世界は二度踊る。

時折、暇を頂いた日に自室にてお茶を淹れる事がございます。
ティータイムそのものも勿論ですが、透き通るガラス製ティーポットを舞う茶葉様子を愛おしむ事は
より高級な憩いのひとときに存じます。

この度のティータイムのお供は
キームン。
燻製香の香り高く、濃厚な香りに反しすっきりとしたピュアな味わい。
あらゆる苦を知る老人の、宝石のようにきらめく驚くほど素直な瞳、
あるいは朽ちた老木に芽吹く新たな生命を思わせるような。
私の愛してやまない茶葉でございます。

空気の含んだ水を温め空気の抜けぬよう沸騰させず。

ポットに湯を入れ水流によりクルクルと上下に繰り返し回転する様子は妖精の舞踏会を思わせます。
透明の湯の茶色に変わる様子は落日を思わせティーポットの中には
さながら一つの世界が独立しているように思われます。
ひとしきり葉が踊り終え静まり返ったのち。
一つの世界も静寂したように思われます。


しかし実はちがうのです。
少し気長に、
あるいは一枚、茶の葉を捕まえ葉を広げその形を観察するのも良いかもしれません。
あるいは唇に葉を咥え特徴的な葉の触り心地に驚きや発見を見出すのもよろしいでしょう。
そうしているうちに、
一枚、二枚、ふわふわと。
茶葉が浮いてくる様子が見られます。
茶葉に抱かれた小さな気泡が茶葉を上へ持ち上げるのです。
小さなガラスの中に地面が空に登るような神秘の情景がございます。

お茶の味を楽しむ趣旨には逸れると思われる向きもあるやもしれませんが、一つ戯れに。
お時間が許すようなら、ぜひ
おためしくださいませ。
Filed under: 園田 — 22:00