カサゴのギョナサン

夕暮れだ。今日も騒がしい海に、夜の帳が下りようとしている。

 ここら一帯の沖合は、水面から大きく飛び出すほどの岩礁がいくつもあり、常に潮の流れが活発であった。プランクトンや甲殻類は豊富で、それらを食べる小魚にとっては絶好の海域であり、さらにそれを食べる大きな魚達はここを楽園と呼んだ。

 岩礁は住処としても優秀であった。魚達は知る由もないが複雑な潮流は漁船を決して近づけず、岩礁の岩陰や無数の珊瑚は絶好の隠れ家となっており、サメ等の天敵からも守られていた。

 つまりこの楽園に住む大きな魚達は、毎日安心して美味しい餌を食べ生きているのだ。ただ一匹を除いて。

 今日もカサゴのギョナサン・ブライトストンは眼下に広がる餌には目もくれず泳ぎの練習に夢中になっていた。
 普通、魚は食べるため、逃げるため、生きるために泳ぐものだが、ギョナサンにとって重要なのは泳ぐことそれ自体だった。彼は泳ぐのが好きだった。

 ギョナサンは特に速度を追及しており、「どうすればよりスピードが出るのか」という事ばかりを考えていた。普通に泳いでいてもカサゴの域を抜け出せない、ではどうすればよいか。

 まずギョナサンは、しっぽの振り方や背ビレの角度を変えながら、朝晩問わず何度も泳いだ。するとある日を境に、だんだんと速く泳げるコツを掴みだした。
 どうやらしっぽの動きは振る回数よりも、一定のリズムを崩さない事の方が大切らしい。そして背ビレは、速度によって角度を微妙に調節することが重要であるという事を彼は知った。

 次に、ギョナサンは海流を利用しようと考えた。これはとても難しく、気を抜くと流されてしまう。さらには、ただ泳いで乗るのではなく、先ほどの動きを取り入れなければならない。何度も失敗した。しかし彼は諦めなかった。

「要はバランスが大切なのだ。バランスが崩れると体が傾き、泳ぐどころではなくなる。つまり最も水の抵抗を受ける頭を正確に保てれば、バランスを失うこともないはずだ」そこからの上達は恐ろしく早かった。
 そしてついにギョナサンは海流での泳ぎをマスターし、カサゴ界の最速遊泳記録を大幅に更新した。

 しかし成功の裏には大きな犠牲もあった。ギョナサンの体はハードな練習によりボロボロになっていたのだ。鱗は所々剥がれ、ヒレも傷ができていた。また、ろくに餌を食べずに練習していたので体はやせ細り、そして群れの仲間達からは距離を置かれていた。

 ある日、群れの長から「ギョナサン、少しは他の仲間達を見習って、海底でじっと餌を待つことはできないのか」と怒られた。それからの数日間ギョナサンは素直に従い、海底で餌をじっと待ってみた。
 だが、やはりギョナサンには耐えられなかった。

「小魚や小さいカニを待って現れなければちょびっと移動して、また待つ。それの繰り返し。これに何の意味があるというのだ。時間の無駄だ!」ボケっと口を開けている仲間達を余所に、ギョナサンはまた泳ぎ始めた。

前編完

今回も長くなってしまい、勝手ながら途中で区切らせていただきます。申し訳ございません。
そして今回の内容に関しても、「ぱk、、、パロディかな」と察してくださったお嬢様、温かく見守っていただければ幸いでございます。

終わり。

拉麺。

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
本日は歴史の勉強を致しましょう。

お嬢様は「辮髪」をご存じでしょうか?
「べんぱつ」でございます。

言葉では聞きなじみがないかと存じますので、私が描いた絵でご覧になっていただければ
きっとお嬢様もどこかでご覧になった事のあるヘアースタイルかと存じます。

前期。
一般的にイメージされるのはこちらかもしれません。

後期
あまり見覚えがないかもしれませんが、的場はこちらの方が格好良いと感じております。

昔の中国人男性の頭髪で、現代では見ることができませんが、
日本で言うところの「ちょんまげ」に近い感覚のものだそうです。

馬に乗る時、戦う時に邪魔にならない様にこういう髪型にしたそうでございますよ。
「じゃあこんなに前や上をたくさん剃る意味があるのか!?」とも思いますが…。

日本の江戸時代ぐらいの時期に中国ではみんなこのヘアーだったそうです。
非常にナウい感じがして気分が良いですね。

今見ると「とても変な髪型だなあ」という感じも致しますが、
何故か一周回ってノスタルジィというか、古き良き時代の浪漫を感じたり
現代の俳優が辮髪にしていると凄く格好良く見えたり致します。

つまり何かと言えば、私は辮髪にとても魅かれた、という次第でございます。

ギフトショップではハロウィンの使用人がたくさん!
私のお勧めはフォトブックでございます。

それでは本日はこれにて。

肌色ハロウィン。

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
的場でございます。

先日大旦那様より呼び出しがございました。

「…どれがバレたのだ…っ!」

心中穏やかではおれず、震えながら大旦那様のおられる大広間へ向かいました。

しかし蓋を開けてみれば意外な事にお叱りではなく、メートルドゥヴァンドゥールとしての新たな使命を頂戴致しました。
私に下された新しい使命とは!

「今年のハロウィンは顔の色を肌色でやりなさい」
との事でございました。

…!!!!!!

「顔を塗らない的場(ハロウィン時のみ)なんて!」

私はショックを隠せませんでした。
肌色のハロウィン的場など、
歌を忘れた百合野!
ダジャレのない隈川!
ノンアルコールの時任の様なものでございます。

私が涙を流して塗りを懇願すると
「どうしてそんなに顔を塗りたいんだ!」
と仰られました。

!!!!!!!!!!!!!!!!!!

…し、至極当然の理由だ…!
理由など、「心が塗れと叫んでいるから」以外の理由がない…。
私はこうべを垂れ、泣く泣く大広間を後にしました。

床に着いた時に少し落ち着き考えました。
大旦那様は私にもっと後輩達の見本になる様に、との想いを託して下さったのでしょう。
今以上の使用人になるには必要な事だと教えて下さったのだと感じました。
自己中心的な考えを恥じ、深く反省を致しました。

お嬢様、そしてカラフル的場ファンの皆様。
今年から的場はドウラン(顔を塗るアイテム)に頼るのをやめに致します。
普通の男の子に戻ります。
少しだけ淋しい気持ちはございますが、ゆるりとハロウィンを楽しむことに致しましょう。

それでは本日はこれにて。

…フフフ。

秋の一日

秋分の日

日本国民の祝日の一つであり、祝日法により天文観測による秋分が起こる秋分日が選定され休日とされる。通例、9月22日から9月23日ごろのいずれか1日。

しばしば昼が短くなって「昼と夜の長さが等しくなる日」といわれるが、実際は昼の方が少し長い。

執事ペディア

「ふむふむなるほど、、、つまりまだお昼の時間が長いのか」
 秋分の日を調べ終えると、明石太郎(あかしたろう)はふかふかの布団に寝ころんだ。
「お昼の時間が長いということは、日が昇り暑い時間帯もまだまだ長いということ、、、」
「最悪ではないか!!!」
「ん?デジャブか!?前にもこんな事があったような、、、」時間は午前一時を回ったところ。

「とは言えこれからは、気温が下がっていくだろう。つまり寒い日に着る服を買わなければならない」
 明石太郎はふと茶棚に目をやった。ガマちゃんは今日もぺちゃんこだった。

「ふっふっふ。想定済みよ!」明石太郎は落ち着いていた。
「こんな事もあろうかと、夏の間にへそくりを貯めておいたのさ!」
「甘いよガマツグ、私を残念がらせようとしたって」

「アリとキリギリスって知ってるかい?遊んで暮らしているだけじゃダメなのさ!今どきの男は冬に向けて準備しているのが格好いいんだ」明石太郎は押入れの奥底からへそくりを取り出した。
「へへへ、8千円もある。これだけあれば洋服以外も買えちゃうぞ!早速明日お勤めが終わったら、買い物に行こうかな」明石太郎は遠足前の小学生の気分を久しぶりに味わっていた。

「なんだかテンションが上がってきたぞ。そうだ、先日染瀬に頂いたお酒を飲もう!」
部屋の隅に置いてあった一升瓶を手元に引き寄せ、小さなガラスのコップに注いだ。

「とても飲みやすい」と言っていたけれど、どうだろうか?
 明石太郎はお酒が得意ではなかったが、ゆっくりと口を近づけた。
「ズズズズズ、、、ん!?ゴクゴク、、、プハ~」
「すごい!水みたいだ。フルーティーな風味でさっぱりとしている一方、味に深いコクがある」どうやら明石太郎は気に入ったようだ。そしてガマツグと酒盛りを始めた。

10分後
「おいガマツグ、今更そんな顔をしてもお金を入れてやらないよ」

1時間後
「いや、実に美味しいお酒だ、、、何?君も何か飲みたいのか?」
「ではこの百円玉をお口に入れてやろう!がはははは(笑)」

2時間後
「君とは何年の付き合いになるだろう、、、今までありがとな。グスン(泣)」
「これからは頑張って君を太らせてやるからな(泣)」

3時間後
「やはり君が悪いんだ!君がもっと固く口を閉じていれば私は浪費せずに済むのだ(怒)」
「明日、貯金箱を買ってきて、君なんてインテリアにしてやる!!」

、、、そして数時間後
「むにゃむにゃ、、、どうやら寝てしまったか」「、、、今何時だ」

「、、、、、13時」「!!!!」

「やばい!遅刻だ!!急がなきゃ!」
 そんな明石太郎をよそ目にガマツグは、ぷっくりと佇み、心なしか笑っていた。

その後、明石太郎はとびっきりの言い訳を考えてお勤め先に臨んだが、真っ赤な顔と酒臭さの前には、どんな言い訳も通用せず、上司の顔を何倍にも膨らませた。

終わり。

※明石太郎と明石は別人でございます。

初めまして

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
新人ヴァンドゥールの才木でございます。

9月より大旦那様にお許し頂きまして、
ギフトショップにてお仕えしております。
まだ慣れぬ点もございますので、
ご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、
今後ともよろしくお願い致します。

……などと申しましても、
疑問符が浮かぶ所ではあるかと存じます。先に申し上げた通りギフトショップでも
皆様のお世話を任せられることになりました。
今一度新人の気持ちを思い出し、
新たな気持ちでお仕え出来ればと考えております。

今までは後輩と考えておりました
赤井・明石ですが、
右も左も分からないギフトショップで
こんなにも頼りになる2人はおりませんでした。
的場も今まで様々な場面で
共にお務めを果たして参りましたが、
改めてギフトショップにて
とても頼りになるということを実感致しました。
桐島もティーサロンにて長く一緒に務めて参りましたが、
見えなかった一面があるなと
感じるところが多くありました。

ということで!
私の独断と偏見によるヴァンドゥール紹介を
させて頂きたく存じます。
どうか生温かい目でご覧くださいませ。

―――

⚫赤井
ギフトショップ的場一家長男赤井にございます。
洗練された焼き菓子や紅茶の知識は
舌を巻くものがございます。

また日頃はあまり意識しなかったのですが、
身長が180ございまして
近寄りますと想像より大柄です。
桐島や的場がおりますので目立ちませんが、
私や明石の隣に立ちますと一目瞭然。
日頃の柔和な喋り口調からは想像出来ないところです。

ギフトショップ愛に関しては
的場に張るものがあると存じます。
日々お嬢様により良いものをお届けする為、
研鑽に励んでおりまして、
私自身も様々なことを教わりました。

特に皆様にお見せするPOPを描く才能は秀逸です。

当月のオススメは
「マロンケーキ」にございます。

⚫明石
私の中で一番イメージの変わった使用人かも知れません。

宿舎などでも言葉を交わすことはございまして、
面白い使用人だとは感じていたのですが、
胸に秘めた熱いパッションを感じとれていませんでした。

皆様と快活にお話する彼の姿を見て、
その話題の広さや使用人としての資質は
素晴らしいものだと感じました。
(私ごときが何をというのはありますが)

このブログも拝見したところ
その文才にも触れまして、
これは何かをやってもらいたい。
出来れば一緒にやってみたい。
そう感じております。
……大旦那様、皆様いかがでしょうか?

当月のオススメは
「ハニーミルククッキー」でございます。

⚫桐島
ギフトショップで見ると何倍にも大きく見えます(物理的にも)。
近頃のバンプアップの成果でもあるかと存じます。

冗談はともかくと致しまして、
桐島は皆様を楽しませようという
奉仕の心が強い使用人でございます。
それは日頃のお給仕や
ギフトショップのお務めにおいても、
発揮されております。
またデザインなどの側面においても
感じられるところにございます。

ティーサロンにて給仕していると、
他の使用人の給仕を横で見ることは
中々難しゅうございますので、
改めて感じたことでありました。

全く話はズレますが
桐島と明石の絵本でもお作りしたら、
面白くなりそう気が致します。

当月のオススメは
「テリーヌショコラ(冷凍スイーツ)」にございます。

⚫的場
ご存知メートゥルドゥ・ヴァンドゥールでございます。
今までフォトブックDVDなど様々な場面で、
会話を交わすことはございましたが日常のお務めを共にするのは初めてのことでございます。

皆様とお話しされている様子を拝見致しますと、
焼き菓子や歌劇団に関する愛情が
よく伝わって参ります。

ギフトショップ愛において、
右に出るものはいないと
自信を持って申し上げられます。
使用人として追いつけ追い越せではないのですが、
的場に1歩でも迫れるよう努力を
していきたい所存です。

当月のオススメは
「和梨のクリームタルト」にございます。

―――

以上メンバー紹介でございました。

ちなみに私の当月のオススメは、
勿論「ペンギンクッキー」でございます。

まだまだヴァンドゥールとしては
新人でございますので、
1日でも早く皆に追いつけるよう、
誠心誠意努めて参ります。

皆様におかれましても
改めてではございますが、
是非ギフトショップにもお立ち寄り頂ければと存じます。
美味しいもの楽しいもの一杯ご用意して、
皆様のお戻りを心よりお待ちしております。

才木

オータムハム

いかがお過ごしでございますか。桐島でございます。

秋。様々な事が活発に行える季節でございます。

私は年がら年中筋トレの秋でございますが、皆様はどの様にお過ごしでございましょうか。

勉学に勤しむもよし、食に奔走するもよし、運動に明け暮れるでもよし…

おや?決めかねていらっしゃいますか?

ではここで富田にアドバイスを頂きましょう。

うん知ってました。

是非とも美味しいものが欲しい時はギフトショップに足を運んで下されば幸いでございます。

それではまたお会い致しましょう。

明石だらけ。

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
的場でございます。

ここのところ明石の溢れ出る文才が止まりません。
彼はシャイなところがあり、写真や歌や演技が苦手なのでございます。
もっとも実際に歌などを聞いたことがないので自称ではございますが…。

このギフトショップのブログを書くように申したところ
「初めはお嬢様にご挨拶程度のものがよろしいでしょうか」
という温度感だったのにも関わらず、いきなりの「明石太郎」の登場でございます。
私は原稿を持つ手を震わせたものです。

「て、天才だ…!」

独特な世界観は留まることを知らず、容量もどんどん長文になっていきました。
妄想旅行やホラー作品の楽しみ方など、徐々に内容もディープなものに…っ!
遂には他の使用人の提出頻度をはるかに越え、先日の「走れ明石」などは三部作になる始末。
自己表現が苦手(自称)という明石に練習の場を与えるぐらいのつもりが、
とんでもない鬼才を生み出してしまいました。

方向性の違いはあれども、伊織や隈川と同じ長さの才能を感じます。
何か彼のセンスを活かす土俵はないものか…。
如何にすればこのモンスターの能力をのびのびと開花させられるでしょう。

映画が好きな様なので「劇場版 的場の山小屋」を撮らせるか、
それともクルーザーに乗せてマグロを釣るところから捌くところまで動画にするのか?
明石脚本を執事歌劇団が朗読するのもよろしいですね。

夢は広がるばかり。
執事歌劇団にひけを取らない様な活躍をしてほしいものでございます。
これからも明石先生の作品にご期待下さいませ。

それでは本日はこれにて。

怖い話

明田 太郎(仮名)さんの投稿

 これは数ヶ月前の出来事です。

 その日は珍しく仕事が定時で終わり、帰って一杯やろうかと考えていました。ただお酒だけでは物足りないので、「つまみに映画でも」と思い立ち、近所のビデオ屋に寄ることにしました。

 私は映画好きだったこともあり、そのビデオ屋にはよく通っていて、店長とも仲良くなり映画について語り合ったりしていました。

 しかしその日は、いつもレジカウンターにいるはずの店長がおらず、代わりに見たことのない30代後半くらいの男がレジカウンターで俯きながら何か作業をしていました。

「あれ?今日は休みかな」と思いつつも、その男に「店長、いらっしゃいますか?」と聞いてみると、男はゆっくりと顔を上げ、ボソッと「いいえ」とだけ答え、また俯き作業を始めました。普段なら「愛想悪いなぁ」と思うのですが、その時だけは変な違和感を覚えました。

 まずその男の顔ですが、とても特徴のない顔で肌は青白く、目も虚ろで焦点がどこにも合っていない印象を受けました。さらによくよく店内を見回すと他のお客さんが一人もいないのです。

 確かに、このお店は大型チェーン店などとは違い、この地域にしかない小規模なお店でしたが、それでもこの時間帯ならそれなりにお客さんもいるはずなのです。

 何か冷ややかな空気を感じましたが、気にしてもしょうがないので借りる映画を探し始めました。5分くらいして「あっ!そういえば前借りれなかった映画あるかな」と前回の記憶を思い出し、置いてある棚に向かいました。

 見てみると空のケースしか置いておらず、「もしかしてずっと返し忘れてるんじゃ、、」と思い、気は進みませんでしたが、あの店員に聞いてみることにしました。レジカウンターの方へ振り替えると、
私は思わず”ギョッ”としてしまいました。

 そこにはあの店員が、体は正面のまま頭だけが違う方向を向き、一点を凝視していました。その時だけは焦点が合っていたような気がします。

 その光景に一瞬固まってしまいましたが、何を見ているのか興味が湧き、店員が見ている方向に目をやりました。そこには(中古品販売)と書かれた棚に古いDVDが置いてありました。

 私は店員のことなど忘れ、何かに魅入られたようにそこに近づきました。その時点であのDVDを手に取るのは必然だったのかもしれません。

 置いてある品はB級映画や聞いたことのないアーティストのライブ映像など様々ありました。なんとなくその棚を見ていると、一つ奇妙なDVDが目に留まりました。真っ黒なケースに赤い文字で「怖い話」と、書いてありました。

 私は斬新なパッケージに興味を惹かれ、購入することに決めました。レジカウンターに向かうとあの男はまた俯いていました。「すみません。これ下さい」そう言うと店員はゆっくり顔を上げ、「○○円です」とバーコードも読み取らず、ボソッと呟きました。

 その瞬間、「この店員が見ていたのは棚全体ではなく、このDVDだったのではないか」と思い、借りるのを躊躇しましたが、なおさら何が映っているのかという好奇心の方が勝り、会計を済ませました。

 家に帰るとまずお風呂に入り、軽い晩御飯を済ませ、あのDVDを見ることにしました。買ってきたビールを開け、「怖い話、、、ホラーだよな」そう思いながら再生し始めました。私はホラーが苦手ではなかったのですが、ビデオ屋での出来事と相まって、ちょっとビビっていました。

 映像はメニュー画面も何もなく、いきなり本編が始まりました。

 映っていたのはどこかの森の映像、よく見ると真ん中に古い井戸があり、思わず「リ〇〇?」と声を出してしまいました。しかしその有名な映画とは違って、一向に何も起こりません。一応時間は経過しているようで、静止画ではありませんでした。

 5分経っても何も起こらず、気持ちも冷めてしまい、「消そうかな」とリモコンのボタンに手を伸ばした時「ペタ」と何かの音がテレビから聞こえてきました。

 慌ててテレビを見ると井戸の縁に手が掛かっておりました。そして次第に井戸の中から白いワンピースを着た女性が這って出てきたのです。
「うわっ!!!」私は声を荒げてしまいましたが、一旦落ち着いて見届けることにしました。

 女性は少しづつ井戸から出てきており、完全に出ると今度はゆっくりとこちらへ近づいてきます。

「、、、まさかな」

 画面の中の”それ”は、おぼつかない足取りで近づいてきます。一歩、二歩、、、

 残り十歩ほどの所まで来てしまいました。

「まさか、、偽物だよな、、、、」

 九歩、八歩、七歩、、、そのあたりから何か本物めいたものを感じ始めました。

「ま、ま、待ってくれ」しかし”それ”は止まりません。そしてゆっくりと青白い手がこちらに伸び始めました。

「もう無理だ!!!止めよう!!」そう思い、停止ボタンを押そうとした瞬間

「ガガガガガ、、、、」と、テレビから故障音が鳴り出し、そこで画面も止まってしまいました。
「、、、こ、故障?」「それとも、終わった、、、のか?」「何はともあれ助かった」
 
 丁度”それ”が画面に触れるくらいで映像は止まっていました。

 私は落ち着きを取り戻し、気が抜けると、何だか催してきました。「取り合えずトイレに行くか」そうしてビデオをそのままにし、部屋を後にしました。

 帰ってくると映像はまだ井戸の画面で止まったままです。
「ふー。今日はもう寝よう、、、、、、、、あれ?、、あの女性は?」テレビには森と井戸しか映っておらず、あの女性はいませんでした。
「まだ続きがあったのかな?」私は深く考えるのをやめ、眠りにつきました。

 次の日、私は朝早く出社すると、早速同僚のAに昨日の出来事を話しました。
私「本当なんだって!〇〇グみたいな映像でさぁ」
A「どうせ、誰かが作った偽物だろ」
私「まぁそうだけど、本当リアルなんだって!そうだ今日仕事終わったら、うちに見に来いよ!」
 Aは中々首を縦に振りませんでしたが、私の熱弁に負け、泣く泣く承諾しました。

A「わかったよ、終わったら行くから。そのかわり酒でも奢れよ」
私「よし!絶対面白いから、期待しとけ!」昨日の出来事が嘘のようにわくわくとした気持ちで、仕事に取り掛かりました。

 思ったよりも早く仕事が進み、今日も定時くらいで帰れそうでした。
私「A、終わりそうか?」
A「まだもう少し掛かりそうだ。まぁ、切りの良い所で終わらせるから、先帰って準備しててくれ」
私「わかった!酒も買っとくよ!」そう言い残し、会社を後にしました。

 スーパーでお惣菜やビールを買い込み家まで歩いていると、途中あのビデオ屋の近くを通りました。
「そういえば今日は店長いるかな?いたらあのビデオについて聞きたいな」そう思い、立ち寄ろうかと考えましたが、今日はAが来るのでまた時間のある時に寄ることにしました。

「ガチャ」鍵を開け家に入ると、早速買ってきたお惣菜を用意しました。「いやぁー見てたらお腹空いてきたな、、Aには悪いけど先に一杯やろうかな」私はビールを一本取り出し、先に頂くことにしました。

「ゴク、ゴク、ゴク、、ぷはぁ~」「仕事終わりのビールは最高だ!」

「ゴク、ゴク」「ゴク、ゴク」「ペタ」「ゴク、ゴク」「ペタ」

「あれ?」ビールを飲む音の合間に何かが歩いている音が聞こえてきました。その音は隣の部屋から聞こえてきます。そして、こちらへ近づいていました。「ペタ、ペタ」「ペタ、ペタ」「ペタ、ペタ」

「ガチャリ」

 その音は明らかに隣の部屋を開けた音でした。そしてその音と共に汗がブワッと吹き出しました。
「嘘だろ!!、、、まさかあの時」考えたくはありませんでしたが、「昨日画面から女性が消えていたのは、映像が進んだからではなく、画面から出てきたってこと!?」

「ぷつん、、、」そんな事を考えていると今度は部屋の明かりが消えてしまいました。
「うっっっ、、、」いきなりの停電に叫びそうになりましたが、今叫ぶと位置がばれてしまうと思い、声を押し殺し、慌ててテーブルの下に隠れました。

「ガチャリ」今度はこの部屋の扉を開ける音がしました。
 そして「ペタ、ペタ、ペタ」もう、すぐ近くにいるような気がします。「やばい、、逃げないと」しかし足が震えて力が入りません。「くそ、動いてくれ」そう思った刹那

「プルルルル!」近くに落ちていた携帯が鳴り出しました。件名はAと表示されていました。

「A!!」そう喜んだのも束の間、携帯の光に照らされた”あれ”が、目の前に現れたのです。

 真っ赤な口がニヤッッッと笑っており、目は白い部分が無く、真っ黒で穴が開いているようでした。しかし焦点は私と合っているような気がしました。

「うわぁぁぁぁぁ!」私は急いでそこから走り出しました。「早く外へ出なきゃ!!!」体中を壁にぶつけながら、玄関に向かいました。

 ところが玄関に向かっているはずが、違う部屋に辿り着いてしまうのです。
「あれ!?なんでだよっ!」
 寝室、トイレ、洗面所、そして最初にいたリビングと、いつまでたっても着きません。

 さらに「ペタ、ペタ」と、ゆっくりとした足取りのはずの”あれ”が、常にすぐ後ろにいるような気がします。「dzxぇxyあ」と、何か言葉らしきものも聞こえてきました。

「もう、、無理だ、、」そう諦めかけた時、「ピンポーン」と、インターホンが鳴りました。
「ハッ」と、その音で我に返ると、手で何か金属に触れているのに気づきました。それは、玄関のドアノブでした。いつの間にか扉の前まで来ていたのです。

 私は急いで鍵を開け、外へ出ました。
A「どうしたんだよ、部屋も真っ暗で。電話したんだぞ!」
私「A!!あ、あいつが、、あれが、、」「お前の家に泊めてくれ!」「きょ、今日は!!」
 
 その時のAは私が何を言っているのか、さっぱり分からなかったそうですが、私の様子があまりにも変だったので、私を取り合えずAの家に連れていってくれたそうです。(その事は全然覚えていませんでした)

 翌日、私はずっとAの家に居るのも申し訳ないので、あのビデオ屋に行くことにしました。ビデオ屋に着くとその日は店長がいました。

店「あれ、久しぶりじゃない」
私「あの、、今日はお聞きしたいことがあって」私は一昨日ビデオ屋に来てからの事を店長に話しました。

「ん~、おかしいなぁ、そんなDVD置いて無かったと思うが」そう店長は言うのでした。そしてあの時いた30代後半くらいの店員のことも、知らないと言うのです。

 その後、私は店長を連れて自宅へ帰りました。扉を開ける瞬間「あの顔がまた目の前に現れるのでは」と思いましたが、それも杞憂に終わり家には誰もいませんでした。DVDはまだ置いてあり、再生してみましたが、砂嵐の「ザザザ」という画面しか映りませんでした。

店「確かにパッケージには、うちで取り扱ってるマークが刻印されてるな、、、」「取り合えずこれ、近くのお寺に持っててみれば?」私は頷き、お寺で供養してもらうことにしました。
 
 お寺に着きお坊さんに渡し事情を話すと、すごく怪訝な顔をされました。ですが供養が終わると「もう大丈夫です」と言われ、さらに「しかし一年くらいは、あなたが見た”何か”が近寄らないように、これを持っていてください」と、紐の束のような物でできた人形を渡されました。

 それからは人形の効果もあってか、普段通りの生活をしております。

〈追記〉

 そういえば二つほど話してなかったことがあります。

 一つは、あの時Aがすんなり私の事を受け入れてくれた理由ですが。私の様子の他に、私が扉を開け出てきた瞬間、聞いたことのない掠れた女性の声で「で、れ、た」と聞こえ、今私の家に入るのは、まずいと思ったからだそうです。

 そして二つ目は、「何故、数ヶ月前の事を今になって書いているか?」という事ですが。

 最近、あの人形が何処かへ消えてしまいました。そして外を歩いていると、あのビデオ屋の男に似た何者かを目撃する事が多く、必ず真っ黒の目でこちらを見ているからです。

終わり。

走れ明石3

役所入口
明「やっと着いたか、急がなければ」
19時15分を刻んだ時計を横目に、受付カウンターへ走っていった。
明「すみません。〇〇アパートか〇〇さんの名前で、多目的ホールなどの予約ありませんでしたか?」
受付の女性「!!!」「あなた何て恰好してるのですか!破廉恥極まりない!」
明「そんなことはどうでもいい!時間がない、早くしないと取り返しのつかないことになってしまう!」
受付の女性「〇〇様なら3階の中央ホールを只今ご利用中ですが、、」「あなた、その恰好では中へ通しませんよ!」
明「3階だな!」
受付の女性「ちょ、ちょっと!待ちなさい!」
その声を余所に明石太郎は走り出した。

 階段を上り、周りを見渡すと(中央ホール入口)の文字を見つけた。
明「はぁはぁ、中央ホールはあれか!」
明石太郎は入口まで駆け寄ると、扉を勢いよく開け放った。

明「大家!!!」

住民達「!?!?」
大「あれー、明石君ではないですか。今更どうしたのです?もう署名は終わりましたよ(笑)」
弁「あれが例の住民ですか。あの恰好、噂にたがわぬ阿呆のようだ(笑)」
住民達「明石くん、、、」
明「………」
明石太郎は無言で二人に近づいた。

弁「丁度いい、君も署名してください、、、ああそれと明石君の書類を見せていただきましたが、ここ数年にわたる数々の規約違反。騒音問題、ペット問題。最近では銃刀法違反で警察の方々にもご迷惑をかけたとか、、、」「まさか断るとは思いませんが、その時は分かりますよねぇ?」「早く署名したほうが身のためですよ。今だって公然猥褻で罪を重ねてるんですから(笑)」
大&弁「さあ早く!」
明「………」

役所受付
受付の女性「本当なんです!全裸の男が3階へ上がっていったんです!」
受付の男性「、、、はぁ。何かの見間違いではないですか?」
受付の女性「そんなことありません!この目で見たんですから!!」
???「あの、すみません」
受付二人「!?」

受付の女性「は、はい。なんでしょうか?」
???「全裸の紳士を見掛けませんでしたか?」
受付の女性「えっ?」「まさかお知合いですか!?」
???「はい。友人です」男は自信を持って答えた。

受付の女性「ぜ、全裸の阿保ならここへ来た後、3階の中央ホールへ行きましたよ」
???「ありがとうございます」男は速足で3階へ向かった。

受付の女性「ほら!言ったじゃない!私たちも行きましょう!」
受付の男性「そ、そうだな」

                   中央ホール

          ”バチーーン!!”ホール内にビンタの音が鳴り響いた。

 弁護士は頬に真っ赤な紅葉を咲かせ、気絶した。
住民達「!?!?」
大「な、なにをしているのだ!」
明「やかましいわ!!!」
大「!?!?」

明「家賃の問題に今までの悪政。住民や私を馬鹿にしたこと。おまけに不良達に殴られるわ、婦女子に裸を見られるわ、今日は散々な一日だ!」「それもこれも全て貴様のせいだ!覚悟しろっ!!」
大「ちょ、ちょっと待て!暴力的な解決は何も生まないぞ」「そ、それに半分くらい私には関係ないじゃないか!?」
明「うるさい!必殺の往復ビンタにて、貴様に天誅を下したる!!」
大「待て!落ち着け!!!」
明「もう遅い!!」
 明石太郎の怒りのビンタは左右に、そして上下に往復し、色々な角度から大家の顔をはたき、数分後には顔が3倍もの大きさに膨れ上がった。

???「あちゃー。平和的解決策を持ってきたのだが、少し遅かったか」
???「明石君、そのくらいで許してやりな」明石太郎は無我夢中ではたいていたが、その声でふと我に返った。

明「染瀬じゃないか!来たのか」明石太郎は手を止めて、染瀬の方へ振り向いた。
染「ああ!これを渡すのをすっかり忘れててね」
明「なんだいそれは?」
染「これは今までの悪政の契約書さ。注意深く見直してみると法律的にグレーな一文が結構あってさ。全部この弁護士が関わっているなら、悪逆を暴く良い証拠になるよ」「それとこの前のファミレスの会話を録画したテープ。平和的解決を望むならこういった物も役に立つからね」「まぁ今回は大家さんの方が早く欲しかったかもしれないね」
明「ふん!たまには痛い目に合った方がいいんだ」

染「何にせよこれで一件落着だ。この証拠を突きつければ住民達の家賃も元通りにしてくれるだろう」
明「よかったな、みんな!」
住民達「二人ともありがとう」「良かったー!」「やっぱ頼りになるなぁ」
染「でも、なにか忘れてるような、、、」

          ”バチーーン!!!”ホール内にまたビンタの音が鳴り響いた。

「この変態!!」
 声と共に明石太郎の頬に衝撃が走り、勢いよく転倒した。
明「ぐはっ、、なんだ一体!?」明石太郎がゆっくり起き上がると、見たことのある女性が軽蔑の表情でこちらを見ていた。

明「ハッ!」「ま、待て!落ち着くのだ!!!」
受付女性「もう遅い!貴様に天誅を下す!!!!!」
染「明石君、取り合えず僕の上着で下半身を隠せ!さもなければ今度は君が痛い目にあうぞ!」

 アパートのヒーローは改めて自分の姿を見直すと、その阿呆な姿にひどく赤面した。

                     完

お嬢様、お坊ちゃま、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
まさか3回に分けて掲載するとは思ってもいませんでした。
やはり文章というのは難しいものですね。

それと最後に、、、、

            太宰治先生、申し訳ございませんでした!!!

終わり。

走れ明石2

役所
住A「いやぁ心配だなぁ」
住B「大丈夫だよ。皆で反対すれば、分かってくれるよ」
住A「そうだよね、でも大家さん怖いからちゃんと言えるかなぁ、、、」
住C「怖いけど皆で頑張ろうよ」

大「皆さん!!!そろそろ席についてください!!!」
住ABC「ビクッ!」

 明石太郎は走っていた。大家に対する今までの恨み辛みを原動力とし、憤怒の形相で走っていた。

 15分ほど走り続けると、目の前に公園が現れた。この公園はとても広く、遠回りするとかなりの時間ロスになってしまう。明石太郎は迷いもせず公園内を突き進んだ。
 途中ベンチや自動販売機がある休憩所に差し掛かった時、高校生らしき少年達が煙草を吸っていた。
普段なら注意するとこだが、急を要する為そのまま横を通り過ぎようかと思ったその時、一番体格の良さそうな少年が不意に振り向き、目が合った。

「やばい」
その時の明石太郎の顔は、憤怒の形相に少々の疲労が足され化学変化が起き、その形容しがたい表情は、少年が煽られたと感じても致し方なかった。
少「喧嘩売ってんのかぁ!!」
その声を合図に他の少年たちも一斉にこちらを振り向き、明石太郎の前に立ちはだかった。

「くそう、何故会いたい時には現れず、会いたくない時に現れるのか。こうなればやけくそだ!」
 明石太郎は強引に突破すべく、少年たちに突っ込んだ。
「どけ!邪魔だ!」
明石太郎は降り注ぐパンチとキックの雨あられを必死に耐え、服を引っ張られては強引に振りほどき、倒され泥だらけになっては立ち上がり、その場を辛くも脱出した。

「体中ボロボロだ、服もほとんど破けてしまった。疲れたなぁ、、、、」
「もう間に合わないかもしれない」明石太郎は次第に弱気になっていった。
「お腹も空いてきた、そういえば朝から何も食べていない。少し休もうかな、、」
 明石太郎が諦めかけ、道端に突っ伏してしまおうかと考えた時「チリンチリン」と何処からともなく自転車のベルの音が聞こえてきた。そしてその音は「明石君、明石君」と自分を呼ぶ声に変わっていった。
「染瀬!」
「明石君、大丈夫か?洋服はどうした?」
「色々あってな。それよりどうしてここに?」
「君が無茶していないか心配だったから追いかけてきたのさ。愛と平和も良いがやはり一番は友情さ」
「さあ明石君、この自転車を使ってくれ!」
「すまん染瀬、恩に着る。」
明石太郎は最後の力を振り絞り向かうのであった。

役所
大「皆さん、お手元の契約書に目を通していただけたでしょうか?ご確認が出来次第、順次署名をお願いします」
住A「あの~、やっぱりサインしなければいけないでしょうか、、、、、」
大「別にしなくても構いませんよ。ただし、その場合は次回の更新は行わず即刻立ち退きを命じます」
住A「そ、そんな、、、いきなり言われても」
大「いきなりではありません。そうですよね弁護士さん」
弁「ええ」「Aさん、あなたの次の賃貸契約更新は7ヶ月後ですよね。借地借家法第26条では立ち退きを要求する場合、賃貸契約更新の1年~半年前に行えば問題ありません」
住A「で、でも、、立ち退きを拒否することもできるのですよね、、、」
弁「はい。ですが賃貸人、つまり大家側に正当な理由があれば拒否することは出来ません。確かあなたは一年前、ペット禁止の催告をしたにもかかわらず、数ヶ月の間犬を飼ってらっしゃいましたよね」
住A「それは、大家さんが(飼い主が見つかるまでの間、飼ってもいいよ)と、言っていたから!」
弁「大家さん、本当ですか?」
大「いえ、そんなことは一言も」
住A「嘘だ!言ってたじゃないか」
弁「証拠はあるのですか?」
住A「いや、それは、、無いですけど」
弁「では証拠不十分という事で。それとペットを飼っていたという契約違反で立ち退き料は発生せず、逆にペットによる匂いや傷が見つかれば数万~数十万の賠償費用を払っていただきます。いかがなさいますか?」
住A「、、、」「、、、サインします」
大「ありがとうございます。では皆様も質問・不満等なければ署名をお願いします」
住民達「、、、」

中編完

申し訳ございません。今回で終わるかと思ったのですが、また長くなってしまいました。
続きは出来るだけ早く掲載いたします。

終わり。