止まり木

敬愛せしお嬢様へ。

嵐がひとつ過ぎる度に、秋へと一歩づつ近づいているようでございます。
肌寒い日もございましょうから、ご面倒でもお上着はお持ちくださるようお願い申し上げます。

さて、お嬢様には馴染みの場所というのはございますか?
街中のカフェの決まった席。河辺の眺め良きベンチ。あるいは庭園の木陰。
まるでもうひとつの家のように、そこに居れば一息つけるといった場所が人にはございます。
私にとってそれは長らくの間、とある地下のバーでございました。
数年前に疲れはてた身を引きずり歩いていたある夜に、漏れ聞こえてきた楽器の音に惹かれて足を踏み入れたそのバーに、いつの間にか日常の一部のように足を運ぶようになり、多くの夜をこの場所に身を浸して越えて参りました。

多くはただ良き音に揺られながら静かに。時には賑やかに、希に混沌とした、数えきれぬ夜を過ごしたこの馴染みの場所でしたが、看板を下ろし眠りにつくこととなりました。

私的にはもちろん残念でございますが、時間は大河のように流れ、人は常に歩みを進め、それと共に全ては移ろうものでございます。
ただただ多くの感謝をこのカウンターとバーテンダーに贈り、記憶の中に仕舞うと致しましょう。

多くの寛ぎと音と時間に感謝を。
バーとはその名の通り、止まり木のように一休みできる場所。
私も、多くのノイズに惑わされてその本質を失うことがないように、思い上がらず、表層に惑わず、されど妥協せず。

ただ歩んで行こうと思います。

Awesome City Crab

いかがお過ごしでございますか、桐島でございます。

秋がやってまいりました。

私の1番好きな季節でございます。

特に秋を感じるのはランニング中でございます。

そよそよと湿気がなく、心地いい風が吹く中、走るのはとても気持ちが良いものでございます。

よく並走するのはシオカラトンボ。しばらく一緒に、走ると「まだまだだな」っと言わんばかりに去って行きます。私に劣等感を与えて去っていくにくいやつでございます。

次によく会うのがアゲハチョウ。まだまだ夏気分なのか、ヒラヒラと優雅に舞っており、ちょこっと見とれて追いかけたりしてコースから外れるのが最近の悩みです…。

ランニングの後、クールダウンにしばらく歩くのですが、リーンリーンと鈴虫の声が聞こえてまいりました。あー秋が来た~と一人でテンションを上げております。

そして自室の扉の前には大きなカニが出迎えてくれます。恥ずかしがり屋なのか直ぐに横の隙間に隠れてしまいます。お前は冬の生き物だろ~っと思いを馳せながら自室へ。

シャワー浴びて、頭を乾かし、ストレッチをして、プロテインを飲みながらふと考えます。

あのカニなんなんだ…。

秋は不思議がいっぱい。

お嬢様、お坊っちゃま。季節外れのカニ鍋をご用命の際はいつでも桐島にお声掛けくださいませ。

ほしいも

9月という響きは秋らしさを内包するものの、いまだしばらくは夏の気配が去りそうにありません。
収穫をよろこぶのも、もうひと月ふた月先のことかと思うと、いっそ9月は夏であると断言してくれた方が心がやすまりそうです。
伊織でございます。

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夕風

金澤でございます。

今とっても夕焼けが綺麗です
お嬢様にも見せて差し上げたい
そのくらい綺麗です
夏の終わりってこんな夕陽があるんですよね
雲の色が朱色のグラデーション
このジーンとくる感覚は言葉では表現しきれません
きっとどこかでお嬢様も同じ夕焼けを見ているのかなと思ってみたり…

太陽が丘に隠れると夏の風がいつの間にか秋を感じさせる風に変わりました
街の灯りが瞬きはじめました

明日はどんな日になるのかな

『 明日への手紙 』♪

花鳥風月

ご機嫌いかがでございますか。
環でございます。

夏の暑さはまだ残っておりますが、少しずつ秋の気配も感じるようになりました。

秋にも楽しみがたくさんございますね。

味覚の秋や芸術の秋などがございますが、紅葉も楽しみの一つでございます。

力強く茂っていた葉が紅くなり、また違う表情を見せる。

そんな景色が待ち遠しゅうございます。

そしてふと思ったのですが、題名の花鳥風月。

美しい風景を表した四文字熟語でございますが、個人的に連想される風景は紅葉の紅や夜空の黒などです。

何故なのかは分かりません。

お嬢様はどんか風景を連想されるのでしょうか。

まずは使用人にでも聞いてみようかと存じます。

では、また。

新しい称号

この度、大旦那様よりファーストフットマンの称号を授かりました。
使用人として、より高みを目指して尽力してまいりたいと存じております。

振り返ってみれば、お屋敷の門を叩いた時は、今の自分自身が想像できなかったと思います。
そしてこれからも同様に、予想できない未来が待っている事でしょう。

しかしながら、これだけは変わらないと自信をもてる事がございます。

それは、「お嬢様がどうしたら喜んでくださるかを考え続ける事」でございます。

これはどんな状況に見舞われても変わらない自信がございます。

環境や心境が変われば必要なものも変わってまいります。
我々はその都度、最適なモノをお届けできる様、努めてまいりたいと存じております。

階級が変われど、私がいくつになろうともお嬢様の記憶は私の中に重なり
その時に一番大切な使用人としての贈り物を探し続けることでしょう。

どうかこれからもお嬢様の元でお仕えさせてくださいませ。

~感謝を込めて~

百合野

ご報告とご挨拶

ご機嫌麗しゅうございます、隈川でございます。

お嬢様。
私、隈川は本日より正式にファーストフットマンの任を仰せつかりましたことご報告申し上げます。

私は他者にも自分自身にも甘い人間であることを自覚しております。
教育係の役割を持つファーストフットマンという役職を全うする為には、後輩たちに見られて恥じることのないよう、これまで以上に責任を持った考え方が必要でございます。

しかしながら、根幹にある『お仕えする主人の役に立ちたい』という気持ちはこれまでと変わることございません。むしろ、より一層深まっているようにも存じます。

お嬢様の傍で、先輩方の伝統を踏襲しつつ自分がファーストフットマンである意味を見つけていけたらばと存じます。

精進致します故、これからもどうぞ宜しくお願い致します、お嬢様。

隈川