製本

今年は比較的時間に余裕がある時期が長かったこともあり、よく映画を観た1年でございました。

「家族の肖像」はまごうことなく名画でしたし
人の薦めで観た「リリーのすべて」「サンセット大通り」などにも心を打たれました。

そのような中。
鑑賞後最近になってじわじわと良さを噛みしめている作品が

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

恥ずかしい話なのですが、現代の映画産業をとりまく社会的潮流やキャスティングから、
勝手な先入観で、女性の為に作られた作品だと思い込んでおりました。

しかしいざ見てみますと、実際には現代社会を生きる多くの人に向けて作られた作品でした。

説教臭いわけでもなく、道を示すようなメッセージを強制するわけでもない。
激しく強く心を揺さぶるような作品ではありません。

ただ寄り添い、観客に「そのままの自分でいいんだよ」と赦しを与えてくれるような優しさがございました。

100%すべての人間に絶賛されることは当然ながらありませんが、私はこちらの作品を観て救われたと感じられる部分がいくつもございました。

お気に入りの詩集などと同じで、観る度に、そのときの心情や成長段階に応じた発見もありそうな気がいたします。

珍しく様式よりも内容にひかれた作品でございました。

では失礼いたします。
よき12月をお過ごしください。