日誌

以前当ティーサロンにモノクルを愛用していた執事がおりました。

彼の存在はとても大きく、多くのものをサロンに遺してくれました。

私にとっても例外ではなく、意識・無意識問わず、私の中に生きていることも
多くございます。

つい最近もそれを感じる出来事がございました。

連日朝から晩まで働き詰めだった浅葱に「最近大変だね、大丈夫?」という言葉をかけたのですが

浅葱は「確かに疲れますけどやっぱり楽しいですから」

と少し困った笑顔で答えました。

その返事にハッとさせられました。

「お嬢様方を笑顔にすることを自分自身も楽しむようでなくてはだめだよ」

ずっと昔。先に申し上げた執事がが当時新しく赴任した使用人に掛けていた言葉でした。

勿論、これだけですと甘えにもつながりかねません。
当時の私には本当の意味で理解していなかったように思えます。

しかし、浅葱の仕事ぶりを見ておりますとそのような心配とは無縁で、
その思いは間違いなく浅葱をいい方向へ向かわせていると感じられます。

ほんの一瞬のやり取りだったのですが私の強く心に残りました。

師走と申しますが、忙しい中でも大切なことをしっかりと胸に秘めて
日々給仕に当たっている姿に私も感じ入りました。

そして勿論、多くの若い使用人がそれぞれ私が敵わないような輝くものを持っており、
私が学ぶべきこと多くございます。

そしてまた、後ろを振り過去の使用人が遺したものを改めて集めることも必要でございます。

歳をとるばかりでまだまだ未熟ではございますがこのように少しでも
歩みを進められるように努めます。
今年もよろしくお願いいたします。