久しぶりに

もう少し続くものと思っていたら、アッという間に梅雨が開けてしまい
ました。こんなに早い梅雨明けは嘉島も初めてです。夏空の下、厳しい
暑さがやって参りました。お嬢様方にはいかがお過ごしでしょうか。

嘉島は雨の季節用に取り揃えていたDVDを、暑さを避けて涼しい部屋で
インドアを決め込み、先月に引き続き楽しんでおります。 今回もまた、
最近入手できた、嘉島にとって貴重なDVDからお話しいたします。

それは昭和57年11月、歌舞伎座の顔見世で上演された、通し狂言『仮名
手本忠臣蔵』の 七段目 祇園一力茶屋の場 を収録した DVDです。今から
40年前、嘉島が20代で実際に舞台を観て感動した歌舞伎の舞台です。

由良之助に二世 尾上松緑、おかるに六世 中村歌右衛門、平右衛門に八世
松本幸四郎と当時の歌舞伎界を代表する演者たちによる配役で、 松緑の
大きさと色気、歌右衛門の可憐さ、幸四郎の実直さ、堪能いたしました。

中でも、平右衛門とおかるの兄妹のシーンに泣かされました。 歌舞伎で
涙を流したのは、後にも先にもこの舞台だけです。 久し振りに歌右衛門
と幸四郎の往年のコンビが復活し、大きな成果をあげた舞台でした。

『仮名手本忠臣蔵』はデートをしていて主君の一大事に間に合わなかった
おかると勘平、身分が低いため、討ち入りに加われない平右衛門と、立派
な武士だけではなく、親近感の持てる登場人物が大活躍いたします。

そこが、この壮大な仇討ちの物語を活き活きとした面白い作品にしていて、
人々に長い間愛される古典として生き続けて来たのだなあと、DVDを観な
がら、あらためて感じました。

そしてDVDを観た夜、なんと今年の2月に歌舞伎座で上演された 仮名手本
の七段目 がTVで放映されました。由良之助に新 松本白鸚、おかるに坂東
玉三郎、平右衛門に片岡仁左衛門という配役です。

こちらも玉三郎、仁左衛門による平右衛門とおかるの兄妹のシーンが素晴
らしかった。二人が孝・玉コンビと呼ばれていた頃から、南北の『桜姫東
文章』、鏡花の『日本橋』など、優れた舞台を拝見してきました。

特に、以前はわりと一色だった玉三郎のおかるが、兄の平右衛門に対して、
無邪気で可愛らしく、ユーモアすら感じさせ、そのことが全てが判明する
後半の悲劇を鮮やかに際立たせました。

それを受ける仁左衛門の演技も実を感じさせ、流石でした。相手役として
歴史を感じさせる二人の演技から、舞台上でしか味わえない極上の時間が
生まれ、歳を重ねるのも悪くないと勇気をもらった次第です。

最近は歌舞伎の舞台から、足が遠のいていたのですが、久しぶりに歌舞伎
の舞台に触れたくなりました。チャンスがありましたら、お嬢様方もぜひ
ナマの歌舞伎を体験してしてみてください。



嘉島
Filed under: 嘉島 — 16:30