15

当ティーサロンも15周年を迎えることができました。

使い古された表現なのですが、まるで昨日のように思い出せます。
初めてティーサロンの門をたたいた日を。

今でこそやっと人並みに仕事ができるようになったと思いますが、技術だけではなく、精神的にも本当に未熟だった私に、これほど長く働く機会を与えてくださった大旦那様、お嬢様には心から感謝しております。

しかし折々で申し上げますように「15」は単なる数字でしかございません。

気付けば、驚くほど長い時間が経っていたとは思いますが、
大切なのは最高の「今」であり、15はその積み重ねというだけ、大きな意味は持ちません。

私にとって一番大切なのは、今目の前にいらっしゃるお嬢様です。
ティーサロンの20年後、30年後のことは大旦那様がお考えになります。
私などよりもはるかに深慮も遠謀もお持ちでらっしゃいます。
だからこそ、私は今この瞬間がより良い時間になるように心を注ぎます。

そしてまた、こうした折々で同じことを申し上げるのですが。

決してお忘れなきよう。

物語の主人公はお嬢様であり、お屋敷やSwallowtailというティーサロンを作るのはお嬢様です。

使用人は物語を彩る調度品や装飾物でしかありません。

もしこの先、20周年、30周年と時を重ね、そこによりよいティーサロンがあるとすれば、

それは、私共ではなくお嬢様が作ったものです。

そしてそのときに、お嬢様が

「ここが私のスワロウテイルだ」

と胸を張って自慢できるような空間をご用意できているならそれに勝る喜びはないでしょう。

共に手をたずさえ、心を寄り添わせて歩みを進みましょう。

お嬢様がいらっしゃるからこそ、お屋敷には灯が燈り。

使用人は使用人でいられます。

大河内は大河内でいられます。

こんなにも長い時間、私の魂の居場所を作ってくださったことに心から感謝しております。

また明日。楽しい1日をお届けできるように、ティーサロンでお待ちしております。