浅葱のお茶会

2018年が今月で終わります。
来年からは2019年。
ここ数ヶ月、たくさんのフットマンブレンドティーが増えておりますね。その味や香り、名前を覚えるのが大変なくらいに。
杉村のシルヴィアス。
御茶ノ水のバナナキャンディ。
浅葱のミッシェル。
綾瀬の大和撫子。
佐々木のPSG。
桐島のアレキサンドライト。
才木のニルス・オーラヴ。
そして、来月には平山のシャイン。
ここ数ヶ月で8種類の紅茶が新しく仲間入りしました。大変喜ばしいことです。

ですが、今月でお別れをする子もいます。
バースデーティーと呼ばれる12の月をイメージしたフレーバードティー達です。

ゼウス、アフロディーテ、アルテミス、
ヘーパイストス、ヘルメス、ヘラ、
ポセイドン、アレス、デメテル、
アポロン、アテナ、ヘスティア。

今回はこの12種類の紅茶達とお茶会を致しましょう。



まずは1月のバースデーティー、ゼウス。
柚子フレーバーの紅茶です。
……正直、難しい気性の子です。彼と出逢うまで、浅葱は柚子の着香茶を飲んだことがございませんでした。柚子の香りが好きでしたので出逢ってすぐにお友達になろうとしましたが、彼は想像以上に強い香りと渋みを発して、なかなか仲良くなれなかったのです。けれども浅葱は諦めませんでした。出来るだけ軽やかになるようアプローチを繰り返し、何度も喧嘩をしながら徐々に仲を深め、ついに香りを爽やかにして渋さを和らげることが叶いました。彼は途端に柑橘の軽やかさを増し、柚子フィナンシェやダヴィンチの柚子パスタとマリアージュ致しました。それ以来、刺激が欲しい時に、彼と遊ぶことにしました。

次に2月のバースデーティー。アフロディーテでございます。
チョコレートフレーバーの紅茶ですね。
彼女とは忘れられない思い出がございます。それは浅葱が紅茶係を務める少し前のことでした。ティーサロンがお休みの時、綾瀬と一緒に紅茶を淹れて練習しておりまして、浅葱の未熟な紅茶を何十種類と嫌な顔もせずに飲んでくれました。そんな綾瀬が、このアフロディーテを絶賛してくれたのです。そしてお嬢様にも浅葱の淹れるアフロディーテは最高です、とオススメしてくれていました。彼女は浅葱と綾瀬の思い出の子なのです。

次は3月のアルテミス。
薔薇フレーバーの紅茶です。
浅葱がバースデーティーの中で一番飲んでいたのはきっと彼女でしょう。セイロンティーベースの着香茶でございますが、ドライフラワーもブレンドされている本格仕様でございますし、香りも華やかで上品という優秀な子でございます。特に杉村が淹れるアルテミスは香りが特に際立ち、鼻腔に広がる花の香りに癒されておりました。……熱々で舌をよくやけどしましたけれど。杉村といえば柚子のイメージがありますが、浅葱は今でも薔薇のイメージが刷り込まれているのはこのためです。

4月のヘーパイストス。
マスカット&グレープの香りです。
瑞々しい香りを感じる子です。よく上質なダージリンはマスカテルフレーバーというマスカットの香りに似たエッセンスを感じると言いますが、フットマン達がこれぞ本当のマスカテルフレーバーだ、と笑っていたことが印象的です。使用人では佐々木や桐島が彼女を好んでおりまして、時々甘々のヘーパイストスを淹れてあげておりました。アイスティーとの相性も良く、甘くした彼女は夏に飲みたくなる子でした。

5月のヘルメス。
アプリコットフレーバーの紅茶です。
彼は甘えん坊の少年、といった香りでした。アプリコットの香りはデザートとの相性が良く、ハニースコーンなどと一緒に食べても真価を発揮してくれます。午後のゆっくりとした時間、おやつと一緒に淹れたくなるような子です。

6月のヘラ。
パイナップルフレーバーです。
12の紅茶達の中で一番の新参者でございました。前のグレープフルーツフレーバーも面白い香りがしましたが、パイナップルは何もかもが初体験の味でした。彼女はなかなかパンチの効いたトロピカルな香りをしておりますので、淹れるシーンを選んでしまいますが、それでも夏といえばこの紅茶! という絶対的な安心感もあります。水瀬のエクストラティーに使っていたメロンフレーバーの子と一緒に、色々なフルーツ系フレーバードティーとブレンド致しまして「フルーツポンティー」を作った思い出が懐かしいです。この子とメロンの子が他の香りを塗りつぶしておりました。

7月のポセイドン。
レモンフレーバーの紅茶です。
お屋敷には用意していないレモンティーを香りで楽しんで頂ける紅茶です。ゼウスと共に仲良くなることが難しかった子でした。レモンの甘酸っぱい匂いをバランスよく抽出することがとても難しく、何度も失敗を繰り返して飲みやすく淹れておりました。胸に残り離れない、この苦いレモンの匂い。今でも彼はわたくしの光、でございます。

8月のアレス。
ピーチフレーバーの紅茶です。
一番思い出の深いバースデーティーでございます。浅葱のブレンドティーでございます『みっちゃん』にも使われておりますし、何を隠そう、桃が大好きなのです。一番最初に練習した紅茶でもございます。少し寂しくなりましたら、みっちゃんを飲んで彼のことを思い出してあげてくださいませ。

9月のデメテル。
金木犀の香りの子です。
とても好きです。ファンも多く、浅葱もオススメしておりました。先日、瑞沢と紅茶の話をしている時に好きだと言っていましたので、おそらく私と趣味が合うことでしょう。きっと金木犀を使っているミッシェルのことも好きでしょう。ね、瑞沢さん。

10月のアポロン。
マロングラッセフレーバーの子です。
アポロンといえば影山が好きな紅茶というイメージが昔からありました。そして昔いた使用人から受け継いだブレンドティー『アポカリプス』の材料にもなる子です。アポカリプスはアポロンとリリスを等量程度でブレンドし、砂糖とミルクを入れておくと、フットマン達の笑顔を見れる素晴らしいお味でした。よければお試しくださいませ。

11月のアテナ。
ハニーバニラの香りの子ですね。人気者です。
甘やかな香り、飲みやすい味、特にミルクとお砂糖を入れるとふわふわなお菓子のようにとろけてしまいます。浅葱が。

12月、ヘスティア。
キャラメルフレーバーの紅茶です。
この子も人気者でしたが、アテナとヘスティアは系統が似ておりますので偶にどっちのポットがヘスティアだったけなーっと紅茶係を苦しめました。いえいえ、紅茶係の嗅覚を磨いてくださったのですね。



少し長くなってしまいましたが、いなくなってしまう子達のことを浅葱は忘れません。たとえ短い期間であっても一緒にお嬢様に仕えたことは良い思い出でございます。新しい子のことも大切にしつつ、時には思い出して、お嬢様と懐かしむのも悪くはないと思う浅葱でございました。
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