モノポリー

2007 Puligny Montrachet 1re Cru Clos de La Mouchere
Domaine Henri Boillot

2007 ピュリニー・モンラッシェ クロ・ド・ラ・ムーシェール アンリ・ボワイヨ

クロドラムーシェール。
ドメーヌ・アンリボワイヨがピュリニーモンラッシェの1級畑ペリエール内に単独所有する区画です。

コルクから一瞬シェリーのような香りがしたので若干心配しましたが、健全でした。

輝きのある深みを増したイエロー、リムに立体感を感じる液体に期待が高まります。

開けた瞬間、まるでゲランの香水のように、華やかに洋酒とバニラの香りが広がります。その後しだいに落ち着き樽の香りはフルーツのになかに溶け込んでいきます。
白い花、レモン、リンゴ、洋ナシ、ブリオッシュ、バニラ、ミネラル。
フルーツはもう少し糖度が高いかと思ったのですが、酸を感じるフルーツの香りがメインに。ミネラルも豊かに感じます。
抽象的な表現になってしまうのですが、熟成した上質なブランデーなどにも共通する密度の高いエキスのような香り立ちが素晴らしく、品質の高さがうかがえます。

口に含むと重さと輪郭を感じるコクのある液体。
リリース当初堅固であったであろう凝縮した果実味がほどけて、角が取れた酸とミネラルがしっかり輪郭を作っています。
2007らしく酸はかなり豊かで。一般的なピュリニーの酸ではありません。
かといって、シャブリやシャサーニュとも違うヴィンテージの個性を感じさせます。

優良とは言えない年ですが、生産者の技量と努力、ブドウと向き合った中で生まれた液体なのでしょう。
酸もただ酸っぱいわけではなく厚みがあります、糖度が上がらなかったであろう果実味もしっかり凝縮感があります。補糖や補酸だけではこうはならないでしょう。
96年などは特に顕著なのですが、酸が美しい年のワインには心を打たれます。

赤でしたら2000や2005あたりでしょうか。
多くの要因がありますが、古典的と言える作品にはもうそうそう出会えないのかなとも感じ寂しさを覚えます。

しかし何事もそうなのですが、懐古的になるのはあまりよくありません。今を楽しむべきでしょう。
懐古的な感傷に浸れるのも、「10年前の今」を全力で楽しんだからです。
10年後のためにも、今を楽しむのが正しい生き方でしょう。