怪談の季節

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

秋本番を迎え、朝夕、肌寒さすら覚えることも多くなってまいりました。
寒暖の差も激しゅうございますので、どうぞお召し替えの労は惜しまず、体調をお崩しになりませぬよう、ご自愛くださいませ。

十月といえば、ハロウィンのシーズンでございますね。
夕暮れの時間も早くなり、日差しの恩恵も徐々に減ってまいります。
先人は、それを闇の力が増すように感じ、怪物からの危害を恐れて、魔除けとしてハロウィンの祭祀を始めたのかもしれません。

また、その一方で、長い冬の到来を前にして、豊穣の秋を迎えるお祝いの時期でもあります。
ハロウィンには、それらに由来する陽気なバカ騒ぎ、そして、正反対の暗い影が同居しております。
そのためでしょうか。
他の季節に行われるイベントとは一味ちがった、なかば後ろめたいような面白みが生じているように感じてしまいます。

さて、ハロウィンといえばホラー映画が一挙に公開されるシーズンでもあります。
わが国において、怪談は夏のものではありますが、意外なことに西洋では、暖炉のそばで怪異なストーリーを家族などで語るのが、長い冬の間の退屈を晴らす風物となっているそうです。

お嬢さま方、文化の秋でもございます。
西洋の慣習にならい、秋の夜長を、書物や映画などの怖い話でお楽しみになるのはいかがでしょう?
きっと、ハロウィンの楽しさも倍増するにちがいありません。

さて、そこでおススメのホラー・ストーリーと申しますと・・・・。

おっと、そろそろお給仕の時間でございます。
どうぞサロンにて、司馬にこっそりお尋ねくださいませ。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』

若い人のミュージカルであまり期待していなかったのですが、大変すばらしい作品でした。伝説のヴォーカルグループ「ザ・フォー・シーズンズ」、フランキー・ヴァリ、トミー・デヴィート、ボブ・ゴーディオ、ニック・マッシ。四人のメンバーがそれぞれの思いから辿る栄光と挫折、波乱に満ちた春夏秋冬の物語です。

ニュージャージーの貧しいイタリア系の若者が、どん底の生活から抜け出す道は三つ、軍隊に入る、マフィアに入る、もう一つはスターになること。そんな街のでバンドを組みスターとしての成功を夢見て楽曲を次々生み出してゆく歌唱力が素晴らしいミュージカルです。

フランキーが中川晃教、トミーは藤岡正明・中河内雅貴のWキャスト、ボブが海宝直人
・矢崎広のWキャスト、ニックが福井晶一・吉原光夫のWキャストです。
中川晃教・藤岡正明以外は初めて見る人達でした。Wキャストは最近多くなりましたが、それだけにお互い切磋琢磨して、努力し頑張っているので見応えがあります。藤堂ももう一度見たいと思います。また違った観点からみられるのではないかと再演されるのをのしみにしています。お嬢様まも是非、是非ご覧になって頂きたいと思います。

秋の訪れです。ミュージカルに益々関心を持たれる事と存じます。楽しい日々を元気にお過ごし下さいませ。藤堂でした。

マリアージュ

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

先日、百合野が認めました紅茶とデザートについての日誌はご覧になりましたか?

百合野の紅茶に対する情熱や愛、本当に尊敬します。

ちなみに、私はフロマージュやタルト系の香ばしさを持つデザートにキーモンベースのアールグレイを組み合わせて頂くのがマイブームでございます。

「組み合わせ」といえば、実は私、変わった組み合わせの食べ物につい心惹かれ試してみたくなってしまうクセがあります。

この間も他のフットマン達と食事をした際に、お屋敷風に名付けたならば

【バナナのフリット
~ショコラとトンカツソースを添えて~】

を頂きました。
美味しかったのですが、他のフットマン達は苦笑しておりました。

その時はおりませんでしたが、セカンドスチュワード伊織などは私がそういったものに挑戦すると喜んで付き合ってくれるので今度は一緒に何か探しに行こうかと存じます。

お嬢様もたまには冒険なさったらば、素敵なマリアージュとの出会いがあるかもしれません。ご無理のない範囲で挑戦してみてはいかがでしょうか。

隈川

影山でございます。

お嬢様、秋の夜長に本はいかがでございますか?

本日はわたくしからオススメの本をご紹介致します。

「マスカレードホテル」 東野圭吾

東野圭吾の推理小説の中でも少し変わった作品でございますね。
一流ホテルで働く従業員の視点で日々が描かれます。
作品の中では「正しい」という行為が本当に「正しい」のか、あらゆる角度から問いただしてきます。謎解き要素は抑え目に描かれてますので、推理小説が苦手でも楽しみやすい作品でございます。

推理小説を推理しながら読まない影山よりお届けいたしました。

like a hexahedron

灼熱を届けてくれた夏が過ぎ、遂に秋がやって参りました。
ボジョレーの宣伝文句がそろそろ気になる能見でございます。
お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

瞬きをする程の時間で私の愛すべき夏が終わってしまいました。
今年は毎日屋敷におりましたので、バンジージャンプは出来ず。
お嬢様は今年の暑い夏を、如何お過ごしでございましたか。
沢山の素敵な想い出が出来ておりますと、私も嬉しい限りです。

自室の机にて、ルービックキューブを片手に私は少し考え事を。
正六面体の六色を揃える構造的解法への思慮ではございませんし、
無論、二面体群Dnの正規部分群を求めたい訳でもございません。
単純に申し上げますと、秋についての思考を巡らせておりました。

秋とは非常に誘惑の多い季節である、と私は毎年の様に思います。
しかしご存知の通り、能見は夏LOVERSの一員でございますので、
秋が訪れると理由も意味もなく、途端に狼狽を始めてしまいます。
夏が終わった寂寞の想いが左様にさせるのでございましょうか。

一つの仮説を立ててみることに致しました。以下の通りです。
秋という季節に、私は過大に期待をしているのではないでしょうか。
「~の秋」という枕詞によって、無意識のうちに「何かしなければ」
という一種の強迫観念に図らずも駆られているのかも知れません。

と色々考えました結果、好き勝手に楽しもうという結論に至りました。
心中思惟の後、雑にアウトプットする私の悪い癖が出てしまいました。
深層心理に関する題材は結論を出すことを目的としてはおりません。
脳内糖分補給のため、オレンジ色をした炭酸飲料を流し込みました。

さて、お嬢様。何かご希望の秋のレクリエーションはございますか。
私はその期待に添えるように、全力を尽くしますので。

え!? お嬢様、何と仰いましたか!?
芸術の秋と読書の秋を楽しみたい!?

かしこまりました。
至急、ラッセンと anan をご用意しておきますね。

能見

お屋敷史上最高の日誌

お嬢様いかがお過ごしでございますか。
先日、勉強しなさいと書かれ屈辱を受けた八幡でございます…

だがしかし!

そこで心が折れてはいけないと、名だたる文豪が認めるであろうお屋敷史上最高の日誌を八幡はこっそりと準備をしておりました。

完成するまでにお嬢様に申すことが出来ないような大変な苦労が沢山ございました。
しかしお嬢様に最高な日誌を読んで頂きたいが為に試行錯誤を繰り返しついに完成致しました!!!!

おや、ついつい前置きが長くなってしまいましたね。
では次の文章からがお屋敷史上最高の日誌の始まりでございます。

先日のことでございますが……

おっと、お嬢様申し訳ございません。
たった今、大旦那様に大事な仕事をご用命されてしまいましたので本日はこちらで失礼致します。

日誌

覚えておいででございましょうか。
先月の「パープルヘイズ」はブドウをメインとしたデザートでございました。
その色から名前がついておりますが、由来はきっとそれだけではございません。

……

9月18日。
伝説的なギタリスト、ジミ・ヘンドリックスの命日でございます。

この日があったからこそ伊織は先月のデザートに「パープル・ヘイズ」という名前を与えたのではないでしょうか。

ブドウは最古のアルコールでもあるワインに通じ神話をはじめ人類が生み出した多くの文化に影響を与えております。
伊織は豊穣、酩酊、ブドウの神であるデュオニソスをテーマにデザートを言葉で彩っておりました。
私は残念ながら神話でしたり哲学には明るくないので、花と哲学を愛し、有村を慕っていたかわいい後輩がいれば力を借りたかったのですが残念でございます。
さて、彼の力は借りられないのですがディオニソスは先ほど申し上げた通り酒の神でございまして、混沌、不安定なものを想起させるモチーフになることがおおございます。

そして冒頭のジミ・ヘンドリックス。
彼の音楽はサイケデリックロックというジャンルで語られることが多ございます。そして「紫のけむり」は彼の代表曲でございます。
(どれだけ偉大な音楽家かは私よりも乾執事に任せたほうがようございましょう)

お嬢様には決して関わっていただきたくはございませんが、
サイケデリックは簡単にご説明いたしますとLSDを起源に同様の酩酊、陶酔、恍惚を感じられるような音楽の枠組みとでも申しましょうか。

音楽そのものをディオニソス的なものと捉えるべきなのかもしれませんが
先の表現を使うならばサイケデリックは殊更ディオニソス的な要素を孕んだ音楽と申せましょう。

さて。つながってまいりましたね。

秋、ブドウ、紫、紫のけむり、ジミ・ヘンドリックスの命日、ディオニソス、サイケデリック、酩酊……

こういった反骨心の感じられる裏のテーマ。
面白いものでございますね。