!」

 

「は、はい…」

 

 

 

ほどなくして、明石太郎とトンカツの歩く先に、石塀で囲まれた大きな廃屋が現れた。視界に映る窓ガラスはすべて割れており、建物のそこらじゅうに蔦がはっている。

 

「こんな所に建物があったとは」

 

「太郎さん、ここが我々のアジトです!行きましょう」

明石太郎とトンカツは歩を進めた。

 

敷地の入り口には大きな門が建てられていたが、扉自体は古く、もう何年も開けっ放しであることが容易に想像できた。

 

門の前まで来ると、「少し待っててください」と、トンカツが伝え、とことこ中に入っていった。

 

少しすると話し声が聞こえた。

「おートンカツ……大変………そうか……ふむふむ……」

なにやら誰かと話しているようだった。

それから1分間くらい、途切れ途切れに聞こえる会話をなにげなく聞いていると、突然「えっ!!」と大きな声が響いた。

 

その声の後すぐに見知らぬ黒猫が敷地の中から足早に近づいてきた。

そして、私のもう隠す気のない立ち姿と運んできたリヤカーを何度も確認した。

 

「あ、あんたか……確かにミケさんじゃねー、まさか、こんな奇跡が…」

 

「どうですかハックさん?」

トンカツが、得意気な顔で歩いてきた。

 

「やるじゃねえかトンカツ!あのトロかったトンカツがよう」

 

「えへへへへ」

 

「おっと名乗り遅れた。俺の名はハック、アジトの門兵兼情報屋だ。あんたの名前はトンカツから聞いてるぜ、太郎ってんだろ?よろしくな!」

 

「よろしく。私が来たからには大船に乗った気でいてくれて構わないぞ!」

 

「そいつは頼もしい!あんたが来てくれたことで、ミケさんがいなくても、虎ノ進の旦那の作戦が決行できるかもしれねえ!」

「だが、まずは彼らの手当てが先だな」

そう言うとハックはリヤカーに近づき、怪我猫の状態を確認した。

 

「息はあるが、急いだ方がいいな。太郎、トンカツ、ついてきてくれ」

 

「もちろんだ!」

「はい!」

 

 

 

 

門を通り抜け中庭を進むと、大きな玄関扉の前までやってきた。

 

「さすがにリヤカーごとこの扉は入れないな。しかしハックよ、これ開けられるのか?」

猫が開けるには、中々に骨が折れそうなサムラッチハンドル式の扉であった。

 

「まあ見てなって」

するとハックはピョンとジャンプし、ドアの取っ手に捕まった。そして片方の前足で上部のボタンを押し、後ろ足でドア横の壁を思いっきり蹴飛ばした。

するとググっと少しだけドアが開き、すかさずハックはその隙間に体を入れ込み、下まで滑り落ちてきた。

そして最後に頭で押しながらドアを開くと、途中でガチャという音がした。

 

「よし、これで勝手に閉まらないはずだ」

中々の手際だった。

 

「どうですか太郎さん!これができるのは寅組の中でも数匹だけ。その中でもハックさんが一番スムーズに開けられるのです!」

トンカツが〝エヘン!〟という表情で言った。

 

「なぜお前が誇らしげなんだ」

 

「す、すみません」

 

まあ、確かにすごいがな……

明石太郎は、自室の扉と格闘した今朝のことを思い出した。

 

「だけどハック、ずっと開けっ放しにしとけば楽なのではないか?」

明石太郎はふと疑問に思った。

 

「昔はそうだったんだが、〝もし敵に攻められたらこの開けづらさが、守りとしての役目を果たしてくれる〟というおかみさんの助言を聞いてから、必ず閉めることにしているんだ。実際、アジトが手薄なときでも襲撃をうけなくなったしな」

 

「おかみさん?」

 

「我々のボス、虎ノ進の旦那の嫁さんで、目覚めし猫だった方だ。もう亡くなってしまったがな」

 

「目覚めし……、そういえばトンカツも言ってたが、それって何なんだ?」

 

「それはですね」と、今度はトンカツがしゃべりはじめた。

「一言で言いますと、人間みたいな猫のことです!おかみさん、ジャック、ミケさんがそれに当てはまります。そして恐らく太郎さんも……」

 

「なるほどな」と、明石太郎は納得した。そして全ての線が繋がった。

つまり、あの毛玉の死神によって罰を与えられ猫に変わった人間が、猫の世界では目覚めし猫と呼ばれているのだろう。

そして、良くも悪くも猫たちに大きな影響を及ぼしている…

 

「だから期待しているぞ明石太郎よ!」

 

「では、俺は怪我した彼らを運ぶために仲間を呼んでくる」

そうしてハックは建物の中に入っていった。

 

 

 

 

「これでよい」

怪我した猫たちをアジトの一室に運び、可能な限りの手当てを施した。

 

「これもおかみさんの知恵なのか?」

処置をした年老いた猫に聞いた。

 

「そうじゃ。しかし、ここまで完璧にできたためしはない。太郎さん、あんたが手伝ってくれたおかげじゃ」

 

「いやいや。これからも知りたいこと手伝えることがあれば、何でも言ってくれ!」

 

「頼りにしとるぞ」

年老いた猫の瞳は、希望に満ち溢れていた。

 

それから少し経ち、明石太郎が休んでいると、ひょこっとトンカツが部屋に入ってきた。

 

「あの~、太郎さんちょっといいですか?」

 

「どうしたトンカツ?」

 

「みんなが太郎さんと話してみたいと……」

 

「ん?」

詳しく話を聞いてみると、どうやらトンカツはアジトに戻ってから、私との経緯を仲間たちに自慢げに話していたらしい。

 

「やれやれ、しょうがないやつだ」

 

「ありがとうございます!」

 

まあ、ハックが虎ノ進親分と話し終えるまで、暇であったしな…

 

「では行きましょう!」

 

アジトにはかなりの数の猫たちがいた。そして意外なことに、ほとんどの猫が目覚めし猫を直接見たことが無かったのだ。なので、会うたびに質問攻めをされ、そのたびになぜかトンカツが鼻高々に答えていた。

「またこいつは…」と思ったが、ここまでくると何だか可愛く思えてきた。

 

そして、いつの間にか二匹の周りにはアジトにいたほとんどの猫が集まってきており、盛り上がりも最高潮に達していた。そんな折、ようやくハックが戻ってきた。

 

「おお、ハック。ずいぶんと遅かったな」

 

「ちょっとな……」

ハックは浮かない顔をしていた。

 

「太郎………まずいことになった」

 

「どうした?」

 

「ジャックが現れた」

 

「なに!?」

 

「トンカツ!」

 

「あっ、ハックさん!」

ようやくハックの存在に気づいたようだった。

「今、みんなにですね……」

 

「まて、悠長なことを話している暇はない。緊急事態だ!」

 

「緊急事態?」

 

「みんな、聞いてくれ!」

その場にいた猫たちにも呼びかけた。

 

「ドングリ野原にジャックが現れた」

 

「えっ?」

「うそだろ」

「ジャックだと…」

その言葉を聞き、先ほどまでの楽しげな雰囲気が一転した。

 

「現在、迎え撃っているのは、蟹丸組、ラクレア組、そして…」

ハックはちらりとトンカツの方を向いた。

「どん吉組だ」

 

「えっ……」

トンカツの顔から一気に血の気が引いていった。

 

「で、でもハックさん、確か虎ノ進親分がジャックとは戦うなって指令を出してたはずですよね?」

一匹の猫が尋ねた。

 

「そうだ。だから虎ノ進の旦那も俺も争いは起こらないと考えていた。蟹丸さんはともかく、どん吉さんとラクレアさんは、冷静に対処しようとするはずだからな。だが………」

 

「でも、もしかしたらあの方たちが揃えば勝てるんじゃないですか?」

「そうだよ、幹部の中でも実力のある方たちだし」

 

「10%」

 

「えっ?」

 

「旦那も俺も勝てる見込みはそのくらいだと予想した」

 

「そんな」

「彼らでも……」

 

ハックの表情からも、会ったときのような明るさは消えていた。

 

「僕……」

すると突然、トンカツがどこかに歩き出した。

 

「おい、どこへ行く!」

 

「僕……、ドングリ野原に行きます!」

 

「なっ!?落ち着け、トンカツが行ったところで、どうこうできる相手じゃねえ。命を無駄にするな!」

 

「でも僕もどん吉組の一員だ。だったら行かなきゃ!」

 

「まて、お前は太郎を連れてきたという大きな仕事を果たした!参加しなくたって誰も文句は言わん」

ハックが前足で止めようとした。が、それを振り切りトンカツは走りだしてしまった。そして割れた窓ガラスから飛び出していった。

 

「くそっ……」

 

「ハックよ、戦いが始まってからどのくらい経つのだ?」

横で見ていた明石太郎が言った。

 

「………正確には分からないが、太郎と会ったときには、すでに始まっていただろう」

 

「なるほど。なら、急げば間に合うかもしれないな」

 

「えっ!?ま、まさかお前…」

 

「私も向かう!」

 

「駄目だ!ミケさんがいない今、あんたがやられたらそれこそ打つ手がなくなる!」

 

「やられやしないさ。そもそも真面目に戦う気はない」

 

「どういうことだ?」

 

「勝つことはできなくても、助けることならできるかもしれない!大切な仲間なんだろ?」

 

「そうだが………」

ハックは考えた。確かに、必ず訪れるであろう丑組との決戦に、彼らがいるといないとでは大きく違う。

 

「わかった。ただ、俺も行く。そしてもし助けられないと分かったら、太郎は仲間を置いて必ず逃げると約束してくれ!」

 

「……了解した」

 

「よし」

そう言うとハックは、近くにいた一匹の猫に、虎ノ進の旦那に経緯を報告するよう伝え、向かう準備を始めた。

 

 

 

変身8

 

変身(登場猫物・用語)

 

明石太郎……この物語の主人公。(目覚めし猫)

朝起きると茶トラ猫になっていたが、持ち前の好奇心と前向きさで、アパートの外に飛び出す。その後トンカツやミケと出会い、現在は寅組を助けるため行動している。

 

トンカツ……寅組傘下であるどん吉組所属のハチワレ猫。

指令によりミケを探していたが、途中で敵対勢力である丑組の猫たちに襲われてしまう。が、明石太郎の助太刀により事なきを得る。その後、明石太郎を味方にするという大きな仕事を果たす。

戦いが苦手で好きではないが、意外と勇敢だったりする。

 

どん吉……寅組傘下であるどん吉組の親分。

寅組の幹部でもあり、武力と知力を兼ね備える実力者。寅組の中でも古参であり、虎ノ進親分のおかみさんやミケとも面識がある。現在は、同じく寅組の幹部である蟹丸・ラクレアと共にジャック率いる丑組と交戦中。

大柄で灰色の猫。

 

虎ノ進(とらのしん)……寅組の親分。

通称〝犬喰いの虎ノ進〟猫の世界では広く名が知られており、彼に惹かれて寅組に加入した猫も少なくない。大きな戦いでは自らが最前線に立ち部下たちを指揮する。

大柄なトラ猫。体はがっちりとした筋肉質である。

 

ミケ……寅組所属の三毛猫。(目覚めし猫)

唯一、規律厳しい寅組の中で自由を与えられている猫。その実力はいまだ不明だが、寅組の中ではジャックに対抗できる唯一の猫だと言われている。しかし、明石太郎と出会ったときは、戦いにあまり前向きではなかった。

好物は焼き魚。

 

おかみさん……虎ノ進の妻で現在は亡くなっている。(目覚めし猫)

野犬の群れに襲われていたところを虎ノ進に助けられ、そのことがきっかけで結婚する。そして虎ノ進に恩を返すべく、役立ちそうな人間についての情報を様々伝えた。しかし、野犬に襲われたときの怪我などが原因で結婚した数年後に亡くなった。

 

牛鬼(ぎゅうき)……現在の丑組の親分。

自己中心的な考えで心の中では常に自分さえよければいいと考えている。

武力はあまりないが、悪知恵と先代の血を引いているという理由で丑組の親分に就任した。

牛柄のぶち猫でかなりの大柄だが、ほとんどが脂肪である。

 

ジャック……丑組最強の猫。(目覚めし猫)

所属すれば面倒な食糧集めをしなくても、たらふく食事にありつけるという理由で丑組に加入。部下はいるが普段は一匹で勝手に行動しており、様々な地域に行ってはそこらじゅうの猫たちに喧嘩を売り危害を加えている。

 

神様……人を殺めた人間を猫の姿に変えるという罰を与える猫型の死神。

仙人を猫にしたような話し方や見た目だが、特に罪のない明石太郎を間違えて猫の姿にしてしまうという、いい加減な面も併せ持つ。

真っ白でふわふわもこもこの毛並みは、とても触り心地がよいらしい……

 

 

寅組(とらぐみ)……明石太郎が生活する地域一体を支配する二大猫勢力の一つ。

親分である虎ノ進を中心に幹部クラスから下っ端まできっちりと統制がとれた組織。規律を重視しており、基本的に無駄な他勢力との戦いはしない。

また、今は亡きおかみさんのおかげで、人間社会へもうまく対応し勢力を広げていった。

 

丑組(うしぐみ)……明石太郎が生活する地域一体を支配する二大猫勢力の一つ。

寅組と拮抗していたが、牛鬼が就任してから力が徐々に弱まりはじめる。しかし、組織再建のため行った徴兵政策でジャックが加入したことにより、再び力をつけはじめる。アジト周辺には豊富な食糧や資源があり、それを餌に多くの猫を集めている。兵力の多さでは寅組に大きく差をつけている。

あくどいことも平気で行う。

 

目覚めし猫(めざめしねこ)……数万匹に一匹の割合で存在するという猫。

特徴として人間社会に詳しかったり、猫では考えられない発想を有していたりする。また、熟練度があるらしく、日を追うごとに力を増すといわれている。実は神様によって猫の姿に変えられた人間である。

それ以外にも知られていない事実が存在する。

 

 

10

 

「丑組の件、了解した。お前たちは奴らとの接触を避けながら引き続きミケを探してくれ」

 

「わかりました」

 

太陽はすでに西に傾きつつあったが、寅組は依然としてミケの所在を掴めずにいた。無論、どん吉組のミケ捜索班たちも同じであった。

 

(くそ、ミケのやつどこ行きやがった)

どん吉は焦っていた。

数時間経っても、ボスである虎ノ進親分の指令を達成できていないという理由もあるが、一番は丑組の先鋒隊が寅組の縄張りに進行してきているという通達を、偵察班の部下たちが度々報せに来るからだ。

 

(とっとと見つけねえと。いっそ縄張りの外まで捜索範囲を広げるか?いや、それだと戦力をさらに捜索班に割くことになる。丑組が攻めてきているというのに、それは危険だ。しかし、このまま続けていても無駄に時間が過ぎるばかり……)

いくら考えてもこれといった打開策は思い浮かばなかった。

そうこうしていると、また一匹の部下がどん吉の元へ走ってきた。

 

「どん吉さん報告が」

 

「ん、どうした?ミケが見つかったか?」

 

「あ、いえ……」

 

どん吉は表情を少し曇らせた。

「悪い報せか?」

 

「は、はい。ドングリ野原にて我々寅組と丑組が交戦を始めました。敵の戦力を見るに、今回は少しばかり大きな戦いになりそうです」

 

「ジャックはいるのか?」

 

「いえ、ジャックらしき姿は確認できず」

 

「そうか」

(確かドングリ野原を任されているのは蟹丸だったな。あいつなら援軍は必要ないだろう)

よし、我らは引き続き捜索を……と、伝えようとした刹那。さらにまた別の猫がどん吉の元に走ってきた。

 

(またか……)

ただ今度の猫はかなり険しい表情をしていた。

 

(ん?たしかあいつは蟹丸のところの……)

嫌な予感がした。

 

「どん吉さーん!!!はあ、はあ、大変です。ジャ、ジャックが現れました」

 

「なんだと!!」

それは考えうる中で最悪の報せだった。

 

(まさか奴まで来ているとは)

「ドングリ野原か?」

 

「はい。なので援軍に加わってほしいと蟹丸親分から言伝てを預かってきました」

 

「援軍!?」

どん吉はその言葉に我が耳を疑った。

「あいつ迎え撃つ気か?」

 

「はい。そのようです」

 

「……ばかやろう」

 

「えっ?」

 

ふわりと、どん吉の灰色の毛が逆立った。

「ジャックとの戦闘は避けろとの命を忘れたのか!!」

どん吉の怒号でその場の空気がひりついた。

 

しかし、それでも報せにきた猫は言葉を続けた。

「申し訳ございません!!が、が、しかし。今ジャックは悪魔の爪を装着しておらず、〝俺と近くに陣を張っているラクレア、そしてどん吉の三部隊が合わされば奴を倒せる!〟とのことです」

 

「………」

どん吉は少しの間沈黙し、思考を巡らせた。

 

それは甘いきがする……

 

(ジャックは底が知れない。直接戦ったことはないが、奴の戦闘を見れば分かる。体の大きさ、筋力、俊敏性。そして目覚めし猫だからか、引っ掻きだろうが噛みつきだろうが、こちらがどんな攻撃を仕掛けようが、全ていなされてしまう。恐らく俺たち三部隊だけでは……)

 

しかし、だからといって行動しないのも違う気がした。

事態は急を要している。

 

(それに蟹丸の性格なら我々が合流しなくても、ジャックに挑もうとするだろう。あいつをそんなことで失うのはまずい)

 

「……よし、分かった」

断腸の思いであった。

 

「我々どん吉組も部隊を整えドングリ野原へ向かう。だから、集まるまでは絶対に戦うなと蟹丸に伝えろ!」

 

「はい!!ありがとうございます!!」

その猫はドングリ野原の方向へすぐさま駆けていった。

 

「どん吉さん……ジャックと戦うんですか?」

横で聞いていた部下が尋ねた。

 

「そうなるかもな」

 

「……わかりました。では急ぎ各地に散らばったどん吉組に、ドングリ野原に集合するよう伝えてきます」

 

「頼んだぞ」

「俺は先に向かっている」

 

「わかりました。では、後程!」

 

「ああ」

 

間違った選択をしている………気がする。

それにミケだってまだ見つかっていないというのに……

 

しかし、そんなことを考えても詮無きこと。今は急ぐしかない。

 

そうしてどん吉はドングリ野原へ駆けていった。

 

 

 

 

 

おまけ1

 

お嬢様、今回もご覧いただき誠にありがとうございます。

毎回、そろそろ終わりが近づいてきたかな?と思うのですが、書きはじめると、どうも話が膨らんで中々完結に辿り着けません。これが良いことなのか悪いことなのかは分かりませんが、妥協せずに一歩一歩、完結へと進む所存でございます。なので、ごゆるりとお待ちいただければ幸いでございます。

 

おまけ2

 

最近とても良いことがございました。

私が一番応援しているサッカーの〝鎌田大地選手〟が、とある大会で優勝を果たしたのです。

それはイギリスの〝FAカップ〟と呼ばれるものでございます。

最も歴史があるサッカーの大会としても知られ、決勝戦にはイギリスの王族が観戦するという慣例があるほどでございます。(ちなみに鎌田選手はウィリアム皇太子と握手をし、メダルをかけてもらっておりました)

また、鎌田選手が所属し、今回優勝した〝クリスタル・パレスFC〟は1861年に創設されて以来、初めての主要タイトルでございました。

恐らく、ファンの方々からは永遠に忘れられることのない日本人選手になることでしょう。

 

そしてサッカーの話題をもう一つ。来年はワールドカップイヤーでございます!開幕戦は2026年6月11日予定、つまり約一年後でございます。なので、来年の今頃には、私は変身を書き終え、ワールドカップのブログをきっと書いていることでしょう!

 

ではお嬢様、次回のブログでまたお会いいたしましょう!

 

終わり。

変身7

 

 

明石太郎の居住アパートから一駅ほど離れたところに大きな廃工場がある。

目の前には川が流れており、また、そばの橋を渡った先には民家やら商店街やら、人の住む町が広がっている。

川には魚をはじめとした生き物がわんさか生息しており、さらには人の住む地域のごみ箱を漁れば、猫にとっての食材が豊富に落ちている。

つまりこの人の寄り付かぬ廃工場は猫にとって格好の住処なのである。

そしてそんな楽園とも言える廃工場を住処としているのが〝牛鬼親分〟率いる丑組なのである。

 

開きっぱなしの大きなシャッターから廃工場内に入っていくと、大きく開けた空間が広がっている。天井からは錆びたフックがいくつか垂れ下がっており、三方の壁際にはもう動かないであろう機械が点在していた。機械の周りには機材や鉄材がそこかしこに転がっていた。

そして空間の中央には壊れた平ボディ型のトラックが置かれており、荷台には猫たちが拾ってきたボロいクッションがたっぷりと積まれ、その上に丑組の長〝牛鬼親分〟がふんぞり返って座っていた。

 

ちょうど工場内では丑組の集会が開かれていた。

 

「えー、現在先鋒部隊が寅組の縄張りに進行しており、数か所にて戦いが勃発しております。中でもドングリ野原での戦いが大きく、相手方を率いているのは寅組幹部の一人〝蟹丸〟とのこと」

丑組の下っ端がそう伝えると、牛鬼親分はぶくぶくに太った大きな体をゆっくりと起こし、口を開いた。

 

「ドングリ野原での戦況は?」

 

「やや押されておりますが、そこにはジャックさんが向かっておりますので、到着次第逆転するかと」

 

「よしよし」

「ジャックにはそんな雑魚部隊など早く蹴散らして力を見せつけろと伝えろ!ただし寅組の本陣には攻め入るなよ。あくまで作戦通りにとな」

 

「はっ」

 

さらに牛鬼親分は質問を続けた。

「その他の状況はどうなっておる?」

 

今度は別の下っ端猫が答えた。

「はい。まず手筈通り決戦の噂を各方面に流しており、そちらはほぼほぼ完了したとのこと。さらに戦力の補充に関しては、噂やエサにつられて、かなりの野良猫が丑組に集っております。」

 

その答えに満足したのか、牛鬼親分は醜悪な表情で笑いはじめた。

「ぐっふふふふ。あのくそ忌々しい目の上のたんこぶを、やっとこの手で屠れるわい」

「よし、お前ら!決戦は今日ドングリ野原!日が落ち人間共が寝静まったらじゃ!この戦いで虎ノ進及び寅組を徹底的に潰し、奴らの縄張り一帯を丑組のものとするのじゃ!」

 

「うおーーー!!!」

牛鬼親分の啖呵で工場内に地響きのような歓声が鳴り響いた。

 

 

明石太郎は負傷した猫たちを運べそうなものを探していた。

 

「ええーと、確かこの辺に……おっ!あったあった」

明石太郎はアパートの物置小屋で木製のリヤカーを見つけた。

「あとはこの姿で引っ張れるかどうかだが……」

持ち手の部分に両前足をかけ、バランスを崩しながらもなんとか後ろ足だけで立ち、持ち手を上げた。

「おっとっとっと、難しいけどなんとかなりそうだ」

 

ガラガラとリヤカーを引っ張りながら小屋を出ると、先ほど助けたハチワレ猫に話しかけた。

「おい!そこの猫君よ、倒れている君の友達をこれに乗せたいんだが、手伝ってくれないか?」

 

すると目を大きく見開き驚いた表情でこちらを見ていたハチワレ猫が、ハッとその言葉に気づき、こちらに駆け寄ってきた。

 

「これに……ですか?」

 

「ああ。これなら一度に運べるだろ」

 

「運べるって、どこへです?」

 

明石太郎はリヤカーを一旦置いて答えた。

「君たちは寅組だろ?アジトがあるのではないか?」

 

「えっ!なぜ寅組って知っているんですか!?」

ハチワレ猫は少し警戒した表情で聞いた。

 

「まあちょっとな。おっと、だが勘違いしないでくれ。さっきも言ったけど私は君を助けにきた仲間だ!」

 

ハチワレ猫はその言葉を聞くと俯いた。何かを考えているようだ。

そして、しばらくすると何かを決心したように口を開いた。

 

「あなたはもしや〝目覚めし猫〟ではないですか?」

 

「ん?なんだそれは」

 

「あ、いや……」

ハチワレ猫は当てが外れたのか少し悲しそうな顔をしたが、またすぐキリっとした表情に戻り明石太郎に尋ねた。

「あ、あの僕たちを助けてください!」

 

「あたりまえだ!そう言ったろう」

 

「い、いや違うんです」

そう言うと今何が起きているのかを話しはじめた。

 

今この辺りを支配している二大勢力「寅組」と「丑組」が争っていること。

 

丑組にはジャックという恐ろしい猫がいること。

 

そしてそのジャックに対抗すべく、このハチワレ猫トンカツは〝とある猫〟を探しているという。

 

「なるほど。で、その猫が見つからないから代わりにそのジャックと戦ってくれということか」

 

「は、はい」

 

「そのジャックというのはそんなに強いのか?」

 

「僕も見たことはないのですが、普通の猫では絶対にありえない〝武器〟というのを使ってくるそうです。それで何匹もの寅組の方々がやられてしまったそうで……」

 

「ふむ…」

明石太郎はそうは言っても所詮は猫だからなぁと思い、取り敢えず二つ返事で了承した。

 

「ありがとうございます!」

「ではまず僕たちのアジトにご案内します!」

 

そうして明石太郎とトンカツは、倒れている仲間の猫たちをリヤカーに乗せ、寅組のアジトに歩を進めた。

 

 

 

おまけ

 

明けましておめでとうございます、お嬢様。

久しぶりのブログ、久しぶりの「変身」ということで、よく分からなかったお嬢様もいらっしゃるかと存じます。

そんなお嬢様には是非、変身1〜変身6を見ていただければと存じます。

 

また、続きもなるべく早く書き上げる所存でございます。

 

これからもお楽しみいただければ幸いでございます。

 

終わり。

釣り5

 

先日、私は釣り納めに行ってまいりました。

前回は狙っていた黒鯛が一切かからず、思い出すも無残な結果で、ブログでも見栄を張ることしかできませんでした。

ですのでそんな雪辱を果たす戦いでもございました。

 

一泊二日の釣り旅行。結果は一体どうだったのか………

まあ、申してしまうと黒鯛は釣れませんでした。が、しかし。

それなりのサイズのカワハギが釣れたので、少しは果たせたのかなぁと、存じます。(ちなみにカワハギはいつものフカセ釣りではなく、その合間で遊んでいた「ブラクリ」というオモリに針が直接付いているシンプルな仕掛けで釣りました)

 

と、まあ釣りだけでいうとなんとも微妙な結果でございましたが、実は今回は釣りと並行してあることに挑戦しておりました。

それは前々から友人と考えていた「キャンプ」でございます!

 

いつも考えていたのですが、釣った魚をすぐに調理して食べられたらどれだけ良いかと。

そしていつも釣りを共にしている友人がキャンプ経験者だったということで、今回挑戦した次第でございました。

 

私は初めてのキャンプでございましたが、とても良い経験でございました。

自然豊かな土地にテントを設営し、そこに荷物を置いて拠点を作るのは、幼少の頃の秘密基地作りを思わせ、キャンプ道具はどれも男心をくすぐり、焚火はいつまでも見ていられました。

そして待ちに待ったキャンプ飯も何と美味しかったことか。

今思うと一般的に黒鯛よりも食すことが多いカワハギが釣れたのは、この日においては良かったのかもしれません。

その他にも持参したお米や道中で購入したお野菜なども、美味しゅうございました。

(いつもと同じ食べ物なのに、環境次第でより美味しく感じるのは不思議でございます)

今回の釣りキャンプは概ね成功ながらも課題もございましたので、それも踏まえてまた挑戦したいと存じます。

 

そして次こそは、必ずやお嬢様に美味しいお魚を釣ってまいります!

 

 

おまけ1

お魚はご用意できませんでしたので、せめてお写真だけでも献上いたします!

 

 

カワハギ君。

 

 

焚火と飯盒。

 

 

歩いてたタヌキ。

 

 

おまけ2

 

今年はどんな一年でございましたか?

 

私はお屋敷のことで申しますと…

 

ブログ……上半期は調子が良かったが、後半は尻すぼみ。

お写真……大きな4回ある催しのうち3回参加!

動画……珍しく2回も出演し、年末年始の配信イベントも参加!

お菓子……新しい焼き菓子を2種類考案!

 

私にしては、まずまずだったのではないでしょうか。

来年もこの調子で頑張りとうございます!

 

それではお嬢様、このあたりで失礼いたします。

 

来年も良いお年をお迎えくださいませ。

 

 

終わり。

釣り4

 

ぎょ機嫌麗しゅうございます、お嬢様。明石でございます。

え?挨拶がどこか変でございましたか?……ややっ!これはうっかりしておりました。先日の釣りが楽しすぎたゆえ、「ご」と「ぎょ」を間違えてしまいました。申し訳ございません。

 

いやー、それにしても先日の釣りはとても素晴らしい成果でございました。今も半ば興奮気味でこの文章を書いております。

 

一体何が素晴らしかったのか?

まずは一枚の写真をご覧くださいませ。

 

 

美しい黒と銀に彩られたこの魚。名を黒鯛と申します。(またの名をチヌ)

フカセ釣り(餌を使用する釣り)を始めるにあたって、釣り人がまず目標にするお魚がこの黒鯛かと存じます。

かくいう私も今まで釣り上げたことがなく、常に憧れておりました……が、しかし。ついにその時がやってきたのです。

 

この日は9月中旬でございましたが、さすがにまだ夏の暑さが残っており、照りつける紫外線に加え、予報外の通り雨や荒々しい波など、厳しい環境でございました。

ですが私と友人はそんな困難な状況でも希望に満ち溢れておりました。なぜならば、確かな情報筋からこのポイントで黒鯛が釣れるということを聞いていたからです。

我々は無我夢中で竿を振り続けました。

 

気がつくと時刻は17時前。いわゆる夕マズメ(日の入りすぐ)の時間帯でございます。

 

「今日一番のチャンスかもしれない」と、期待に胸を膨らませていると、ぐぐっと何かが餌に食いつきました。その引きは今までとは明らかに違います。友人もそれを感じとったのか一旦竿を置き、タモの準備を始めました。

私は逃がすまいと必死にリールを巻きました。

すると徐々にその姿が見えはじめたのです。メジナでもアイゴでもない、黒と銀の光沢が。

私は焦る気持ちと興奮を抑えリールを巻き続けました。そして海面ギリギリまで来たところで友人が絶妙のタイミングでタモを入れ、無事釣り上げたのです!

 

この時をどれだけ待ちわびたか。実は友人も一度も釣ったことがなかったので、彼も大喜びをしておりました。

なんと素晴らしい一日だったのか!ただ一つ残念なのがお嬢様の食卓を彩るには少しばかりサイズが心もとないと言うこと。なので散々迷った結果、今回は我々で頂くことにいたしました。

次こそは良型でとびきり脂の乗った黒鯛をお嬢様に届けとうございます。

 

それではまたお会いいたしましょう!

 

 

おまけ1

 

お嬢様、ご覧いただき誠にありがとうございます。

今月はなんとか掲載できました。

来月もこの調子で頑張る所存でございますので、ご期待いただければと存じます。

 

おまけ2

 

そういえば他にも小さいながらも別の魚も何匹か釣れましたので、そちらの写真も載せておきます。

それと調理した焼き魚の写真も載せておきます。

 

 

 

 

終わ……

 

 

(やはり事実を申さねばならない)

 

実は今回釣り上げた黒鯛でございますが……

 

本当は友人が釣り上げました……

 

あたかも私が釣ったように見せて、申し訳ございませんでした!!

釣ったシーンでも本当は私がタモ係でございました。

 

私が釣れたのは小さなお魚だけで、それがなんと申しますか、とてもくやしゅうて、くやしゅうて、見栄を張ってしまいました。

誠に申し訳ございません。

 

ただ、もしまた釣りをする機会があれば、次こそは私の手で黒鯛を釣り上げたいと存じます。

そして必ずやお嬢様の食卓に届ける次第でございます!

 

終わり。

アカッチFC なでしこジャパン~パリオリンピック編~

 

J:全国のサッカーファンの皆様、こんばんは。実況のアカシJでございます。久方ぶりのアカっちFCの時間がやってまいりました。

 

さて、なぜこの番組を急遽放送しているでしょうか?

……なんてサッカーを愛する皆様には愚問でしたね!そうです。4年に一度のスポーツの祭典、夏季オリンピックでございます!

我らがサッカー日本代表も男女共に、今回の舞台であるパリへの切符を手にしているので、この場を設けたわけでございます!

ということで今回はオリンピックに出場するサッカー日本代表。その中でも日本女子サッカー(なでしこジャパン)にスポットを当てて番組をお送りいたします。

それでは番組を進めていこうかと思いますが、その前に。今回もスペシャルゲストをお呼びしておりますので、まずは登場していただきましょう!

ではお願いします!

 

??:どうもこんばんは、小石 明です。よろしくお願いします。

 

J:よろしくお願いします。

 

テロップ{小石 明(こいし あかり)元女子プロサッカー選手。持ち前の持久力と危機察知能力で鉄壁の守備ラインを築き上げた。現在は解説者として活躍している}

 

J:小石さんと、オリンピックと言えば!

 

小石:ああー、小石の10ミリですね(笑)

 

J:そうです!大事な初戦で小石選手が相手のシュートをスライディングでギリギリ弾き、あと10ミリラインを越えていれば失点していたと言う名シーンですよ!

あのプレーで日本は流れに乗り試合に勝利したと言っても過言ではないですからねー。

 

小石:いえいえ、みんなの力があったからこそですよ。

 

J:はっはっはっ!そんな謙虚さも持ち合わせている小石さんですが、今回は解説者としてオリンピックを盛り上げていただこうかと思います!

 

小石:はい。任せてください!

 

J:では、役者も揃いましたので今度こそ参りましょ……の前にCMです!(笑)

 

 

CM

 

ドンチャ!ドンチャ!(BGM)

 

テロップ{この映像はコマーシャルです}

 

芸人A:どーもー、今回オリンピックサッカー部門アンバサダーに選ばれたお笑い芸人の○○でーす!

 

芸人B:相方の池田太です。

 

芸人A:いやそれはなでしこジャパンの監督や!

 

芸人B:失礼しました。

 

芸人A:ったく。じゃあ改めて視聴者の方々に言いますと、今日はスポンサーである、ブライトストン・ホールディングス株式会社様の新商品を紹介しようという大事なCMなのです。

だから今日はふざけたらあかんのや!

 

芸人B:はあ…

 

芸人A:気の抜けた返事やなー。まあええわ。そこに箱があるやろ。

 

芸人B:これですか?

 

芸人A:そう。その中に明日から発売する新商品が入っているので開けてみてください。

 

芸人B:ビリビリ(ガムテープを剝がす音)

 

芸人A:いやーしかしブライトストン・ホールディングスといえば、カサゴ君クッキー等、美味しい焼き菓子が有名ですからねー。今回はどんな新商品なのか楽しみです!

 

芸人B:お待たせしました。

 

芸人A:おっ!早速見してください。

 

芸人B:ええーと、これは………演芸DVD?

 

芸人A:って!それは俺たちが参加しているお笑いDVDやないか!なんちゅうもん紹介してんねん!

 

芸人B:え、違うんですか?

 

芸人A:当たり前やろ!先日の7月21日から発売し(ネット販売も可)、我々以外にも何組か芸人が出演し、笑いあり、涙あり、笑いあり、笑いあり、しかもブロマイドまで付いて販売価格2,750円(税込)のDVDなんて紹介するな!

 

芸人B:いや、ほとんど紹介してますけど……

 

芸人A:え?そうか?あっ!やばいもう時間がない!そろそろ締めるで!

 

芸人B:えー!?

 

芸人A:いくで!

 

芸人A&B:ブライトストン・ホールディングス株式会社及び、我々〇〇は、サッカー日本代表を応援しております!

 

ドンチャ!ドンチャ!(BGM)

 

芸人B:絶対次呼ばれないだろ……

 

CM終わり

 

 

とあるアパートの一室

 

まぬけ面の男:おい、この芸人知ってるか?(テレビCMを見ながら)

 

理知的な男:ああー。名前はえーと…忘れたけど、最近よく見る顔だね。

 

まぬけ面の男:ふーん。見つけたら買ってみるか。そういえば私が大切にしていたユニフォームが見当たらないのだが、知らないか?

 

理知的な男:さー、知らないな。この前釣りに行ったときに海に落としたんじゃない?

 

まぬけ面の男:そんなわけあるか!

 

 

CM明け

 

J:では皆様、お待たせしました。早速始めてまいりましょう!

小石さん、今回のなでしこジャパンはいかがですか?

 

小石:いやー、素晴らしいメンバーがそろっていますね!去年の女子ワールドカップの時も思ったのですが、ヨーロッパのチームに所属している選手が昔に比べてとても増えましたね。

 

J:いや、本当にその通りです。男子と同じく女子もヨーロッパ組だらけになりつつありますね。

 

小石:すごい時代になりました。ただですねJさん。私が注目している選手はヨーロッパではなく、日本のチームに所属している選手なんですよ。

 

J:ほう!ではですね。その選手を聞く前に、視聴者の皆様にも分かりやすいよう、選手の所属チームをボードにまとめてきましたので、そちらを見ながら進めていきましょう!

 

ボード

 

背番号 氏名 所属チーム

 

〈GK ゴールキーパー〉

 

1 山下杏也加(無所属/来シーズン海外移籍への準備のため)

18 平尾知佳(アルビレックス新潟レディース)

 

〈DF ディフェンダー〉

 

2 清水梨紗(マンチェスター・シティ/イングランド)

3 南萌華(ASローマ/イタリア)

4 熊谷紗希(ASローマ/イタリア)

5 高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース)

6 古賀塔子(フェイエノールト/オランダ)

13 北川ひかる(INAC神戸レオネッサ)

 

〈MF ミッドフィルダー〉

 

7 宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)

8 清家貴子(三菱重工浦和レッズレディース)

10 長野風花(リバプールFC/イングランド)

12 谷川萌々子(FCローゼンゴード/スウェーデン)

14 長谷川唯(マンチェスター・シティ/イングランド)

15 藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)

16 林穂之香(エヴァートンFC/イングランド)

 

〈FW フォワード〉

 

9 植木理子(ウエストハム・ユナイテッド/イングランド)

11 田中美南(ユタ・ロイヤルズ/アメリカ)

17 浜野まいか(チェルシー/イングランド)

 

※〈バックアップメンバー〉

 

19 千葉玲海菜(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)

20 守屋都弥(INAC神戸レオネッサ)

21 石川璃音(三菱重工浦和レッズレディース)

22 大場朱羽(ミシシッピ大学/アメリカ)

 

※本来であればバックアップメンバーは怪我や病気で辞退した選手の代わりに出場できるというものだったが、ルール変更により代表18人にバックアップメンバーの4人を加えた22人の中から各試合ごとに18人を自由に選び申請できるようになった。最終申請は試合の6時間前まで。

 

J:出ましたね。小石さんはこの中のどの選手に注目しているのですか?

 

小石:私が注目している選手はですね、ずばり

北川ひかる選手です!

 

J:なるほど!ちなみにどういった部分に注目していますか?

 

小石:恐らく北川選手は左側サイドの守備的なポジションを任されると思います。ただ私が思うに、守備能力はもちろんですが、彼女の特筆すべき点は左足から放たれる高精度のクロスパスです。

 

J:と、言うと?

 

小石:つまり左のサイドから相手のゴール前にいる味方に出すパスが多くのチャンスを作るのではないかと思っています。しかもパスの種類も豊富で、ふわりとした相手ディフェンダーの頭を越すパスや、逆にするどい低弾道のパスも自由自在に出せます。

 

J:確かに直近の試合でも何度かそういったパスを出してましたね。

 

小石:はい。これは、なでしこジャパンにとって大きな武器になるはずです。

 

J:本番でも期待したいですね!

 

小石:はい!ヨーロッパ組だけでなく、WEリーグ(日本の女子プロリーグ)から選ばれた選手も、素晴らしいプレイヤーがたくさんいますので注目していきたいです!

 

J:それでは、次になでしこジャパンの試合日程を見てみましょう!

 

ボード

 

グループリーグ日程

 

7/26(金) vs スペイン女子代表 NHK総合にて0:00~

 

7/29(月) vs ブラジル女子代表 フジテレビ系列にて0:00~

 

8/1(木)  vs ナイジェリア女子代表 NHK Eテレにて0:00~

 

(7/26(金)の0:00。つまり7/25(木)の24:00開始)

 

J:いや、強敵ばかりですね。

 

小石:はい。ただFIFA世界ランキングでは、日本はブラジルとナイジェリアより上に位置していますし、またスペインには去年のワールドカップで4—0で勝っています。もちろん油断は出来ませんが、グループリーグ突破の可能性は少なくないと思います!

 

J:そうですね!ちなみに、より勝利を近づけるために何か経験者としてアドバイスはありますか?

 

小石:そうですね。やはりこういった世界大会は日程が過密です。なので選手のコンディション次第では思い切って普段ベンチスタートの選手を先発させることも大切かもしれません。

 

J:メンバーも22人から自由に選べるようになりましたしね。

 

小石:そうです。また、会場の雰囲気やプレッシャーが普段の試合とは全然違いますので、そこも気をつけたいですね!

 

J:ありがとうございます。世界で躍動するなでしこジャパンの姿を早く見たいですね!

それではそろそろお別れの時間が近づいてまいりましたので、締めにいきたいと思いますが、その前に最近のサッカートピックスのコーナーをどうぞ!

 

最近のサッカートピックス

 

トピックス1 伊藤洋輝選手がドイツの超名門チームへ移籍!

 

J:サッカー日本代表、伊藤洋輝選手がドイツの「FCバイエルン・ミュンヘン」への移籍が決定しました。

バイエルン・ミュンヘンは国内リーグ優勝数30回以上、国内カップ戦優勝数20回、さらにヨーロッパのクラブチーム№1を決めるUEFAチャンピオンズカップおよびUEFAチャンピオンズリーグを合計6回優勝しており、年間収入やサポーター数も世界トップレベルのメガクラブでございます。

しかし、そんなバイエルン・ミュンヘンが国内リーグ2023-2024シーズンにおいて、まさかの3位という成績で終わりました。そんなクラブを立て直すため来シーズンに向けた選手補強が現在行われています。そしてまず最初の補強として白羽の矢が立ったのが、伊藤洋輝選手でした。とある専門誌によると推定3000万ユーロ(50億円)を前所属のシュツットガルトに支払ったと伝えられています。その事からも相当期待されていると考えてよさそうです。来シーズンの伊藤洋輝選手の動向も目が離せません!

 

トピック2 あの日本代表選手がyoutubeチャンネルを開設!?

 

J:サッカー日本代表の鎌田大地選手が自身のyoutubeチャンネルを開設しました。内容はいわゆるYouTuberの企画のようなことではなく、移籍の裏話や、過去に在籍していたチームのこと等、ファンにとって貴重な話が聞けるコンテンツでございます。来シーズンはイングランドのクリスタル・パレスFCに移籍する鎌田選手ですが、ピッチでもインターネットでも期待したいですね!

 

最近のサッカートピックス 終わり

 

J:いやー小石さん、いかがでしたか?

 

小石:あっという間でしたね!次は是非一時間スペシャルでお願いします!

 

J:是非、やりましょう!(笑)

では最後に視聴者の方々になでしこジャパンの魅力をお伝えください!

 

小石:そうですね。古賀塔子選手や谷川萌々子選手など若い世代から、熊谷紗希選手のような長くなでしこジャパンを支えている選手まで、皆が勇気をもってプレーでき、また技術力やチームワークは出場国の中でもトップクラスだと思います。是非視聴者の方々も見ていただいて、応援よろしくおねがいします!

 

J:それでは皆様、今回も見ていただきありがとうございます。いつになるか分かりませんが、またお会いしましょう!

最後はもちろんこの言葉で終わりたいと思います。

 

J&小石:頑張れ、日本!!

 

番組終了。

 

 

 

おまけ1

 

今回もご覧いただきありがとうございます。もしかしたらこのブログが掲載されているころには、一回戦が終わっているかもしれませんが、もし機会があれば是非サッカー代表を見てみてくださいませ。もちろん今回はオリンピックでございますので、その他にも見ごたえのある競技がたくさんございます。是非そちらもお楽しみくださいませ!

 

おまけ2

 

今年も後半戦に入りましたが、何とかギフトショップブログをひと月に一回更新ができており、安堵しております。残りの月も油断せず執筆いたす所存でございます!

 

おまけ3

 

ちなみに私が中でも応援している選手は、長谷川唯選手と古賀塔子選手、そして守屋都弥選手です。

 

終わり。

変身6

 

 

「はぁはぁ……どうしよう皆やられちゃった」

ハチワレ猫のトンカツは窮地に追い込まれていた。ミケ捜索が難航しており、取り敢えず広場に戻ったところ、偵察に来ていた丑組の先鋒部隊と鉢合わせしてしまったのだ。

 

「まさか集会広場まで丑組のやつらが攻めてきてたなんて…」

「逃げなきゃ……で、でもこのままじゃ先輩たちが死んじゃう。やっぱり戦うしか…」

 

「お、おい…逃げろトンカツ」

傍らに倒れていた先輩猫が、弱々しい声で言った。

 

「先輩!大丈夫ですか。い、今助けますから」

 

「行け!」

 

「え!?」

 

「俺はもう動けん。お前一人なら逃げ切れるかもしれない。そして親分にこのことを伝えるんだ」

 

「いや、でも、僕があいつらを倒せば…」

 

「お前じゃ無理だ。寅組の中心地にたった三匹で攻め込んでくるような奴らだぞ。俺たち捜索班じゃ十匹いても倒せるかどうか……やはり戦わずに逃げておけば」

 

「おい!何をごちゃごちゃしゃべっているんだ!」

「安心しろ、そこのチビも逃がしはせん!」

そう言うと一匹が、じりじりとトンカツたちに近づいてきた。

 

「早くいけ!」

 

「う、うん」

 

「逃がさねえって言っただろうが!!」

その瞬間、その猫がトンカツ目掛けて飛びかかってきた。

 

「くそ」

先輩猫は最後の力を振り絞り、敵猫の前に立ちふさがった。

 

「この死にぞこないが!!」

〝ズシャッ!〟

強烈な右前足が先輩猫を切り裂いた。

 

「ぐわっーーー!!」

 

「せんぱい!!」

「う、うぐっ…だめだ走らなきゃ!」

 

「おいおい、どこに走るって?」

 

「えっ!?」

いつのまにか敵猫の一匹がトンカツの背後に回り、行く手を阻んでいた。

 

「そいつも黙って倒れていればいいものを。馬鹿な奴だ」

 

「先輩を馬鹿にするな!」

 

「くっくっくっ。その威勢がどこまでもつかな」

三匹は前後からゆっくりとトンカツに歩み寄ってきた。

 

「くぅぅ…」

 

「よし!やっちまえ!!」

 

(やられる……)

と、その瞬間!聞き覚えのない声が辺りに響いた!

 

 

 

「まてぇぇぇい!!!!」

 

 

 

(えっ?)

 

「誰だ!?」

その場にいた全員が声の方へ振り返った。すると見たことのないのろまそうな猫がこっちへ向かって走ってきていた。

 

「何だてめぇは!寅組のもんか!」

丑組の一人がそう言うと、そのまぬけそうな猫は息を切らしながらこう答えた。

 

「はぁはぁ…違うぞ。私はその子を救うヒーローだ!」

 

「何言ってんだてめぇ!」

「おいチビ。お前の仲間じゃねえのか!?」

 

「ち、ちがいます」

トンカツも全く知らない猫だった。

 

「ふん、まあいい。そこのアホ面もまとめてやっちまえばいいだけだ」

「おいっ!」

そう言うと丑組の一匹が、自称ヒーローと名乗る茶トラ猫に飛びかかった。

 

「覚悟せい!!」

 

「まっ、まて!走ってきたばかりで疲れてるんだ!」

 

〝シャッ!シャッ!〟

するどい爪が茶トラ猫に襲いかかった。

 

「うわっ!おい!一旦落ち着け!」

茶トラ猫はギリギリのところで避けていたが、徐々に追い詰められていった。

 

「おいおい、あれじゃあ時間の問題だな。お前も残念だったな最後に助けに来たヒーローがあんなへっぽこで」

 

「うぅ……。あっ!」

 

〝ズルッ〟

頑張って避けていた茶トラ猫は疲労が溜まっていたのか砂に足を取られ、スッ転んでしまった。

 

「終わりだーー!!」

鋭い爪が今度こそ茶トラ猫を引き裂こうとした。が、

 

「まだだぁ!!」

何と茶トラ猫が地面の砂を掴み、相手の目を目掛けて投げつけたのだ!

 

「ぎゃー!目がーー!!」

 

「よしっ。そして頭突きじゃあ!!!」

 

〝ドスン!〟

 

「ぐわーーー!」

 

「何だと!!」

見ていた丑組の二匹はその光景に驚愕した。そしてそれはトンカツも同じだった。

何せ砂を投げつける猫など聞いたこともないからだ。

 

(ま、まさか彼が……ミケさん?いやでも…)

 

「お、おい。まさかあいつがジャックさんと同じ〝目覚めし猫〟のミケなのか…?」

「いやしかし聞いていた模様と違いますぜ」

「じゃあ何か!?他にも〝目覚めし猫〟がいたっていうのか?くっ、こんなの予定外だ!」

「ここは一旦引きやすか?」

「………いやまて。そういえば聞いたことがある。目覚めし猫は日を追うごとに強くなると」

「えっ?」

「つまり熟練度があるんじゃないかってことだ。あいつは確かに得体が知れない。しかし途中まで追い詰められていたのも確かだ。あれがジャックさんだったらああはならない。一発で返り討ちにする」

「た、確かに」

「奴はまだ力を扱いきれていない可能性がある。だからやるなら今がチャンスってことだ」

「なるほど!」

「いいか、奴が投げる〝砂だけに〟気をつけろ。目に入らなきゃどうってことはない」

「わかりやした!」

 

彼らの発想が〝そこ〟に至らないのはしょうがないのかもしれない。

 

「おい貴様。俺たちはそいつのようにはいかないぜ!」

 

「ほう、私の華麗な戦いを見て怖気づかないとは。勇気があるのか、それとも愚かなだけかな?」

(ふー、危なかったー。しかしあいつら、砂を投げただけで相当驚いていたな。よし次は〝あれ〟でいこう)

 

何せ、初めて目覚めし猫と相対するのだ。

 

「粋がりやがって!よし、やっちまえ!!」

 

「へっへっへっ。来い!」

(これが手ごろでいいな)

 

そして彼らは普通の猫だ。

 

「おりゃーーー!!!……って何だそれは!?」

 

そう、石ころを投げてくるなんて発想に至らないのはしょうがないのだ!

 

「これは、石ころだー!!せいっ!」

 

〝ヒュン!ヒュン!〟

〝ゴン!ゴン!〟

 

「ぐわーーーー!」

「うわーーーー!」

 

「よし!うまくいった」

 

(す、すごい!!)

 

そうしてやってきた茶トラ猫は、丑組の三匹をあっという間に倒してしまった。

 

(ミケさんがいない今、彼が仲間になってくれれば……)

 

「おい!」

 

「わっ!」

いつのまにかその茶トラ猫がトンカツの目の前にいた。

 

「怪我はないか?」

 

「は、はい」

 

「それは良かった!」

 

「あ、あの~あなたは一体……」

 

「ふっふっふ」

不意に茶トラ猫は笑い出し、そして高らかに名乗りを上げた。

 

 

「私の名前は明石太郎だ!君たち寅組を助けに来た!」

 

終わり。

出来事

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。明石でございます。

前回の「変身」の続きは、次回かその次かその次くらいに……ということで、今回は「最近のトピックス」についてでございます。いくつかに分けて書いておりますが、大半が私の身の回りの出来事でございますので、とんでもなく暇で、何もやることがないときに是非読んでくださいませ。

では!

 

 

[アイシング]

 

雪だるま・タツノオトシゴ・蝶々。お嬢様はこれらの共通点が何だかお分かりでしょうか?

そう、最近ギフトショップでお出ししていたアイシングクッキーでございます。どれも華やかで見た目も素晴らしいお菓子たちでございます。

そして私が何を言いたいのかと存じますと、このブームの火付け役、間違いなく白イルカのクッキーではないでしょうか?

少なくとも私がギフトショップに立ち始めてから白イルカのクッキーをお出しするまで、アイシングクッキーをお出ししているのを見たことがございません。

恐れながら大旦那様に少なくない影響を与えているのではないかと自負しております。「白イルカのクッキー」は私がお屋敷に残した最も大きな功績かもしれません。

来月も、なにやら美味しそうなアイシングクッキーがあるらしいので、そちらも楽しみでございます。

 

 

 

[釣り]

 

このギフトショップブログを読んでいらっしゃるということは、恐らく執事日誌も毎日見てらっしゃることでしょう。なので、なんとなくご存じのお嬢様も多いかと存じますが、最近また珍しい方々と釣りに行ってまいりました。

 

前半は練習、後半は勝負(釣れた数)をしたのですが、私が優勝したのも相まって(決っっっっして自慢ではございません!!!)やはり楽しい一日でございました。

そして共に釣りをした方々も素晴らしいメンバーでございました。

 

自身の釣り竿を何本も携え、前回から大幅にレベルアップしていた方。

練習・勝負共に良い釣果で、なぜか最後はタコにこだわっていた方。

難しい仕掛けでずっと粘り、最終的にしっかり結果を出していた方。

練習では大漁だったのに…という方。(あの釣果を勝負でも維持されていたら私は負けていたことでしょう)

そして今回も我々を温かく見守り、この機会を作ってくださった方。

 

また機会があれば行きとうございます。

次回こそは「お出かけ執事 ~釣り編~」を!

 

 

 

 

[サッカー]

 

今年もサッカーのヨーロッパシーズンが終わり、様々な日本人選手が活躍いたしましたが、お嬢様にとって最もセンセーショナルな出来事は何でしたでしょうか?

 

南野拓実(みなみの たくみ)選手がフランスの「レキップ紙」でフランスリーグ年間ベストイレブンに選出されたこと。久保建英(くぼ たけふさ)選手が今シーズン何度もマンオブザマッチ(その試合で最も活躍した選手に贈られる賞)を獲得したこと。今シーズンまさかの名門リヴァプールに移籍し、レギュラーとして活躍した遠藤航(えんどう わたる)選手。その他にも前半戦怒涛の活躍をした三笘薫(みとま かおる)選手等、色々あって選ぶのが難しいかもしれません。

 

ちなみに私は、もちろん先日のラツィオ対インテルでの鎌田大地(かまだ だいち)選手の得点シーンでございます。〈次点で私が好きな伊藤洋輝(いとう ひろき)選手が所属しているシュツットガルトがドイツのブンデスリーガで2位になったことでございます〉

ご存じのお嬢様も多いかと存じますが、この一年、鎌田選手は苦労しておりました。今シーズンからイタリアのラツィオに移籍し、始めこそ順調だったのですが、中々環境に馴染めず(私の主観です)徐々に序列を落としていき出場時間も減っていきました。

そんなある日鎌田選手に転機が訪れます。それは当時監督を務めていたサッリ氏の電撃辞任、そしてその後釜として就任したトゥドール氏が鎌田選手を高く評価していたことです。実は過去にトゥドール氏が率いてたチームと鎌田選手が所属していたフランクフルトが試合をしており、鎌田選手はその試合で得点をし活躍しておりました。そんな理由もあってか、トゥドール氏は就任当初から鎌田選手を先発起用し、そして鎌田選手もそれに答えるように生き生きとプレーをし試合ごとに周囲の評価を上げていきました。

ただ鎌田選手はトゥドール監督就任以降、アシストをしたりと活躍はしていたのですが、唯一得点だけが無かったのです。

ファンは期待しておりました。いつか来るその日を。

そしてついにその瞬間がやってきたのです!

第37節アウェイでのインテル戦。インテルは今期の優勝を既に決めており、トゥドール体制になって以降の対戦相手では文句なく最強のチームでございます。が、この日ラツィオは良い意味で我々を裏切ってくれたのです。

なんと前半32分、鎌田選手が左足で見事な先制点を決めたのです。

私は両手を上げて喜びました。まさかこの大一番で決めるとは!

最終的にインテルが1点返し、惜しくも引き分けで終わってしまったのですが、ゴールシーン以外にも鎌田選手はチャンスを何度も作り、イタリアの新聞紙も軒並み高評価をつけました。

このゴールは今シーズンのヨーロッパサッカーで一番興奮した瞬間でございます。

そしてここ最近の活躍によってまた鎌田選手は日本代表にも復帰いたしました。もしかするとお嬢様も目にすることが増えるかもしれません。

 

私はこれからも鎌田大地選手を応援してまいりたいと思います!

 

(ちなみに以下はトゥドール監督が鎌田選手を評した言葉)

・彼の頭の中にはコンピューターがある

・複数の役割をこなせるプロフェッショナルだ

・ダイチが10人いてくれたら素晴らしい      等々…。

 

 

 

お嬢様、ここまでご覧いただきありがとうございます。

 

如何でしたでしょうか?

 

他にも髪型のことやギフトショップブログの「お正月」のおまけ2で書いた映画や小説のことなどまだまだございましたが、あまり長くしすぎてもということで、ここらで終わらせていただきました。

 

もし機会があれば、その辺りも書かせていただきたいと存じます。

 

それではまたお会いできる日々を楽しみにお待ちしております!

 

 

終わり。

変身5

(もし、それまでに貴君が死んでしまったら元には戻れず、猫の姿のままあの世行きだ……)

目が覚めると明石太郎はアパートとそれを囲むブロック塀の間に倒れていた。

「ん、ん~……。どうやら気絶していたようだな」
明石太郎はゆっくりと体を起こし、先ほどの出来事を思い返した。
「それにしてもあの夢。まさか私の人生でこんな不可思議なことが起こるとは」

「あの死神と名乗る毛玉は24時間経てば元の姿に戻せると言った。しかし、それまでに死んでしまうと……」

「だが、それはそれだ!」

明石太郎は猫になったらやってみたいことがあった。

~屋根の上でせかせか働く人間たちを見下ろしながら、日がな一日のんびりする~

「これは絶対に叶えたい!」
そして明石太郎には、屋根の上として相応しい場所に心当たりがあった。

「目指す先はアパートの屋上だ!」

屋上に辿り着くためには、アパートの内廊下から階段を使い上る方法と、アパートの側面にある非常階段を使う方法の二通りある。普通なら前者を選ぶのだが猫の姿となると話が変わる。内廊下は安全だが人間に見つかる可能性があり、また階段を上った先の扉には鍵がかかっており、大家さんの手助けが必須である。それはどう考えても不可能だ。
その点非常階段は地上に扉があるとはいえ、それは格子状で猫の姿の明石太郎であれば容易にすり抜けられる。さらに階段を上り切れば多少危険だが壁を伝って屋上に上がることができる。

「よし」
明石太郎は落ちてしまう危険などは一切考えず、屋上に行くことにした。

非常階段を上りきると少し開けた場所に来た。
そこは屋根が無い3メートル四方ほどの空間で、建物の壁側にはアパート内に続く扉があり、それ以外の三方向は大人の肩の高さくらいの柵で囲んでいるだけだった。

「え~と……むっ!あれだな」
アパート内に続く扉の上の方を見ると、屋上に続く梯子が壁にくっついていた。下まで梯子が伸びていないのは、万が一にも子供が上らないようにするためであろう。

「やはり柵に上がらないと梯子には届かんな」
柵の外側はもちろん何もない。地面に落下するのみだ。

「行くか」
その時、またふと先ほどの死神のセリフを思い出したが、やはり屋上への魅力の方が上回った。

明石太郎は真剣な眼差しで柵の上部に目をやった。
そして「はっ!」と、今までにないくらい軽やかにジャンプした。

「いいぞ、高さはぴったり。あとは着地するだ……。なにっ!?」
が、思ったよりも柵の幅が狭く、着地と同時に少し外側によろめいてしまった。
「うぐっ…………!!落ち着け!」
明石太郎は焦らず慎重に体を逆側に傾けた。

そしてゆらゆらと不安定ながらも、なんとか着地に成功した。
「よ、よし第一段階突破だ!」
ただ、気を抜くとバランスを崩してあっという間に地上へ落ちてしまいそうだった。
「すぅ~、は~」
明石太郎は、ゆっくりと呼吸を整えた。
すると少しずつ、体の揺れもおさまっていった。

「よし、あとは梯子を掴むだけだ」
明石太郎の集中力は徐々に上がっていった。そして、

「今だ!」

そのジャンプはさらに軽やかで、前足と後ろ足には無駄な力みが無く、一切すべることなくジャンプに成功した。あとは届くかどうかだけだった。

「まずい、距離が!いや、まだだっ!」
明石太郎は右の前足だけをグイっと梯子の方に伸ばした。

ガシっ!

空中を舞った茶トラ猫は、どうにか梯子に右前足を掛けることに成功した。

「はぁ、はぁ、やった……」

そして前足の関節を引っ掛けながらゆっくりと梯子を上った。

「着いたー!!!」

屋上は穏やかな天候の影響もあってか、思っていた以上に極上のポカポカスポットだった。

明石太郎は仰向けに寝転がった。
「最高だ。私が求めていたものがここにある」
空は青く、ほどよく雲がかかり、たまに吹く爽やかな風がとても心地よかった。

「思えば艱難辛苦の道のりだった」
明石太郎は朝からの出来事を思い出し、感傷に浸った。

「多くの困難を乗り越えたんだ、あとは何もかも忘れて、この有意義な時間をたっぷり楽しんでも文句は言われまい。まずはお昼寝でもするか!」

そうして明石太郎はゆっくりと目をつむろうとした。が、その瞬間後方から何者かの声が聞こえた。

「ほー、ここにお客さんとは珍しい」

(む!誰だ。まさか人間!?)
明石太郎はパッと瞼を開き、振り向いた。
すると一匹の三毛猫が座っていた。

(そうだった、私は今、猫の言葉も理解できるのだった。ん、しかしまて。それはいいとしても何だあの猫は?)

よくよく見てみると、その猫は人間のようにあぐらをかき、右の前足で串に刺さった焼き魚を器用に持ち、齧りついていた。

そしてその三毛猫はゴクンと魚を飲み込むとまた何か話し始めた。

「ふむ、しかしおかしいのう。ここに猫は来れないはずなのだが」

「な、なんだお前は!?」

「ん?わしか?わしは猫だ」

「そんなことは分かっているわい!何者かと聞いているのだ!」

「う~む」
その三毛猫は少し考えてまた口を開いた。

「まあ、他の猫よりも少しばかり気ままに暮らしている猫ってとこかのう。あとは周りからはミケと呼ばれているくらいか…」

(なにも分からん。名前もそのままではないか)
明石太郎がその答えに呆れていると、今度はそのミケという猫が質問をしてきた。

「おぬしはこの辺りでは見かけない顔だが、名は何と言う?」

明石太郎は、猫がフルネームで答えるのは変かなと思いつつも、「明石太郎だ」と答えた。

「明石太郎?苗字があるのか?ということはおぬしは飼い猫か?」

「いや、そういうわけではないが……(やはり変だったか)」

「まあよい。して、太郎よ。おぬしはそちら側の壁を伝って上ってきたと見えるが、梯子を使ったのか?」

「え、あ、いや…」
明石太郎は猫らしからぬ方法でこの屋上に来たことを、目の前の三毛猫に話してよいものなのか迷った。

明石太郎がもごもごしていると、その三毛猫が突然持っていた焼き魚を半分に千切り、ふいに明石太郎めがけて放ってきた。

「うわ!」ぺしっ
明石太郎は突然の出来事で、反射的に前足で魚をはじいた。
「な、何をする!」

するとその三毛猫は「なるほど」と、何かに納得しニヤリと笑った。

「お、おい聞いているのか!」

「いや、すまなかった。それは餞別だ。恐らく、ここに辿り着くのは容易ではなかったであろう。それはわしお気に入りの焼き魚だ。それを食べて少し休むといい」

明石太郎はその三毛猫の行動の意味がまるで分からなかったが、傍らに落ちた焼き魚の匂いはとても魅力的だったので、とりあえず頂くことにした。

明石太郎は焼き魚を食べ終えたあと、最もリラックスできる横座りで休みながら、ミケに質問をしていた。

「つまりこの辺りは二つの組織によって支配されているのだ。一つが虎ノ進親分率いる寅組。善悪で言うと、まあ善だな。そしてもう一つが牛鬼親分率いる丑組。こちらは根っからの悪だのう。」

「はえ~」
ミケは自分自身への質問は曖昧な答えしか返さなかったが、それ以外の質問は何でも答えてくれた。

「じゃ、じゃあ。ミケはどちらに所属しているのだ?」

「わしは、まあ一応……」と、言いかけたとき、ふいにミケが何かに気づいたように立ち上がり、屋上の縁までてくてく歩き始め下を覗き込んだ。

「どうしたミケ?」

「見てみい、太郎よ。噂をすれば何とやらだ」

明石太郎もミケの隣まで歩いていき下を覗いてみた。
そこは丁度アパートの正面側で、前に開けた広場がある場所だ。
そしてその広場の真ん中で数匹の猫たちが何かをしているようだった。

「あっ!」
さらに目を凝らしてみてみると、左右に三匹ずつ猫が分かれていた。が、そのうちの左側の二匹はぐったり倒れており、もう一匹もぷるぷる震えているようだった。

「ありゃ、寅組と丑組の下っ端たちの小競り合いだな。見たところ丑組が優勢か」

「助けよう!」
明石太郎はミケにそう呼びかけた。しかし、ミケは広場を見たまま返事をせずに、何か考えている様子だった。

「おい!早くしないとあの猫もやられちゃうよ!」

「いや、わしはやめておく」

「えっ?なんでさ」

「猫の争いに干渉するのは気乗りせん。それにそもそも争いごとは好かんのだ」

「いや、あんたも猫だろうが!もういい私一人で行く!」

「そうか、頑張ってくれい」

「この猫でなしが」

「まあまあそう言うな。わしにも事情があるのだ。それにここまで上ってこれたのなら、あの連中くらいおぬし一人でなんとかなるだろ」

「ふん。じゃあ行ってくる」

「無理するなよ」

かくして明石太郎は見知らぬ猫の窮地を救うべく、アパートを駆け降りるのだった。

「さすが猫の体だ。降りるときは楽ちんだ」

「待ってろよ、今ヒーローが助けに行くからな!」

終わり。

釣り3

 

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。

明石でございます。

 

先日久方ぶりの釣りに行ってまいりました。

此度の釣りは言うなれば作戦の勝利でございました。

 

この日は空一面に青空が広がり、気温も安定した最高の釣り日和でございましたが、少々風が強くフカセ釣りをメインとしている我々(私と友人)にとっては難しい日でございました。ですが、よくよく天気予報を見てみると、夕方に近づくにつれ徐々に風速が弱まっていく予報でございました。

そこで我々は普段よりも遅めに出発することにいたしました。

 

当日。

我々はいつもより数時間遅い午前10時くらいに到着いたしました。

まず我々は今までで最も釣果を上げてきたポイント(以下・第一ポイント)で釣りを始めることにいたしました。しかし、前日の雨の影響もあってか波が荒れており、魚影も全く見えませんでした。

結局1〜2時間経っても魚がかかることは一回もありませんでした。

 

そこで我々はお昼休憩を挟みつつもう少し波の穏やかなポイント(以下・第二ポイント)に移動することにいたしました。結果的にこれが大正解でございました。

 

そこは第一ポイントから6㎞ほど離れた釣り場で、波は弱く休日になるとファミリーの姿もちらほら見える穏やかなポイントでございます。

釣果も第一ポイントに比べると穏やかなのですが、この日は違ったのです。

 

第一投から餌を取られ、さらに撒き餌に誘われた魚でみるみる魚影が濃くなってまいりました。

そしてついにその瞬間がやってきたのです。

 

クッと餌に魚が食いつき私はしっかりと合わせ、この日の第一号を釣り上げたのです。

釣り上げた魚は私のブログではお馴染みのメジナでございました。

そしてそれを機に、20㎝ほどの小さいサイズのメジナを中心にお魚をバシバシ釣り上げたのです。

 

それから数時間が経ち、15時頃。

我々は釣り上げたお魚の中で、そこそこのサイズだけを厳選し持ち帰る準備をしておりました。

その時ふと私の脳内にある事が思い浮かびました。

 

「この時間なら風や波も弱まり第一ポイントで釣果が期待できるのでは?」

 

この思いは隣の友人にもあったらしく、我々の意見はすぐさま合致いたしました。

 

「ならば夕マズメを狙って、もう一度チャレンジしよう!」

 

片付けや移動などで、第一ポイントに到着したころには、空はうっすらオレンジ色を帯びており、夕方の様相を呈しておりました。

これは釣りをする時間としては丁度良いタイミングでございます。

 

さらに我々の予想通り、朝来たときよりも波と風が弱まっておりました。

すぐさま我々は竿をセッティングし、期待と少しの不安が入り混じる中、撒き餌と共に第一投を海へ放ったのです。

 

ポチャンという音と共に撒き餌が海に落ち、ゆっくりと沈みながら海中に広がっていきました。

そして我々はプカプカと浮かぶウキを、固唾を呑んで注視しておりました。

 

魚影は今のところ見えず、十数秒経っても動きがありません。

「やはり今日はダメなのか」と、思っていた刹那、ヒュンとすごい勢いでウキが沈んだのです。

私は不意を突かれながらも、グッと合わせ魚をかけることに成功いたしました。が、喜んだのも束の間、海中の魚がこれまたすごい勢いで根に潜ろうとしてきたのです。(根に潜る=岩などの隙間に潜って出てこなくなること)

根に潜られるとビクともしなくなったり、岩に擦れた釣り糸が切れてしまうこともございます。

なので私は絶対に潜られるもんかと、リールを巻き続けました。(恐らく今年一番力を使ったかと存じます)

すると徐々に海中からその姿を現してまいりました。

「ん?メジナか?」

さらに引き続けると、あることに気づきました。

「で、でかい…」

すぐさま私は友人を呼び、タモ(魚を捕らえる網)の準備をしてもらいました。

 

「ゆっくり、ゆっくり……」「捕ったー!!」

 

友人のその声を聞いた瞬間、私はよしっ!と、安堵いたしました。

 

そしてタモの中のメジナを見てみると、この日釣ったメジナはもちろんのこと、今まで釣ったメジナと比べてみても、相当に大きなサイズでございました。

 

実際のメジナがこちらでございます。

 

 

写真では分かりづらいですが、測ってみるとなんと35㎝でございました。

私が釣ったメジナの中では一番大きいサイズでございます。

 

その後も辺りが暗くなるまで釣りを続け、二人とも中々の釣果でこの日を終えました。

 

初めこそ苦戦いたしましたが、久しぶりに調子の良い一日でございました。

 

 

 

追記1

私の友人の友達の父親が55㎝オーバーのお化けメジナを釣ったことがあるらしいので、私も次はそのサイズを目標に頑張りたいと存じます。

 

追記2

35㎝のメジナはお刺身にし、その他のメジナは焼き魚やバター焼きにして、数日に分けて頂きました。やはり自分自身で釣った魚は美味しゅうございます。

いつの日か、お嬢様に最高のお刺身をお届けするために、脂の乗ったメジナを釣ってまいりたいと存じます。

 

終わり。