浅葱のお茶会~お出掛け編~

温かくなると日向ぼっこがしたくなります。

縁側で緑茶とおせんべいを用意して、ゆっくりと過ごせるなんて、とっても贅沢なことです。自室に縁側はありませんが、ベランダに接したガラス戸を開けて、座布団を用意しました。

最近、新しく買いました急須の出番です。
ところで庶民の生活において、急須の注ぎ口に透明なカバーを付けっぱなしにしている方が多くいらっしゃるのですが、あれは梱包する際に注ぎ口が折れないようにする為の緩衝材らしいです。むしろ付けっぱなしにすると、そこに雑菌が繁殖してよろしくないとか。

閑話休題。

そうそう、お茶請けのおせんべいは……今日はえびせんにしましょう。丁度桜えびを使ったものをこの間頂いたのです。

ぱりぱりぱり、ぐびぐび。

はぁ、なんて幸せなんでしょう。
大きなあくびをひとつして、浅葱はぼんやりと庭を眺めておりました。


『睡眠というのは、猫のようなものだ。試験の前など呼んでいない時にやってきて、目が覚めた時に呆然とする。待っているといつまでも来てくれなくて、いらいらと心を焦がす』恩田陸・夜のピクニック


ふと思い出した、浅葱の好きな文章です。
お休みを頂き、色々やりたいことがたくさんあるはずなのですが、そんな時に限って眠気が襲ってまいります。

どうしたものかと考えておりますと、

???「にゃーん」
浅葱「な、なんと!」

愛らしい瞳、ピンと伸びたおひげ、柔らかそうな毛並み、ゆっくりと動くしっぽ!
間違いなくあれは……

浅葱「猫ちゃんでございます!!」

一気に目が覚めました。

猫ちゃん「にゃーん?」
浅葱「おいでおいで」

手を招いて膝を空けてやりますが、猫ちゃんは首を傾げております。

浅葱「はっ! 我を忘れておりました!」

重大な問題がありました。
浅葱は、猫アレルギーでございます。
時々誘惑に負けて猫ちゃんをもふもふしたくなってしまうのですが、触れれば最後、浅葱の顔がもふもふになってしまうのでした。

浅葱「くぅ……ここは我慢するのです。浅葱は我慢出来る良い子なのです」
猫ちゃん「にゃんっ」
浅葱「にゃ、にゃんと!」

我慢すると決めた矢先、猫ちゃんが浅葱の膝下にやってまいりました。
嗚呼、もう我慢できません!

浅葱「南無三っ!」
猫ちゃん「にゃっ!」

ざくっ!
引っ掻かれました。
浅葱でございます。



ということで、今回は外の紅茶屋さんで買った茶葉を使いまして、お茶会をしてまいりましょう!!



1軒目、マリアージュフレール

お屋敷でも一日限定紅茶として時々登場するフランスの有名紅茶ブランドです。様々なフレーバーや種類を持っているお店ですが、今回は特に有名な『マルコポーロ』と『オペラ』を飲んでみましょう!

マルコポーロは中国紅茶をベースにしまして、中国やチベットの花や果実で香りづけされております。愛娘、みっちゃんと同じく中国紅茶ベースに花と果実をブレンドしている、ということで期待に胸を膨らませて淹れてみますと、とってもエキゾチックで神秘的な香りが広がりました。味は渋みが少なく飲みやすい、そして軽やかな後味でした。紅茶が苦手な方でも飲めるような一品です。

そしてオペラ。緑茶をベースにフルーツとスパイスをブレンドした香りです。甘い香りに誘われるように口をつけますと浅葱に衝撃が走りました。香りと味わいにギャップがあり、甘いものに相性の良さそうなすっきりとした味でございました。

店頭に行ってみていくつか試飲させて頂きましたが、まだまだ興味のそそられるフレーバーの紅茶が山ほどございました。その中で特に美味しい物が見つかりましたら、是非ともお嬢様におすすめしとうございます!



2軒目、ルピシア

ルピシアといえばルイボスにベリーとアプリコット、そしてハニーのフレーバーが優しい『ピッコロ』が有名ですね。また店員さんにお聞きしたところストレートでも美味しく、ミルクに相性のよい紅茶として『ベルエポック』も買わせて頂きました。
早速飲んで見ましょう!

ピッコロさん。ノンカフェインティーのルイボスに甘い香りを加えたルピシアでも有名なブレンドティーでございます。浅葱は夜、寝る前にとっても甘くしたピッコロさんをミルクティーにするのが大好きでございます。

ベルエポック。ダージリンとケニア、そしてセイロンをブレンドしたオーソドックスな紅茶でございます。ストレートは勿論、ミルクティーとしても美味しく頂ける万能な子でございました。ブレックファーストにトーストとスクランブルエッグ、そしてジャムをのせたヨーグルトを用意して、紅茶はベルエポックーーなんて、とっても素敵ですね!



3軒目、ムレスナティー

関西発信で有名なセイロンティー専門ブランドでありまして、そのフレーバーは全て天然由来の成分にこだわり、随時100種類ほどあるとか。カフェもありまして、飲ませて頂きました。
今回は代表的なフレーバーとして『ブルービードロ』と『幸せの鐘 Forever』を頂きました。

ブルービードロ。ジャスミンとアールグレイ、そして柑橘の香りに近いサワーサップという果実の爽やかな香りがとってもマッチングしたフレーバードティーでございます。

幸せの鐘 Forever。名前に惹かれて飲ませて頂きました。アップルとカスタードバニラ、シナモンなどのフレーバーを楽しめます。お屋敷のソフィーのような組み合わせでございますが、まさにその通りで、お砂糖を加えるとアップルパイのような幸せの鐘の音が響き渡ります。



こうして美味しい紅茶屋さんを勉強しておりますと、当家のブレンドティーも負けてはいられないという強い気持ちが湧いてまいりました。
確かに今のままでも美味しゅうございますが、まだまだ美味しくなる余地があるはずです。
浪川さんが今度から現地に赴き、茶園などを視察し、現地の方々と交流したりして、そして持ち前の優しさと人懐っこさを遺憾なく発揮することによって……お屋敷の紅茶は、より良い茶葉になることでしょう。


温かくなると日向ぼっこがしたくなります。


お茶を啜り、おせんべいをパリパリ食べて。
少しだけ後輩の3人が、庭園でチャムハム君の散歩をしていて。
浅葱の視線に気づいた佐々木さんがニカっと笑顔を浮かべました。才木さんが爆走するチャムハム君を追いかけて、佐々木さんも追いかけて。
2人がいなくなって、少し遅れて追いかけてきた浪川さんが「お騒がせしてすみません」と苦笑いしながら後に続きました。

浅葱は彼らの後ろ姿を見送りました。

「さようなら」
誰にも聞こえないように言うと、寂しさが溢れてまいりました。
「にゃーん?」
膝元にいた猫ちゃんをそっと抱きしめて、浅葱は優しくもふもふしてあげます。
明日、きっと浅葱はもふもふになってしまうので、目元が腫れていてもあほうな奴だと笑ってくださいませ。

浪川さん。
今度、お茶会でも致しましょう。
美味しい狭山の和紅茶でも淹れて、お茶請けはサツマイモチップス。
座布団を3つ並べて。
少し離れたところで八幡さんと桐島さんが酒盛りを始めて。
佐々木さんと才木さんはそれに飛び入り参戦。
それを浅葱と浪川さんで苦笑いしながらお茶でも飲みましょう。
きっと楽しいですよ。いつもみたいに。


浅葱
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