眠りが覚めても

お嬢様ご機嫌いかがでございますか?

百合野でございます。

休館がついにあけました…
とてもとても長い月日を過ごしたな気がいたします。

お嬢様のお顔が見れない日々は別の世界にいた様な感覚でございました。
お屋敷の門を叩いてから長い月日が経ちましたが、ここまでの休館は初めてでございます。

やるべきことはたくさんございました。
ですので、まずはその執務を全ういたしました。

しかしながらその執務を終えた途端、突然の寂しさに襲われ、リモートラジオの収録に救われる日々。
仲間の存在は暖かいものでございますね。

そして、もう一つの温もりは紅茶でございました。
今まで時間が無く、淹れられずじまいだった紅茶をたくさん頂戴いたしました。

今回はそんなお茶の楽しみの中で特に素敵だったものを少しだけご案内させていただきます。

冬限定のマリアージュフレールの
「ノエルヌーヴォー」

シナモンやりんご、アーモンドにオレンジ。
星の形をしたお砂糖が入った緑茶でございます。

金と銀の星形のお砂糖見えますかね?
素敵でございますよね。

とてもスパイシーな香りでございますが後味はスッキリとしていて美味しゅうございました。

上手に写真には写りませんでしたが、水面にはキラキラとしたお砂糖が美しく浮かんでおりました。

楽しみは自身で見つけるもの。
やるべき事に追われる日々はもしかしたらその思考停止を誘っていたのかもしれません。

お嬢様もこの期間何か楽しみを見つけておりましたら、是非教えてくださいませ。

またティーサロンでお待ちしております。

百合野

One Day

今年も窓に滴ってゆく雫が物憂げな梅雨の季節がやって参りました。

この季節を越えると夏。無意識のうちに心が躍る能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

お外に出られない日のルーティーンは私の中で完成したように感じます。

まず朝は一杯のコーヒーを淹れます。中でもトラジャがお気に入りです。

焙煎済みの豆を手で挽いて、ペーパードリップでゆっくり時間をかけて。

部屋中に立ち込めるコーヒーの香ばしさが朝の目覚ましにぴったりです。

コーヒーとクロワッサンで朝食をとった後は、読書に勤しんでおります。

ワインや経済の本など、インプットの時間として費やすことが多いです。

その後は自室の掃除へ。床に物を置かない習慣が身に付けることができ、

大分楽になりました。特に梅雨の季節は湿度が高いので、より念入りに。

昼食の後はトレーニングの時間です。代謝促進や怪我予防にも繋がります。

一年中健康でいられるための身体作りは、お給仕の基本でございますので。

そのあとはフリータイム。読書の時間に充てたり、振り付けを考えたり。

百合野が作ってくれた歌唱上達カリキュラムを遂行することもございます。

今までの料理への苦手意識も薄れ、自分で作る機会も増えて参りました。

映画を拝観しながら、ワインを片手に料理する時間も楽しんでおります。

その後はマッカランとドライフルーツを頂きつつ余白の時間を作ります。

無心に窓の外の滲む街灯を眺める時間も大切に感じるようになりました。

入浴後はストレッチや最近始めたヨガの時間に充てるようにしております。

難しゅうございますね。身体が思うように柔軟しないものでございます。

毎日の積み重ねが肝心、と奮起しながら少しずつ牛歩な成長を重ねます。

一日の終わりには毎日書いております日記を記しまして、入眠いたします。

能見

森を歩く

少し心が弱っていたこともあったでしょうし、思い入れのある銘柄だったこともあったのですが、

久しぶりに涙がこぼれるようなワインと出会えました。

 
シャトー・ガザン.(Chateau Gazin)1996 

10年以上前に4本購入し定点観測しながら飲んでいた最後の一本でした。

1996年のポムロールは個人的にお気に入りのヴィンテージです。

マンガやドラマ、映画などのソムリエが、海辺でどうこう、森の中をどうこう、といった表現を使うことが多々ございます。

多少の誇張はありますが私はまさにそのように感じることがあるので同意できます。
格好つけているように見えるかもしれませんが、ほんとにそうなのです。

自身の手で育てた、完璧な状態のワイン。これを何年にもわたって定点観測し、ワインを知る。

こういった経験こそがワインを知るうえで大事な知識のひとつです。

コルクを抜き切らないうちから香りが広がりはじめ勝利を確信できました。
なかなかないコンディション。

ミルクチョコ、スミレ(パルフェタムール)、熟れ切ったフルーツ プラムやフランボワーズ(公式だったらカシスというべきだが赤い果実の印象が強い)、鉄、キノコ、下草、シナモン、リコリス。
拡散する軽やかな香りから、重心の低い水を含んだような香りまで。グラスに注いだ瞬間から、のどを落ちるまで、いつまでも次から次へと香りが広がります。

96年というクラシカルなヴィンテージ、今ではみられない堅牢な作り、それらが交錯した一点がこの味わい。
感動的ですらあります。
ほどけたタンニンと酸。その酸味が輪郭を作りまさに厚みのあるシルクのようなしっとりとした口当たり。
上質なアルコール特有の甘さ、果実味のとろりとした甘さが心地よい。
巨大なワインではないのでずしりとくる重さとは無縁だが、余韻もとても長い。

ポムロールで作られたメルロでしか到達できない味わい。

コンセイヤントだともっとエレガントだろうし、アンジェリュスだったらもっと重厚になるはず。
そういったポムロールの頂点にはもう少し届かないけど素晴らしいワインでした。

追記。
3日目に口にした時に全く新しい表情を見せたことに驚いた。さすがにあけた1日目がピークだと思ったら。
より甘いミルクチョコレートのような香りが先に来るようになった。
味わいもふくよかさを増して、開いた印象。
こういう部分を読めないところにまだまだテイスターとしての未熟さをかんじる。

ファーストフラッシュも出回り、セカンドフラッシュも摘まれようかという時季となりました。
日に日に近づく夏を窓外に感じる毎日でございます。
いかがお過ごしでしょうか、伊織でございます。

所変われば水も変わります。
お屋敷で淹れる紅茶と別宅での紅茶に差異を感じられたとしても、しかるべきなのかも知れません。
水を変えることでお茶の味わい、香り、水色も変化するわけですが、何がどう変わるのか、というのはなかなかつかみづらいものです。

そこで、極端に水質の違う水を作って実験してみてはいかがでしょうか?
わたくしも紅茶の勉強をする最中で触れた実験でございます。
用意するものは、

・水
・紅茶葉
・クエン酸
・重曹

以上でございます。

クエン酸を溶かした酸性水と、重曹を溶かしたアルカリ性水を作り、それぞれで淹れた紅茶を飲み比べるわけです。
味わい、香り、水色……そのどれもに、普段召し上がる紅茶からの変化が認められるはずです。ひとつお話のネタにお試しになってみてはいかがでしょうか?

また、あまり極端に強酸性、強アルカリ性に作る必要はございません。お体に触りませんようお気を付けくださいませ。

水無月

雨に映える紫陽花の花も美しく、爽やかな季節となりました。

お嬢様いかがお過ごしでしょうか、乾でございます。

普段自室に居る時に何気なく行う、俗に言う習慣(Routine)

ですが私も幾つかございます。

全て何年・何十年と行っておりますので、結局好きな事は

長続きするのでございますね。

まず、ギターを弾く事でございます。

メロディーを考え作曲したりクラシック等をアレンジしたり

「耳コピ」して新しいフレーズを覚えたりします。

これは際限なく弾いてしまい寝食を忘れる場合がございますので

1時間程度としております。

そして体力維持のためとして運動を少々。

腕立て伏せ30回・腹筋20回・スクワット20回

ストレッチは特に肩と腰を中心に3分程度

通常は就寝前に行いますが、休日は朝と夕に行います。

また頭の体操として「数独」を1問以上解くこと。

これは、夜お酒を飲みながらが多いですね。

リラックスしながら答えを導き出すと心地よい達成感がございますので

お嬢様もいかがでしょうか?

おや、ご挑戦されますか?

では問題です。

答え合わせはお屋敷でお会いした時に致しましょう。

(次月の日誌にも掲載いたします)

では、お嬢様のお帰りをお待ちしております。

牧神の午後

6月。

この度、瑞沢に続いて私のケーキもご用意できる運びとなりました。

まどろみの中、幾重にも風をはらんだシルクのヴェールにつつまれながら手を伸ばす

そんなイメージをケーキで表現いたしました。

重層的で、口に運ぶたびに新しい、香り、味、食感が見つけられるはずです。

春らしい軽やかさを感じられる、くちどけのいいムースがベースです。

こちらには隈川の紅茶「オルソ」が使われております。

またその中に、味 香り共に強い印象を持つシェリー酒のムースをいれました。

こちらを核に食感、香り、味に複雑さを加えております。

合わせる紅茶としては

当然オルソ、あとは 姫睡蓮、メイリン、シェリー、カナリー、四季春、アテナ

辺りは面白いと思います。

お酒でしたらドイツの軽めの白ワインがよろしいでしょう。

ちりばめた要素としては

・フレッシュのグレープフルーツ 
 こちらは瑞々しさとほろ苦さ、春や初夏らしい風味を、はじける食感。
 (一番上のジュレもグレープフルーツのジュレです)

・クルミ
 こちらもグレープフルーツに通じるほろ苦さ、食感のアクセント、そしてシェリーに通じる香ばしい香り。
 ぜひ、シェリーのセンターと召し上がってください。

・塩
 粗めの塩を添えています。味覚的に甘さを開く作用があるのでより一層それぞれの素材の良さを引き立てるはずです。

・フレッシュミント
 こちらも春らしさを感じられるさわやかな味わいでオルソによく合います。苦手でなければ是非口にしてください。

お気に入りの食べ方を探しながらお楽しみくださいませ。

手前味噌ながら非常に美味しいムースに仕上がりました。

大分我儘を押し付けてしまったのですが、それを実現してくれたパティシエには本当に感謝しております。

この場を借りてお礼を。ありがとうございました。