走れ明石2

役所
住A「いやぁ心配だなぁ」
住B「大丈夫だよ。皆で反対すれば、分かってくれるよ」
住A「そうだよね、でも大家さん怖いからちゃんと言えるかなぁ、、、」
住C「怖いけど皆で頑張ろうよ」

大「皆さん!!!そろそろ席についてください!!!」
住ABC「ビクッ!」

 明石太郎は走っていた。大家に対する今までの恨み辛みを原動力とし、憤怒の形相で走っていた。

 15分ほど走り続けると、目の前に公園が現れた。この公園はとても広く、遠回りするとかなりの時間ロスになってしまう。明石太郎は迷いもせず公園内を突き進んだ。
 途中ベンチや自動販売機がある休憩所に差し掛かった時、高校生らしき少年達が煙草を吸っていた。
普段なら注意するとこだが、急を要する為そのまま横を通り過ぎようかと思ったその時、一番体格の良さそうな少年が不意に振り向き、目が合った。

「やばい」
その時の明石太郎の顔は、憤怒の形相に少々の疲労が足され化学変化が起き、その形容しがたい表情は、少年が煽られたと感じても致し方なかった。
少「喧嘩売ってんのかぁ!!」
その声を合図に他の少年たちも一斉にこちらを振り向き、明石太郎の前に立ちはだかった。

「くそう、何故会いたい時には現れず、会いたくない時に現れるのか。こうなればやけくそだ!」
 明石太郎は強引に突破すべく、少年たちに突っ込んだ。
「どけ!邪魔だ!」
明石太郎は降り注ぐパンチとキックの雨あられを必死に耐え、服を引っ張られては強引に振りほどき、倒され泥だらけになっては立ち上がり、その場を辛くも脱出した。

「体中ボロボロだ、服もほとんど破けてしまった。疲れたなぁ、、、、」
「もう間に合わないかもしれない」明石太郎は次第に弱気になっていった。
「お腹も空いてきた、そういえば朝から何も食べていない。少し休もうかな、、」
 明石太郎が諦めかけ、道端に突っ伏してしまおうかと考えた時「チリンチリン」と何処からともなく自転車のベルの音が聞こえてきた。そしてその音は「明石君、明石君」と自分を呼ぶ声に変わっていった。
「染瀬!」
「明石君、大丈夫か?洋服はどうした?」
「色々あってな。それよりどうしてここに?」
「君が無茶していないか心配だったから追いかけてきたのさ。愛と平和も良いがやはり一番は友情さ」
「さあ明石君、この自転車を使ってくれ!」
「すまん染瀬、恩に着る。」
明石太郎は最後の力を振り絞り向かうのであった。

役所
大「皆さん、お手元の契約書に目を通していただけたでしょうか?ご確認が出来次第、順次署名をお願いします」
住A「あの~、やっぱりサインしなければいけないでしょうか、、、、、」
大「別にしなくても構いませんよ。ただし、その場合は次回の更新は行わず即刻立ち退きを命じます」
住A「そ、そんな、、、いきなり言われても」
大「いきなりではありません。そうですよね弁護士さん」
弁「ええ」「Aさん、あなたの次の賃貸契約更新は7ヶ月後ですよね。借地借家法第26条では立ち退きを要求する場合、賃貸契約更新の1年~半年前に行えば問題ありません」
住A「で、でも、、立ち退きを拒否することもできるのですよね、、、」
弁「はい。ですが賃貸人、つまり大家側に正当な理由があれば拒否することは出来ません。確かあなたは一年前、ペット禁止の催告をしたにもかかわらず、数ヶ月の間犬を飼ってらっしゃいましたよね」
住A「それは、大家さんが(飼い主が見つかるまでの間、飼ってもいいよ)と、言っていたから!」
弁「大家さん、本当ですか?」
大「いえ、そんなことは一言も」
住A「嘘だ!言ってたじゃないか」
弁「証拠はあるのですか?」
住A「いや、それは、、無いですけど」
弁「では証拠不十分という事で。それとペットを飼っていたという契約違反で立ち退き料は発生せず、逆にペットによる匂いや傷が見つかれば数万~数十万の賠償費用を払っていただきます。いかがなさいますか?」
住A「、、、」「、、、サインします」
大「ありがとうございます。では皆様も質問・不満等なければ署名をお願いします」
住民達「、、、」

中編完

申し訳ございません。今回で終わるかと思ったのですが、また長くなってしまいました。
続きは出来るだけ早く掲載いたします。

終わり。