虹。

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
瑞沢でございます。

陽射しが強くなって参りました。
これ以上気温が上がり出すと、私は溶けて燕尾服を残して蒸発してしまうかもしれません。

気体化した私は空に上がって行き、お屋敷の遥か上空で冷気に冷やされ小さな粒になります。

小さな瑞沢が無数に生まれます。

上空で漂う瑞沢は風に抗うことなく、奔放にあちこち飛ばされ至る所へ。

やがて雲と混ざり合い、夏の通り雨になって地上に降り注ぎます。

突然の雨に驚いたお嬢様はお屋敷にご帰宅され、雨が止んだ空を見上げた時。
その空には鮮やかな色彩溢れる虹が……。


この夏はそんな使用人でありとうございます。
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