日誌

藤。春の青い空のもと、風に揺られながら視界一面を覆う様は、まるでシャンデリアのようです。
またその風に運ばれる香りのなんと美しいこと。
この花の前ではどんな香水であろうと無粋でございましょう。

この枝ぶりをご覧ください。伏龍という単語がございますが、まさに龍が水の中で横たわっているかのような姿。圧倒されます。
こちらの藤は樹齢200年を超えるそうです。
あまり実感もわきませんね。日本でしたら江戸時代。ヨーロッパでしたらフランス革命の後、ナポレオンの活躍も終わろうとする時期です。
それだけ長く生きた藤が、200前と同じように、今年もまた私の目の前で花を咲かせているという事実を前にしますと、自然と畏怖の念が芽生え、万物に魂を感じ取り、神として奉る感覚もわかるような気がいたします。

当家の庭園でも藤が美しゅうございましたね。来年は散る前にお散歩して存分にお楽しみください。