アルテミス

お嬢様、最近冷え込んでおりますが体調崩しておりませんか?
お風邪を召されませんようしっかりと温かくしてお過ごし下さいませ。
世間ではインフルエンザも流行っておりますので充分にお気を付け下さいませ。

今回は私が初めてお屋敷のティーサロンに足を運んだ時の話を少しだけ致しましょう。

今から5年程前の事でございますかね。
まだまだページボーイとして勉強している頃でございます。私は今よりも身体が大きく、ページボーイの為に用意している服達を、着る事が出来ませんでした。
ページボーイでありながら身体の大きな先輩のフットマンから燕尾服をお借りして着ておりました。


ページボーイはフットマンになる為に、日々紅茶やカップ、お給仕の仕方、礼儀作法や様々な物事に関して勉強をしております。
私は紅茶が嫌いと申しますか、正直に申しますと苦手でございました。

やはりティーサロンでお嬢様に仕える以上、知らなければならない事がたくさんあるのです。
紅茶は1番の難関でございました。
先程も申しましたが紅茶が苦手で、今まで紅茶に関わらないように生きて参りましたので、先生達が何をおっしゃっているのか、全くわからなかったのです。

わからないながらも紅茶の勉強をしておりますと、眼鏡にチェーンを掛けた先輩のフットマンが声を掛けて下さいました。

「君は紅茶が苦手なんだね、ただ紅茶には色々な種類があるから、苦手意識を持ってすぐにだめだなんて思わないで。紅茶が苦手なら、茶葉を使っていないノンカフェインティーやフルーツティーもあるから興味を持ってほしいな!」

当時は今よりもアレルギーが酷くなかったので、フルーツメランジェをイメージした紅茶を淹れていただき、とても酸味が強く苦手だなと思っておりましたら、お砂糖を入れて下さいました。
そのフルーツティーを口にすると香りと甘さ、そして苦手と思うきっかけになった酸味が絶妙に合わさり、本当にフルーツメランジェを頂いているかのような味に変化したのです。
とても感動した事を今でも覚えております。

「紅茶と言ってもストレートで飲むだけじゃなく、色々な飲み方があるんだよ。それに苦手って事は、紅茶が苦手なお嬢様の気持ちもわかるって事だからいい事だよ。少しずつで良いから頑張ってね。」

そんな事を言って彼は屋根裏に消えて行きました。



寂しくなりますね。


綴り過ぎてしまいましたのでこの辺で辞めておきましょう。
昔話を聞いて下さりありがとうございます。
いつかまた綴らせていただければと存じます。


今の私があるのは、彼がきっかけをくれた事も1つでございます。ありがとうございました。
Filed under: 水瀬 — 16:40