櫛方といっしょ

10月の魑魅魍魎がいなくなり、街には安寧と少しの寂しさ、そして残されたもの。



11月にはまず紅茶の記念日から始まり、第3木曜日には新酒のお祭りがあります。




徐々に肌寒さ、そして冬の気配を感じつつ、使用人寮の自室にて炬燵を出した浅葱にございます。



お嬢様、いかがお過ごしにございますか?



先月、浅葱と櫛方によるエクストラティーSwallowtail of the DEADという、ゾンビをイメージした普段と毛色の違う紅茶をお出し致しましたが、ご満足頂けましたでしょうか?



キームンのスモーキーさと薔薇や茉莉花といった花の香りが美しくも仄暗い死を連想し、クランベリーの紅いエッセンスとドロドロした食感は、リアリティをもった死者のあしおとが脳裏に浮かんでくるような。

白さに朱の色を重ねたチーズクリームの脳漿が垂れ交わる時、その屍体は恐怖を携え現れるのです。



一歩、また一歩と。



お嬢様はその恐怖に打ち勝ち、手に持った聖なる劔により撃ち払い、そして甘美たる福音のような味に酔いしれるのです!





……と、意味もなく大仰な文章にしましたが、実は浅葱はあまりゾンビティーの味が好きではありません。ちょっと甘すぎる、かも。



本当はベースになっておりました、中国紅茶キームンの香りや味を強く抽出した紅茶液にパティシエの美味しいチーズを合わせただけのシンプルなチーズティーが好きなのですが、今回は敢えて浅葱の好きなゾンビのイメージを追求させて頂きました。



世の中、美味しさだけがベクトルの向きではないようです。時には美味しさより優先して表現したいことがあるというのを学んだ浅葱の10月でした。

まあ表現した中で出来得る限り美味しく仕上げたつもりですが。



11月のボジョレー・ヌーボーも同じく。



ワインとして、新酒のボジョレーが美味しかと問われれば、そうではないかもしれません。

けれども、その年の解禁日に皆で樽を開け、舌鼓を打ち、数年後のフランスワインに想いを馳せることに意味がないとは思わないのです。





まあ、浅葱は美味しいワインを飲みたいですけれども!!





ちなみにボジョレー・ヌーボーを毎年自分用に開けておりますが、その時は焼き鳥のタレと歌舞伎揚のお煎餅を肴に致します。これは一度試す価値がありますよ、お嬢様!





次回は美味しさを追究したエクストラティーを、また櫛方と一緒にしたいものです。





浅葱にございました。
Filed under: 浅葱 — 22:00