お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
暑い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか。
夏休みはどこかお出掛けになりますか?
私は先日お屋敷の離れにございます、司馬が管理するシアタールームに赴きました。
司馬が手入れを欠かさない映写機が映す映像は、映画館ほどではないものの非常に画角が大きく、大変美麗でございました。
映画ソムリエである司馬に観たい映画を聞かれましたので、私は「男らしい映画!」とオーダーいたしました。
…現時点でお嬢様の心の扉が少し閉じた音が聞こえたような気がいたしますが、シアタールームの司馬体験にテンションが上がっておりますので続行いたします。
司馬が上映してくれたのは「七人の侍」でした。
お嬢様も題名は聞いたことがあるのではないでしょうか?
黑澤明監督の有名な映画でございます。
3時間半の長編映画で、恥ずかしながら私もきちんと鑑賞するのは初めての体験でございました。
司馬が好きな映画ベストテンを選ぶとしたら必ずランクインする程好きな映画だそうでございます。
以下に感想を記します。
ネタバレになっている箇所があるやもしれませんのでご了承くださいませ。
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昭和30年代の昔の映画なので音質が悪く、田舎の方言なので言葉が聞き取りづらいのです。司馬のお勧めで字幕アリで視聴いたしました。
流石の司馬の選択で、これは正解でございました!日本映画ですが日本語字幕でご覧になるのがお勧めでございます。
映像は昔の白黒なのですが、司馬コレクションはリマスターされているので、そこは現代技術の力で特にストレスなく拝見できました。
毛筆斜め書きのスタッフロールから始まるオープニングがもう既に渋い!
管楽器と太鼓が合わさった昭和オーケストラが更に渋い!
序盤に貧しい農民が野武士に蹂躙されるのですが、これが悲惨過ぎます。昔の映画らしく画面に登場する人数も多いので、何十人もの農民がおいおい泣くのです。凄く残虐な表現があるわけではないのですが、悲壮感が画面から伝わってまいります。
そこから野武士を倒すため、農民がなけなしの米食べ放題を条件に侍を集めるのですが、だんだん個性的な仲間が集まっていってワイワイしてくるのが魅力でございます。賃金も出世も見込めないのに集まってくれるのですから、とても気のいい方々でございますね!長編なのでしっかりと人物の描写も行き渡っており、それぞれの背景が見えるのも魅力でございます。
このあたりで大きな毛筆で「休憩」と書かれ休憩に入ります。スクリーンに大きく「休憩!」と書かれる経験がないので私が「え?え?」と戸惑っていると司馬が教えてくれました。当時の映画としても異例の長編だったため、劇場側の配慮があったそうです。こういった知識が聞けるのも司馬シアターの魅力!
果たして侍たちが集まり、村に移動するのですが、農民たちは野武士も侍も怖いので最初心を開きません。そんな中で侍たちが野武士討伐の作戦を立てたり、農業を手伝ったりする中で絆を深め、共に笑い合う仲になってゆく様は感動的でございます。
最後は野武士との戦いが描かれてゆくのですが、ここの迫力が凄い!大勢の演者が走る走る!昭和の映画ってとにかく走るんですよね!ここも長尺で数日間戦うのですが、フィジカルだけでなく戦術も見えて、それが成功したり上手くいかなかったりする様も現実的なのです。合戦に至るまでの物語が丁寧に描かれているだけに感情も入ります。ワンテイクでは撮れないだろうと思われる場面もたくさんあり、大勢の方の息が合っており、全員が高い熱量で臨んでいることが画面全体から伝わってまいりました!
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馬がたくさん出てくるシーンは黑澤明が西部劇にインスパイアされた結果らしゅうございます。
その七人の侍に更にインスパイアされたアメリカが「荒野の七人」という西部劇版を作ったそうでございます。逆輸入でございますね!という事で荒野の七人も鑑賞いたしました。
更に荒野の七人にインスパイアされた「サボテンブラザーズ」というコメディー映画も紹介されて観ました。
気が付けば10時間ほどシアタールームに居座ってしまいました。何と贅沢な時間!夏休みらしい過ごし方ができました。
図らずも読書感想文ならぬ映画感想文みたいになってしまいましたね。夏休みの宿題のように堅苦しくなっておりましたら申し訳ございません。
お嬢様もお勧めの映画がございましたら是非教えてくださいませ。
それでは本日はこれにて。
おまけ
司馬のお勧めで「シス 不死身の男」という映画も視聴しましたが、これは男の子過ぎるので、感想は割愛いたします。しかし的場としては最高の映画でした。
はじめ題名を聞いた時に私が無知ゆえに「死す?不死身なのに?」と思ったことは内緒でございます。
終わり。