加藤ベーカリー開店準備

『ピクニックに最適な場所を探してくれないか』

ご機嫌麗しゅうございます。
加藤でございます。

主にティーサロンで仕える使用人とはいえ
お嬢様がご別宅にお戻りになっている間には
様々な執務があるわけでございますが、
ある日、大旦那様からピクニックに行く場所を探してくれとの御命令を仰せつかりました。

ピクニックに最適な場所…
突然の御命令に少々戸惑ってしまいましたが
大旦那様のご要望であれば全力を尽くして
お応えするのが使用人でございます。

「うーん(夏も近づいていますし少し涼しげなところの方がよろしいでしょうかその上お嬢様も行かれるのであれば虫はあまり好まれないでしょうから虫達が少ないところ…やはり日陰はあったほうがいいですよね川の近くも涼しげで良いのかもしれませんし夏らしいといえば少しピクニックのイメージとは離れますが海辺も一つ案として良さそうですね。あとせっかくのピクニックですからゆっくりとお休みできるよう街の喧騒を離れ少しだけ遠出してみてもいいかもしれません。しかしそうなると徒歩では難しいですからピクニックらしくなくなりそうですし、あれ?そもそもピクニックって歩いて行かないといけないものでしたっけ?ピクニックとは?)」

熟考を重ね苦節数時間。
私なりの答えを出し、
少し遠出をして下見に行って参りました。

思い返せば道中様々な困難がございましたが
それは別の機会に。

着きました。

高原でございます。

 

ちょうどたんぽぽの綿毛が散り
ふわふわと飛んでいる様子が幻想的で
夏の到来を祝福するかのようにも見えました。

人1人おらず、涼しげな心地よい風が吹いており
景色も素晴らしい。
まさにピクニックに最適な場所でございます。

ということで場所も見つかったことですし一件落着。

早速お屋敷に戻り大旦那様にご報告致しましたが…

『ちょうど梅雨入りしたからピクニックはまた今度にしよう』

とのことでした。

私のこれまでの頑張りが水の泡に────

とは思いませんでした。

大旦那様のことですから
もちろん梅雨に近々入ることはご存知だったはずです。
きっとティーサロンに仕えてから
根を詰める私を見かねて気をお遣いになりお暇をくださったのでしょう。
実際の所、街を離れ、道中自然にふれることで
英気を養うことができました。

とはいえ景色も良く素敵な場所ですから
お嬢様、また季節が巡った頃にピクニックはいかがでしょうか。

その際にお召し上がりになりたいサンドウィッチやパン、ケーキ等ございましたらお早めにお申し付けくださいませ。

加藤が小麦からお作り致します。