気づいたら4年目

この空気の香り、肌を刺す寒さの感覚、懐かしく思います。
お屋敷の門を叩いて、3年という年月が経ちました。

今年は大きく変化する年でございましたね。
同じ頃にティーサロンにやってきた使用人は皆、ある者は旅に出て、またある者は大旦那様の命を受けて執務の場を変えました。


元気にしているでしょうか?


やっぱり少し寂しくなりましたが、気にかけてくださる先輩方や、真面目に執務に取り組む後輩の姿を見て、自分もやらねば!と後押しされました。


懐かしい思い出を忘れてほしい訳では無い、むしろ、心のどこかで彼らのことは覚えていて欲しいのですが、今、ティーサロンにて仕える使用人達にお嬢様方にも沢山目を向けて頂きたいのです。


私も過去を振り返り、『あの人はこうだったな』や『あの人とのあのやり取り、懐かしいな』と思うことが多くございました。

単純な事だからこそ勘違いしてしまうのか、
今いる人たちは各々のアイデンティティがあるわけで、他人の物差しで測ることは個性を殺しているような気が致します。

こう文面で見れば理解できるのですが、無自覚に物差しを突きつけてる自分がいた、そんな年になりかけておりました。


分かりきっているからこその再確認!
各々使用人にはお嬢様方にお届けできる長所がそれぞれ沢山ございます。

もちろん、人間ですからパズルみたいに合う合わないはあるかと存じます。
それは仕方のないことです。

しかし忘れないでいただきたいのです。
使用人一人ひとりが各々の思う1番の給仕を日々、試行錯誤しながら努めていることを。



まぁ、私が言うまでも無いことだとは思うのですが、この1年を振り返っての独り言だと聞き流してくださいませ。



さて、4年目。
私にできることをさらに探求。でございます。

羽瀬
Filed under: 羽瀬 — 22:00

日向と日陰

たくさんの仲間を見送りました。とうとう君も先に旅立ってしまうのかと、今までの日々に思いを巡らせております。

あまり知らぬお嬢様方も多いと存じますが、私、1人だけ勉強を共にした同期がおりました。
それが日向でございます。


一緒に勉強を重ねると、彼が御屋敷に来るまでに学んでいたことと、この御屋敷での学ぶべきこととは、大きく差があることに気づきました。

しかし、同時に、不器用ながらも職人的スキルは抜群、それだけでなく、ひとつの事をコツコツと誰よりも磨く精神力は屋敷一だと言うことに気づきました。それはその頃、私達に屋敷の様々な事を教えてくれていた先輩方も同じだったようです。

こうして、学ぶことは違えど羽瀬と日向は勉強を重ね、お嬢様方にお仕えする事が適うようになったのです。

彼が大旦那様より頂戴した名前、それは『日向』。

何故、お嬢様に直接顔を見せない、むしろ日陰の彼が、日向という名前なのか。

それは彼の紅茶係としての姿勢にあったのだと、私は思います。


お嬢様方が日向の顔を知らぬように、日向もお嬢様方の顔を知らぬのです。
ですが、何度もお戻りいただいて、日向の紅茶の感想を頂戴し、それを伝えると、彼は名前を聞き、どんな紅茶を多く飲まれるか覚え、お嬢様方へもっと美味しいお茶をお淹れしようと、また努力するのです。


まさしく陽光のようでございます。
太陽は地球の人々の顔など知らない。
それでも暖かく我々を包み込んでくれる。


彼の仕事はその名にピッタリでございました。


個人的な話では、アルセードを美味しく淹れるために、私に正解の味を何度も聞いてきたこともございました。
紅茶を淹れることに関しては私以上の知識でしたから、私からは何がどう違うのか細かくわからず、『これが一番美味しいからこれで正解だよ笑』という、身も蓋もない返答をした思い出もございますね笑

もう彼のアルセード、飲めなくなってしまうんですね。

.......いえ、悲しみません。

彼が見えないところからお嬢様方を照らせるのなら、私にはもっとできることがあるはずです。
例え星の彼方に旅立とうとも、同じ太陽を眺めることが出来る。

いってらっしゃい。
いつでも戻ってきて、また美味しいお茶を淹れてくださいね。


唯一の学友、羽瀬

Filed under: 羽瀬 — 22:00

Episode №.zero

これは、まだ2人が、英国の御屋敷に仕える前、出会いのお話。

そこには確かに自由があり、生活があり、貧富があり、差別があった。
欲するものは自分の力で手にいれ、弱い者から淘汰されていく。
儚くも命漲る世界。

名乗る必要のない生活をする彼は、いつしか自分が何者なのかも忘れ、日々生きることに精一杯であった。



『俺は何のために生きるのか。この世界で生きていくしかないのか。』


独り、鈍色の空を眺める彼の目は、澄み切った碧空の色をしていた。

無駄なことを考えても仕方ないと、彼は生きるために必要なことは、何でもした。毎日毎日、目まぐるしく灰色の世界に、鮮やかな色を塗るように、いつかこの世界から羽ばたく日を夢見て、
否、
夢見ることを否定したいのにどうしても忘れることが出来ず、必死に足掻いた。



その時は来た。



普段灰色に染った彼の世界に、1色のビビッドな紳士が現れた。
名前を言われる。変な名だ。
№.21?ふざけている。また搾取しに来た人間だろう。
それになぜ自分のことを知っているのか、不思議でたまらなかった。
なるほど、彼もここで暮らしていたのか。


考えを廻らしているうちに、彼はこう続けた。
『君は私に似ている。この世界では鮮やかすぎる。まさかこの小さな世界に、こんな人間がいるなんて。君、名前は?』

いつぶりだろうか、人に名前を尋ねられるのは。

名前。名前。
なんだっけ。

名乗る名が無いのなら、今つければいいと言う。



ずっと見ないようにしてきた外の世界。
今ようやく羽ばたける時が来たのかもしれない。
『…ブラインド…ウイング』
見えない世界へと飛び立つ羽。

彼はそれを聞くと満足気に、また、この世界では見た事の無い鮮やかな笑みで
『いい名だ。』
と言った。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
さて、読書の秋。且つハロウィンと言う季節。
私もそれにちなんで物書きになった気分で綴ってみましたが、くさい表現になってしまいましたね笑

今年のハロウィンは、魅力的なキャラクターが多ございますから、各キャラクターのいろんなお話や掛け合いを想像しながら楽しむのもいいかと。



そうそう。
お嬢様方へのお菓子は、裏山のてっぺんに置いておきましたからね、私に悪戯はしないでくださいね。
どうしてもひとりじゃ登れないなら、仕方が無いので一緒に紅葉眺めながら登山でも。


羽瀬
Filed under: 羽瀬 — 22:00

「見かけによらず」とかいう内容ほど、他人はどうでもいいかもしれない、寂しい初秋

この頃小出しにしているのです、スポーツ少年だったということを。
つい先日までスポーツの祭典に日本も大盛り上がりでございました!
幼き日の私は、祭典出場をめざしておりましたね。

しかし、今日では、酒好き裏山山小屋引き篭りニーt…おっほん。失礼。
日夜、地下室にて酒類の研究に勤しんでいる使用人。
陽の光とは無縁だと(勝手に私自身は)思っているのですが、それは大人になってからの話なのです!


幼少の頃よりサッカーを9年、バスケットボールと駅伝を並行し3年、登山にウォールクライミングを3年。






……




どうしてこうなってしまったんですかねぇ?


その経験を活かすところと言えば裏山でのキャンプくらいでございましょうか。
登山では、本格的にテント張りから飯盒炊爨、地形図や天気の読み方などを学びましたから、裏山での秋の味覚を使ったキャンプ会には使用人はもちろん、お嬢様方も興味あれば是非いらしてくださいませ!

秋の味覚にお酒が飲めれば美味しいものを準備しておきましょう。

昔昇った山の写真を添えて。



あれ、スポーツの話をしてたつもりなのに。
結局またこの流れですか。
私は今に生きるので精一杯のようでございます笑


ところで私の寝袋持ってったの誰ですか?
そろそろ寒いので出番なのですが。

怒らないからこっそり山小屋に置いておいてくださいね、
できればお酒と一緒に。

羽瀬



Filed under: 羽瀬 — 22:00

私のなつやすみ計画

もしも長期の休暇を夏にいただけるのであれば、
私は南半球に赴いて、冷涼な時を過ごしとう存じます。

そこでまた、土地のお酒を飲み、それに合った酒肴を探すのが楽しみでございますね。



このご時世、以上の夢は叶えること難しゅうございますから、
自室や裏山での計画も立ててみましょう。



やはり、私、お酒というものは外せません。

山形県で有名な楯野川酒造の日本酒を、裏山の小川で頂きたいですね。
とても飲みやすい日本酒でバリエーションも豊富な酒造でございますので、お嬢様方も気が向いたら飲んでみてください!

計画に戻りますが、小川で楽しむのは昼か夜かと言われれば、夜でございますね。

とめどない水の音とユラユラ揺れる焚火の炎。
蚊取り線香を焚いて、虫の声や夜空と共にゆっくりと流れる時に癒されとうございます。




振り返ってみますと、お酒のお話ばかりの私の日誌でございます。


私の人生においてお酒は欠かせぬものではございますが、
それ以外のものも今後ご紹介出来るよう、知識見聞を広げて参りましょう。



正直な話をしてしまえば、夏など早く通り過ぎてほしいものなのです。
その先に待つ味覚の季節が、、、

おっと。
これ以上は、またお酒の話になってしまいますね笑


そうそう。
小川の木陰でうたた寝していると、冷やしてあったお酒が無くなっていたんです。

お嬢様方、犯人見つけたらお教え下さいね。

羽瀬
Filed under: 羽瀬 — 22:00

Peter Pan Syndrome

すごく長い時間を暗闇で過ごした気がする。




気がつくと僕の周りは、お花がたくさんで、
いい匂いのものも、苦い香りのものもある。

虫や鳥が僕の周りを飛び、動物たちは道案内をしてくれる。


足を止めると秘密基地のような洞穴が。
どうやらここがみんなのお家みたいだ。

みんな僕にこの国のことを教えてくれた。
僕の知らない新しい世界。

美しく明るく毎日が冒険の世界。
時には危ない事もあるけれど、
それが日々の刺激になる。

ある日、妖精に出会った。
その子が言うには、空を飛ぶ魔法を僕にもかけてくれるらしい。

不思議な粉をひとふり。足元ふわり。
ぎこちない動きもだんだんと慣れてきた。
調子に乗って高くまで行くとちょっと怖い。



深い色の空に浮かぶ月を見て、ふと思う。

『私は今、どこでなにをしているのか?』

僕は気づいてしまった。

これは夢なのだと。




途端、真っ逆さまに海へ堕ちる。
空には月とあの子の軌跡が残っていた。




出来ることなら、
この夢の時間が醒めることの無いように。そう願ってしまった。

私はなんと不出来な使用人なのか。




人とは成長を重ねる度に肩書きや役職を得る。
反面、将来の像が『なりたいもの』から『なれるもの』へと
幅が狭まっていく。



私には今、素敵な場と素敵な仲間と素敵なお嬢様方がそばにございます。

でも、まだ僕は、空を飛ぶ夢を見たいと、
そう願う時があるのです。



お嬢様にも、同様の経験はございませんか?



(エクストラティー『Tink』、お楽しみいただきありがとうございました!)

羽瀬

Filed under: 羽瀬 — 22:00

Modern Speakeasy

当世は20世紀初頭の禁酒法時代を思わせる、(多くの使用人からすれば)生きづらい世の中でございます。

お嬢様方は、「Speakeasy」という言葉を聞いたことございますか?
語源は様々あるようですが、多く知られている意味は、禁酒法の時世、密かに酒を提供していた、隠れ家的な場を指すようでございます。

現代では、取締も強化され、その時代とは、掛け離れてはおりますが、今の状況、まさに禁酒法時代と言っても過言ではありません。


「ブラインドピッグ」や「ブラインドタイガー」などと呼ばれることもあるようで、見世物(この名前の場合、豚や虎を見世物としている)にお金を払い、特典として無料で酒を振舞った史実もあるようです。

その他には、隠し扉や隠し棚にお決まりのサインやモーションをすることによって、酒を得るという、まるで、映画のようなやり取りがなされていたようです。

禁じられるほど欲してしまう…
わかります。



はぁ。我らもSpeakeasyのように、
「ティーサロン暖炉に向かってコインを投げ、暖炉上の時計を欲しい酒に対応する数字に揃えたら、絵画の額の裏からお酒が出てくる」なんて、そんなロマン溢れるお酒の嗜み方を試したいものですな。


まぁ、一番は何も気にすることなく、また皆で酒を楽しむことではございますが!




もしかすると、暖炉の裏でお嬢様のお酒のご用命を待っている使用人がいるかも…

なんて。

気の所為でございますね!


羽瀬
Filed under: 羽瀬 — 22:00

Clear Sky

各地より梅雨入りの便りが届き、この頃はお暇を頂いても、外に出るのが億劫な日が続きますね。

あとどれくらいすれば、梅雨は明けるのでしょうか?
裏山では紫陽花も露に濡れて光り輝いていたのを目にしました。

少し前のことを思い返すと、あの肌寒さが嘘のように、もう夏の足音がすぐそこまで迫っているようでございます。

お嬢様は、夏を待つこの季節をどのように思いますか?


私は正直、暑さも湿気も苦手で、早く過ぎないかと思ってしまいますが、
唯一、一日の終わりに、扇風機に当たりながら、縁側にてお酒を嗜む、
これだけは暑い季節の風物詩でございます。

このようなご時世でございますから、使用人一同からお酒をお出しすること叶わぬ時期でございます。

ですから、せめて、お酒の楽しみ方だけでもお伝え致しますね!
と言っても、この程度のこと、お嬢様もご存知でございますかね?笑
もう少しすれば、蚊取り線香は忘れずに!!



透き通る空が次に見える頃、
また好きなお酒をティーサロンにて
紹介できるでしょうか?

羽瀬
Filed under: 羽瀬 — 22:00

Theism

少し静かになったお屋敷の自室付近。

本日は何を聞こうか考えながら、お酒を嗜む。


自分がその時欲しい音楽は、その日その時を過ごした記憶から浮き上がってくるものだ。

これはもう癖なのだが、いつもの面々の事を思うと気付かされる。
当然の事ながら過去の記憶しかもう無いのだと。


自然と選ぶ音楽は、物憂げかつ、孤独。また、過去に囚われた閉鎖的な歌。

今、綴るこの文字も、彼らのことを考えながら。
これまでは直接伝えられた数多の事が、今は自分の頭の中でぐるぐると廻るだけ。

しかし、この時間とこの空間はなぜか心地よい。



何故?



あぁ。
私の中に彼らが居るのだ。

一緒に生きた標が自分の体を、五感を、創り上げ、その物差しで測る数多の物事の結果が、『心地よいものとは、このことである。』と認識しているのだろう。

彼らからのギフトである。

自分はしっかりと贈ることは出来ただろうか?

お酒も相まってか、自然と顔がほころぶ。
うん、やはり心地よい。







だからお願いです。

ただ、少し。もうひとときで構いませんから。

過去に囚われたゆりかごに
揺られる私を
お許しください。

羽瀬
Filed under: 羽瀬 — 22:00

No title

同じ景色を見て
同じ時を過ごし
同じ会話を聞いて
同じものを口にした、
そんな仲間はいつの間にやら
道化の友人だけに。
そんな彼も旅立ちの時が近づいているとは。



誰がこの結末を予想したでしょう?
自分でさえもしておりませんでした。
他の使用人であれば素直に
『次の給仕先でも頑張って!』
と送り出せるものが、
『何故。どうして?こんなにも急に。』
と、呼び止めてしまうのです。

使用人として未熟であり、
『良く出来た使用人』とは言えない私とは対照的に、
彼の持つオーラ、風格、言動には『使用人たる者、ここに習うべき。』
という説得力がございました。


今思えば、羨ましかったのです。
自分には無いもの、出来ないことをやってのける彼が。


そして、彼との会話から生まれる
無限の可能性が日々の給仕に
彩りと向上心を持たせてくれたのも
また事実です。



それが突然、無くなってしまう。
ここ数ヶ月は見送ってばかりです。
それを支えてくれたのも彼だったのに。


しかし大切な言葉も、思い出も、これまでに沢山貰ってきました。
自分には無い感性だからこそ、
得られるもの、
互いに励んだ給仕の質の向上が
今の自分の給仕を作り上げてくれていること。



そして、至高のカクテルを共に作れたこと。


数え切れない多くのものをくれた彼は、
今は自分の中にあるのだと、
気付きました。

やはりこの言葉に行き着きます、




『ありがとう。』



残された少ない日々で
私にできることを
お嬢様方のため、彼のため、
誠心誠意、努めて参ります。


そして、どうか旅立ってからも
彼に幸のあらんことを。






羽瀬


Filed under: 羽瀬 — 22:00